R6MarkII vs R5MarkII ~水中用ミラーレス一眼の選び方~

 

※2024.9.18 追記(AFについて)

 

こんにちは、上出です。

先週の和歌山でのイベントの際、R6MarkIIを使っていたら、たくさんの方から「R6MarkIIどうですか?」「R5MarkIIとどっちがいいと思いますか?」と質問をいただきました。

沖縄に帰って来てからも結構その話題が出ていたので、せっかくなので、僕なりの考えを書いておこうと思います。

 

R6MarkIIは、7月にハウジングをお借りして、気に入ったのでそのまま買い取らせてもらって(小さいのに操作性がいい)、かれこれ2ヶ月くらい水中で使ってきました。ので、ある程度感触も掴めてきています。

一方R5MarkIIは、受け取ってから陸上で一日使った程度です。水中では使っていませんし、RF100mmマクロ以外のレンズも試していません。なので、正直まだよくわかりません。

そんな状況での(2024年9月の)レビューだということをご容赦くださいませ。

 

細かい話をする前に、一眼レフとの比較について僕の考えを伝えておきます。

陸で使うならミラーレス一眼の方が一眼レフよりずっと優秀だと思いますが、水中ではいまだに一眼レフの方が優っている部分があると、僕は思っています。

僕もずっとD850を使ってきましたし、特に不満もありませんでした。今でも最高のカメラだと思っています。

僕は仕事柄新しい撮影機材にキャッチアップしていかないといけないと思っているので、一眼レフからミラーレス一眼に切り替えを進めていますが、趣味で水中写真を楽しんでいる方が皆そうすべきとは全く思っていません。

(動画を頑張りたいとか新しい〇〇の機能を試したいとか、具体的に何かあれば買い替えもありだと思います。)

 

一眼レフとミラーレス一眼、どっちがいいかは一旦置いておいて、これから買うんだったらそもそもミラーレスしか選択肢がありません。

だって、一眼レフのハウジング、基本的には製造終了してますからね。

中古を探すという選択肢もありますが、カメラは見つかってもハウジングの中古は中々出てこないので、待つ覚悟は必要でしょう。

なので現実問題として、コンデジなどからステップアップするなら、選択肢はミラーレス一眼しかない。だから、そもそも一眼レフと比べてもあまり意味がない。

とはいえ一眼レフから買い替えを検討している人もいるから一つだけ。

一眼レフの最後の世代、つまりD850や5DmarkⅣを使っていた方は、焦って買い換える必要はないと、僕は思います。一方で、それよりも前の世代の一眼レフをお使いなら、買い替えたらそれなりに幸せになれそうだな、と。

 

で、どれを買ったらいいの?

という話をこれからしていきます。

R6MarkII  RF100mm F2.8 L MACRO  f4 1/250sec ISO100

 

■価格

R6MarkII:約30万円

R5MarkII:約60万円

 

はっきり言って、この時点で「R5markⅡ無理だ」と感じる方も少なくないと思います。

僕は仕事道具だし、値段がいくらでも買うと決めていたので買いましたが、普通に「高いな」と思います。

(海外での販売価格を見たら、円安なのに日本の値段は安価に設定してくれてるようにも見えるけど。)

R5MarkIIのハウジングも、フィッシュアイさんより発売発表がありました。2024年10月11日発売予定だそうです。僕は予約しました。

 

Nauticam R6MarkII:約51万円

Nauticam R5MarkII:約65万円

 

個人的には「R6MarkIIのハウジングと同じくらいの価格&大きさだったらいいな」と思っていましたが、そうはいきませんでした。

まあ、そうはいかないと思っていたのですが。

 

R6MarkIIのハウジング、めちゃ小さくて軽くて、値段も手ごろで(ノーティカムにしては)、めちゃ気に入っていました。

R5MarkIIも、モノはいいでしょうが、ちょっと大きくなりそうな気がしています(まだ細かい発表がされていないけど)。

カメラとハウジングの価格だけ見ても、多くの方にとってはR6MarkIIの方が現実的な選択肢になるのではないでしょうか。

ここから他の部分も見ていきますが、先に言ってしまうと、R6MarkIIを買って後悔する人は、ほとんどいないと思います。

R6MarkII  RF14-35mm F4 L IS USM f16 1/250sec ISO400

 

■画素数

R6MarkII:2420万画素

R5MarkII:4500万画素

 

細かい機能の違いは色々あれど、はっきり言って、どうしても4500万画素欲しければR5MarkII、それ以外の方はR6MarkII、ということでいいと思います。

画素数の僕なりの考え方は以前こちらの記事に書いたので、興味があれば読んでみてください↓

水中写真に必要な画素数を考える ~写真展・印刷・SNSなど~

僕はばっさりトリミングすることもあるし(特にマクロは)、横1m以上の大きさに引き伸ばして展示したいので、高画素機は必要です。

ただ、Lightroomのスーパー解像度など、後から画素数を増やすなんてこともできるようになってきたので、その意味でも2400万画素機でOKというケースも多くなってるのかなと。

正直に言って、感覚的なところもありますが、Canonのミラーレス一眼に関しては、2400万画素くらいの方がバランスよくまとまったカメラになっているような印象もあります。

とはいえやっぱり僕は高画素機が好きです。変な言い方ですが、なんだか安心します。

R6MarkII  RF100mm F2.8 L MACRO  f5 1/250sec ISO100

 

■オートフォーカス

R6MarkIIよりもR5MarkIIの方が、AFが大幅に進化しているかというと、個人的には、そうは思っていません。

被写体認識やトラッキングの性能は上がっているのでしょうが、僕は今のところ水中で被写体検出もトラッキングもオフにしているので、その恩恵を受けられません。

クロスセンサーが搭載されたR1のAFは別物でしょうが、R6MarkIIもR5MarkIIも縦線検知のラインセンサーです。水平線など、横線にはピントが合いません。

あんまり「進化してない」とか言うと怒られそうなので、「進化してるんだろうけど、僕の使い方だとあまり実感できなさそう」という感じですかね。

 

それとは別に、R5MarkIIを使ってみて、ひとつビックリした喜びポイントがありました。

それは、「サーボAF時のピント優先」を選べるようになったことです。これはちゃんと説明しておきます。

サーボAFというのはNikonだとAF-C、つまり、動いている被写体にピントを合わせ続けるようなAFモードです。

僕はD850で撮影する際、ずっと「AF-Cでピント優先」で撮っていました。

ピント優先というのは、「ピントが合うまでシャッターが切れない」というモードです。

 

5DmarkⅣやR5にも「サーボAF時のピント優先」はあったはずですが、なぜだかR7やR6MarkIIにはこの機能がなく、「サーボAF時はレリーズ優先」しかありませんでした。

つまり、ピントが合っていようがいまいがシャッターが切れてしまうんですね。

もちろんこっちが好きな方もいるのでしょうが、僕にはどうしてもしっくりきませんでした(僕が水中で親指フォーカスを使えないというのもある)。

 

僕は、マクロもワイドも「ピント優先」で、半押しはせずに、いきなりシャッターを押し切ってピントが合ったらシャッターが切れる、という撮り方をしています(もはや意識していないけどきっとほとんどそうしているはず)。

全く半押ししないかというとそうではないのですが。言葉で説明するのは難しいし、まあいいか。

とにかく、R5MarkIIで「サーボAF時のピント優先」が復活したことはめちゃくちゃ嬉しくて、これだけでR5MarkIIを選びたくなるというのは一つの事実です。クジラで使うのも楽しみです。

(クジラはピントが合ってるかわかんないままシャッター切ることも多いので。)

 

※2024.9.18 追記

記事を書いた翌日、R6MarkIIでカクレクマノミを撮っている際、普段通りの撮り方ではどうにもピントが合わなかったので、瞳AFを使ってみました。

すると、結構撮れました(もちろん全然完ぺきではないけど)。

以前R5で瞳AFを使った時にあまり印象がよくなかったことや(その時もカクレクマノミだった)、R6MarkIIを買ってから水中で動きの速い被写体を撮っていなかったこともあり、これまで瞳AFを使ってきませんでした(アラスカで動物を撮る時にはとっても活躍してたけど)。

R6MarkIIでもR5MarkIIでも、被写体や状況によっては瞳AFが活躍しそうです。その意味で、ちゃんとミラーレス一眼の恩恵を受けています。失礼しました。

細かい設定などは、僕もこれから検証を深めますので、また会ったときにでも聞いてください。

 

R6MarkII  RF100mm F2.8 L MACRO  f4 1/250sec ISO100

 

■高感度

R6MarkIIとR5MarkIIを比べたら、R6MarkIIの圧勝ですね。

水中で高感度をバンバン使う人は少数派かもしれませんが、そういう撮影が多い人は気にしておいた方がいいでしょう。

そもそも高感度耐性(ISO感度を上げた時のノイズの少なさや描写の破綻の無さ)は、画素数が少ない方が有利なので、R6MarkIIの方が高感度に強いのは当たり前です。

 

YouTube界隈でも言われていますが、R5MarkIIは高感度にちょっと弱そうです。

僕もやんばるの薄暗い森で一日使ってみて、「あれ、想像以上にノイズが乗るな」という印象でした。

正直、クジラで使うのが不安です。

 

ただ、この辺の考え方も、少しずつ変わってきているのかもしれません。

ノイズが想像以上に乗ってきたのでLightroomのAIノイズ除去をかけたら、ノイズは綺麗に消えました。

そして、これは高感度云々の話だけではありませんが、そもそもCanonのミラーレス一眼で撮影したデータを編集するのに、Lightroomはベストではないのではないか?と思い始めています。

Canonの純正ソフト(Digital Photo Professional)を使った方がいいのかなと思いつつ、面倒くさくてまだ使っていません…

どなたか使っている方がいましたら、色々教えてください。

 

高感度ノイズについてはメーカーでもさんざん検証しているでしょうから、そこをある程度犠牲にしても、成し遂げなければいけないことがあったんだろうと推測しています。「今どき高感度ノイズくらい後からどうにでもできるでしょ?」と言われているのかもしれません。

R5MarkII  RF100mm F2.8 L MACRO  f2.8 1/250sec ISO3200

(かなりノイジーだったのでLightroomでAIノイズ除去かけた)

 

■電池

バッテリーの比較については前回こちらの記事に書きましたので、ご覧くださいませ↓

CanonR5MarkIIは水中用ミラーレス一眼の本命になりうるか

電池持ちについては、R6MarkIIの勝ちです。

R5MarkIIは水中で使っていないので、まだはっきりしたことはわかりませんが。

陸で使ってみて「電池減るの早っ!」という印象はありませんでしたし、スペック的にもR5よりは進化しています。

なので、2本は持つとは思いますが、3本持つかどうかは使ってみてかな、と思っています。

R6MarkII  RF14-35mm F4 L IS USM f16 1/250sec ISO1000

 

■まとめ

 

【R5MarkIIがお勧めな人】

・高画素が必要(好き)

・最新最高機種を使ってみたい

・お金が余ってて仕方ない

 

【R6MarkIIがお勧めな人】

・上記に当てはまらない全ての方

 

という感じですかね。

僕にとっては「サーボAF時のピント優先」だけでもR5MarkIIを選ぶ理由がありますが、これが皆さんにとってどれくらい意味のあることなのか、正直わかりません。

来月R5MarkIIのハウジングが発売されてみないとどんな状況になるかわかりませんが、おそらく「6」よりも「5」がマジョリティになるかなと思っています。

ただ、感覚的な話をすれば、一眼レフ時代のように「Canon(Nikon)だったら5DmarkⅣ(D850)だよね」というほどの一強体制にはならないのかなと(水中の話ね)。

 

多くの方にとっては「6」がちょうどいいと思いますし、はっきり言って、R6MarkIIはめっちゃいいカメラです。

「サーボAF時のピント優先」が選べないこと以外、大きな不満もありません。

予算的にR5MarkIIは諦めるという方は、R5を買うより、R6MarkIIを買った方が幸せになれると思います。

ちなみに、R6MarkIIに14-35mmをつけて太陽の入る構図で撮影した時、ファインダーでもモニターでもグラデーションがないベタっとした表示になったのはちょっとがっかりしましたが、まあそういうものなのでしょう(撮影した画像はちゃんとグラデーションがある)。

ファインダー性能を上げすぎていないことで(ファインダー性能はR5MarkIIの方が上)電池の持ちも良くなっているのかな、とも思っています。

 

今日は、R6MarkIIもR5MarkIIもどっちもいいカメラだけど、全てにおいて「5」が上回ってるわけではなくて、「6」も全然ありだよ、という話でした。

ここまで書いておいてあれですが、カメラって結局道具でしかないですし、基本的には遊び道具なので、好き嫌いとかそういうことで選んでもいいと思います。

僕も今ではそれなりにカメラのことを理解していますが、十数年前初めて水中で一眼を使い始めた頃なんか、「焦点距離って何?レンズから被写体までの距離?」みたいな感じでした。なので、今日の話が2割くらいしかわからなくても全然大丈夫です。

 

最後に独り言を。

なぜこうして、1円にもならないブログでカメラの話を書いてるかって、オフラインの場でカメラの話ばかりしたくないからです(僕に聞いてくるなという意味ではない)。

カメラじゃなくて写真の話を、芸術の話をしたい。海の話を、自然の話をしたい。

カメラとか撮影テクニックとか、手段はもちろん大切ですが、僕が本当に話したいのは、その先の話だったり、もっと根本的な話だったりします。

写真機は要らないわ、五感を持ってお出で。という感じでしょうか。あれ、何の話だっけ。

それでは、今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。

少しでも参考になれば嬉しいです!

 

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    R6MarkII  RF100mm F2.8 L MACRO  SMC-2  f11 1/250sec ISO100

    ↑RF100mmとSMC-2ってどうなんだろう?と思って撮ってみたら、意外とD850と同じ感覚で撮れた。被写体は古座のイソバナ。