水中撮影用ライトはストロボの代用になるのか?

 

こんにちは、上出です。

今日の沖縄本島、
最高気温が12℃みたいです。

しびれますね。

 

「常夏リゾート沖縄!」なんて嘘です。

布団から出られません。


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm + UCL-90  Z-240×2灯 f9 SS1/200秒 ISO200)

 

さて今日は、

「読者さんからの質問回答コーナー」

の第二回です。

 

第一回はこちら↓
水中写真はどのホワイトバランス(WB)で撮るのが正解?

第一回からだいぶ時間が空いてしまいましたね…
まあこのあたりは、島時間という事で。笑

 

今日のテーマは、

「水中ライトはストロボの代用になるのか?」

についてです。

 

実はこの話題、
前から書こう書こうと思っていたのですが、
僕が普段撮影にライトをあまり使わないので、

正確な、客観的な比較ができないな…

と思い、保留にしていました。

でも、こうして質問もいただいてるわけですし、
気になっている方も多いテーマかなと思いますので、
ここはひとつ、想像力を膨らませて書くことにします。

それではまず、
読者さんからいただいた質問をご覧ください。

 

時々オーバーハングにいる被写体を撮ろうとして

ストロボがうまくあたっておらず、

撮り終えてがっかりしたこともあります。

 

そんなこともあり、最近、

RGblueやINONの大光量水中ライトが発売されて、

これを使って撮影されている人もいらっしゃいます。

 

そこでお聞きしたいのですが、

こうした水中ライトはストロボの代用となりうるでしょうか。

 

以前の水中ライトは光量も足りず、

また光もストロボのように太陽光に近い光ではないので

あまり実用的ではなかったかと思いますが、

最近はこうした点が改良されて、

相当良いものが出ているようです。

 

水中ライトであれば、

ストロボのように瞬間的な光ではないので、

被写体にどのように当たっているか

確認しやすいと思うのですが。

 

ご質問をいただいたKさん、ありがとうございました。
(ブログ掲載にもご快諾いただきありがとうございました。)

 

先に結論からいきましょう。

 

今回いただいた質問のメインテーマは

「代用となりうるか?」

です。

 

僕なりの回答は

「限られたケースでなら代用となりうる」

です。

 

これだけでは、意味が分かりませんね。

もう少し掘り下げていきましょう。


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm + UCL-90  Z-240×2灯 f11 SS1/250秒 ISO200)

 

 

水中ライトを使う目的は人それぞれですが、
以下の4つに大別できるのではないかと思います。

 

①ストロボの代わりに
②ライトならではの表現を求めて
③ピント合わせの補助として
④動画を撮るために

 

ひとつずつ見ていきましょう。

 

まず「④動画を撮るために」ですが、
これはいいですね。

ストロボで動画のライティングはできないので、
被写体の色を再現したいならライトが必要です。

なので、質問の中にも出てきた
「大光量水中ライト」で動画を撮るというのは、
有用な使い方だと思います。

 

 

さて、

①ストロボの代わりに

の話に戻りましょう。

これがメインテーマです。

 

たった今動画の話をしましたが、
水中動画を撮る方は徐々に増えてきているように感じます。

特に水中写真を始めたてで、
コンデジを使っている方の中には、

「写真も動画も撮りたい!」

という方も少なくないはずです。

 

そんな方にとって、

とりあえず水中ライトを付けておけば、
写真も動画もそこそこ撮れる

というのは、
大きな価値になると思います。

なので、そういう意味では、
ライトをストロボの代わりとして使う事は、
現実的な選択肢のひとつです。

ストロボとライトを両方取り付けるのは、
コスト的にも大きさ的にも、
壁に感じる方も多いですもんね。

 


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm  Z-240×2灯 f6.3 SS1/160秒 ISO200)

 

 

さてそれでは、
僕のように動画を全く撮らない人
にとってはどうでしょう?

ここからは、

「写真」を撮る時に
ライトをストロボの代わりとして使う事の
メリットとデメリット

を考えていきたいと思います。

 

 

【メリット】

 

■シャッターを切る前に光が当たっているかどうか確認できるため、
出来上がりのイメージがしやすいし、失敗を減らすことができる。

おそらく、これが一番大きなメリットでしょう。

Kさんからの質問の中にもありましたね。

「時々オーバーハングにいる被写体を撮ろうとして
ストロボがうまくあたっておらず、
撮り終えてがっかりしたこともあります。」

こういう経験は僕にもありますし、
おそらく共感できる方が多いと思います。

 

水中ストロボの取り扱いは、
最初のころは苦労する事が多いですし、

ライトで簡単に綺麗な色の写真が撮れる

というのは、ひとつの価値ですよね。

 

 

■連射できる

この価値を実感できる人は多くないかもですが、
生態写真なんかでは有利になりそうです。

ストロボを使用する場合だと、
外付けストロボにも内蔵ストロボにも
リサイクルタイム(充電時間)があるので、
カメラの連射モードは使えません。

ハッチアウトを撮る時なんか、良いかもですね。


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm + UCL-90  Z-240×2灯 f22 SS1/250秒 ISO320)

 

 

【デメリット】

 

■生物が逃げやすい

これは先ほどのメリットと対になっていますが、
被写体に光を当て続ける事になるので、
生物が光を嫌がってシャッターを切る前に
逃げてしまう事があります。

特に、元々暗がりに住んでいるような生物は
明るい場所が嫌いなことが多いので、

ライトを当てた瞬間に逃げてしまった

という経験は、
どなたもあるんじゃないかと思います。

 

ただこれは、ストロボを使っていても、
光量の大きなターゲットライトを当てたら同じことです。

それに、ライトの光では逃げなくても、
ストロボの光にびっくりして隠れてしまう生物もいます。

なので、ケースバイケースですね。

 

 

■被写体ブレを起こしやすい

動きの速い魚などの被写体を撮る場合で、
特にシャッタースピードが遅くなるような状況では、
ライトで撮影するとブレやすくなります。

細かい説明は、

SEA&SEAさんが発光しているパンフレット
「水中写真にストロボが必要な理由」

に記載がありましたので、
引用させていただきます。

 

ストロボは数百分の一秒から数万分の一秒

という大変短い時間で発行しています。

 

従って、スローシャッターで撮影をした場合でも、

ストロボ光が当たっている部分(被写体)は、

ストロボの発光時間でシャッターを切っているのと同じことになります。

 

対してライトは、シャッタースピードと同じ時間、

被写体に光が当たっていますので

シャッタースピード以上のブレ軽減効果はありません。

 

しかし、前述の通りブレを防ぐ為にシャッタースピードを上げると

カメラが取り込める光の量は減少してしまいます。

 

※光に敏感な被写体の場合、画像に残像が残る場合があります。

 

細かい理論がわからなくても良いので、

ブレの軽減に関してはストロボの方が有利

という事だけでもおさえておいてください。

 

 

■演色性に劣る…?

Kさんからの質問にも「太陽に近い光」
という言葉が出てきました。

ストロボの方が太陽光に近いのは事実ですし、
演色性(色の再現性)もストロボの方が高いです。

ただ、水中ライトの演色性も向上していますし、
演色性の違いを実際に認識できる人がどれだけいるか、
正直何とも言えません。

認識できたとしても、
それはそれで味ととらえる事もできますし、
フィルター等で工夫する事も出来ます。

なので個人的には、
演色性の差は大きなデメリットにはならない
と想像しています。

 

 

■光量が足りない場合がある

おそらくこれが一番の課題でしょう。

Kさんからの質問にもあった通り、
水中ライトの性能は近年飛躍的に向上し、
いわゆる「大光量ライト」も主流になってきました。

流行りの?RG BLUEなんかだと、
最大光量が3000ルーメンくらいですよね。

このクラスの光量があって、
光量の調整も細かくできるのであれば、
マクロ撮影ではあまり困らないと思います。

 

一方、ワイド撮影の場合は、
ちょっと光量が物足りなさそうです。

ここでも、SEA&SEAさんの
「水中写真にストロボが必要な理由」
から引用させていただきます。

 

一般的に、ストロボの光量はGN(ガイドナンバー)、

LEDライトの光量はlm(ルーメン)で表しますが、

単位が異なるため、これではどちらが明るいかわかりません。

 

実はYS-D2の場合、ルーメン値に換算すると

最大で約509,600ルーメン相当の光を放つ事ができますので、

30,000ルーメンのライトといえどストロボの光量には到底かないません。

 

 

ということらしいです。

いくら水中ライトが大光量化したと言っても、
ストロボと比べるとまだまだなんですよ

という趣旨の文章だと思います。

資料にある「最大で」というのは、
「GN32で」という意味でしょう。

僕もワイド撮影をするときのGNは、
32~20の間で発光させることが多いので、
やはり大光量ライトでは不十分という事になります。

 

ちなみにここではさらっと
「30,000ルーメンのライトといえど」
と書いてありますが、

市販されている水中ライトは、
大光量と言われているものでも
3000~5000ルーメンです…

 


(D750 + AF-S NIKKOR 14-24mm  Z-240×2灯 f13 SS1/250秒 ISO250)

 

 

ここまで、
水中ライトを使う目的を4つに大別したうえで、

①ストロボの代わりに

という視点から、
メリット・デメリットを紹介していきました。

 

最初にお伝えした結論

「限られたケースでなら代用となりうる」

をもう少し詳しく言い直すなら、

「マクロでは代用できる場面も多そうだけど、
ワイドでは代用できる場面は少なさそう。」

という回答になります。

 

現状、僕は代用するメリットをあまり感じないので、
今後もストロボの代用としてライトを使う予定はありません。

(「失敗を減らせる」などのメリットに価値を感じる方は、
ライトをストロボ代わりに使っても全然OKだと思います。)

 

しつこいですが、僕はあくまで
代用として使う予定はない」
ということが言いたいのであって、

水中撮影時におけるライトの有用性自体を
否定しているわけではありません。

 

 

その話は、

②ライトならではの表現を求めて
③ピント合わせの補助として

に続きます。

 

だいぶ長くなってしまったので、
ここからはさらっといきます。

 

 

②ライトならではの表現を求めて

 

これまで何度も触れた大光量ライトも、
「ストロボの代わり」という考え方から離れて、
「ライトならではの表現」と考える事もできます。

良い悪いとは別の次元で、
ライトとストロボの光は性質が違いますので、
ストロボとは一味違った表現も可能です。

特に、RG BLUE SYSTEM03のような、
ライトならではの特殊な表現を楽しむというのも、
それはそれでありだと思います。

 

あるいは、これは僕もたまにやりますが、
ストロボと一緒にライトを使うという方法もあります。

ストロボで主役の被写体を照らして、
ライトは背景を明るく抜くために使う、
なんていうおしゃれ技もありです。


(基本はZ-240×2でライティングしつつ、
背景だけINON LE-550Sで照らしています。
僕もたまにはこんな手の込んだことをします。)

 

 

③ピント合わせの補助として

 

ターゲットライトについては、
別の記事で詳しく解説していますので、
是非こちらも合わせてご覧ください↓

ターゲットライトの使い方
〜ストロボとは別に水中ライトを用意すべき?〜

この記事では、

ピント合わせの補助としてのライトは、
ストロボのターゲットライトを使うべき

というように結論づけています。

 

それはそれで変わらないのですが、
最近開催したプライベートフォトセミナーで、

ストロボのターゲットライトを使い続けた結果、
3本目の途中でストロボが電池切れになってしまった

という場面に出くわしました。

 

なので、ピント合わせ補助用のライトを
常時点灯させておきたいという方は、
それ専用の水中ライトをひとつ
ハウジングに付けておいても良いのかもしれません。

つけるなら、必要最低限の光量で、
撮影時に消灯するタイプが良いと思います。

あるいは手間でなければ、
2本目と3本目の間でストロボの電池を交換しましょう。


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm  Z-240×2灯 f5.6 SS1/200秒 ISO160)

 

 

今日はここまで、

水中ライトはストロボの代用になるのか?

という切り口から、
水中ライトを使う事のメリット・デメリット
を紹介してきました。

 

「ストロボの代用」としては、
特にワイド撮影時においては不十分だけど、

動画も写真も撮りたい人にとっては魅力的だし、
ライトならではの表現を追い求めるのも面白い、

というのが、僕なりの結論です。

 

もちろん、代用として不十分でも、
ライト特有のメリットに大きな価値を感じる方にとっては、
「水中のライティングはストロボではなくライトで」
という選択肢も現実的にはありえる思います。

もしかしたら、ナイトマンタを撮る場合なんかは、
大光量ライトが必需品なのかもしれませんしね。

僕は暗い所が苦手だし、
夜はお酒を飲んでゆっくりしたいので、
ナイトダイビングにあまり縁がありませんが…笑

 

ライトを積極的に使用されている方で、
「ライト撮影には他にもこんなメリットがありますよ!」
という情報があれば、是非教えて欲しいなと思います。

それでは、今日もここまで
読んでくださりありがとうございました!

少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

(更新:2018.2.5)

 

 

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