こんにちは、上出です。
またまたお久しぶりになってしまいました…
今日は、
ターゲットライトの使い方
について基本的なところから解説していきます。
最近、ライトとストロボの使い方・使い分け
ついてのご質問をいただく事がものすごく多いです。
12月にプライベートフォトセミナーにご参加いただくFさんも、
これから一眼レフでの水中マクロ撮影を始めるに当たって、
・ストロボは何を選ぶべきか
・ターゲットライトは何をどこに付けるべきか
というような事を悩んでいらっしゃいました。
今日は、そんなFさんとのメールでのやりとりを、
編集し直して記事としてまとめてみました!
では早速内容に入っていきましょう。
(D750 + AF-S Micro-Nikkor 105mm Z-240×2灯 f9 SS1/160秒 ISO125)
それではまず、ターゲットライトについて考える前に、
水中ライトってそもそも何のために使うの?
というところから整理しておきましょう。
水中撮影におけるライトの役割には、
◆表現のためのライティング
◆ターゲットライト
という2つの要素があります。
表現のためのライティングというのは、
・ストロボの代わりにライトを使う
・ストロボと合わせてライトを使う
・RG BLUE SYSTEM03みたいな特殊なライトを使う
というような感じですが、
要はライトでライティングするという意味です。
(馬に乗馬するみたいな野暮な表現になってしまいましたが。笑)
これに関しては色々議論もあるかとは思いますが、
今日は触れません。
というか、
僕自身表現技法としてライトをほとんど使わないので、
あまり深い話もできません。
ここでおさえておいて欲しいことはひとつ、
「ライティングのためのライト」と
「ターゲットライトとしてライト
を明確に分けて考えるべき
という事です。
◆ターゲットライト◆
ターゲットライトとは、なんでしょうか?
おそらく多くの人の共通の認識は、
「ピント合わせの補助のためのライト」
だと思います。
正解です。
あくまでピント合わせのためのライトですので、
この場合ライティングはストロボでということになります。
では、なぜ「補助」が必要なのでしょうか?
デジタルカメラのオートフォーカス(AF)
の精度もスピードも、暗くなるほど落ちます。
極端に暗い環境では、落ちるというよりAFが機能しません。
岩陰にいるハゼにピントを合わせようとしたけど、
カメラ(レンズ)がジーコージーコーいって
いつまでもピントが合わないというのは、
誰でも一度くらいは経験があると思います。
余談ですが、暗いところでどれだけAFが機能するかというのは、
カメラによって違いますし、スペック表に書いてあります。
「検出範囲」とか「測距輝度範囲」とかいう項目になっていて、
「EV -3~20」というような表記になっています。
僕の使っているD750は-3EVとなっていますが、
新しいD850は-4EVとなっていますね。
つまり、D850の方がより暗いところでも
ピントが合いやすいということで、
基本的にはデジタル製品はどんどん進化しているので、
新しいカメラの方が性能は良い傾向にあります。
少し脱線しました。
ちなみに、マニュアルフォーカス(MF)の場合は、
検出範囲が-●EVみたいな話は関係ありません。
自分の目で見えさえすればいいわけです。
とは言っても、やはり岩陰にいるハゼやエビなんかは、
多少の明るさがないとピントの山が見えづらいですよね。
AFとは少し意味合いが異なりますが、
やはり最低限の明るさは必要です。
で、何を伝えたいのかと言いますと…
ターゲットライトというのは
フォーカスに必要な明るさを得るためのライト
↓
光量はピント合わせに必要最低限でOK
という事です。
なので、わざわざ千何百ルーメンの
水中ライトを用意する必要はありませんし、
強い光を当てると生物に過度なストレスがかかりますので、
その瞬間に逃げてしまう場合もあります。
(D750 + AF-S Micro-Nikkor 105mm Z-240×2灯 f8 1/250秒 ISO200)
もちろん、光量の小さなターゲットライトでも
逃げてしまったりそっぽを向いてしまう生物もいます。
そもそも暗いところにいる生物は、
暗いところが好きなわけで…
なので、ターゲットライトを使うかどうか
の判断は本来慎重にするべきですよね。
僕も、水中で良く悩みます。
特に、ピグミーシーホースを撮るときなんかはいつも悩みます。
暗くてAFがなかなか合わない…
擬態していてファインダーでつかまえられない…
合焦したけどピントの山が見えない…
でも、ターゲットライトを当てるとそっぽを向いてしまう。
なので、ストロボについている
ターゲットライトを真っすぐ当てずに、
少しずらして薄っすら当たるようにすることもあります。
例えば、僕の使っているZ-240だと、
ターゲットライトの照射角が20°なのに対して、
ストロボの照射角は100~110°と広いので、
ターゲットライトが薄っすら当たる程度のずれなら
ストロボ光はちゃんと(やわらかく)当たります。
(D750 + AF-S Micro-Nikkor 105mm Z-240×2灯 f13 1/60秒 ISO160)
ここまで解説してきましたのは、
ターゲットライトはピント合わせの補助のためのライト
↓
必要最低限の光量でOK
というお話しでした。
ここでもう一つ、
ターゲットライトに求められる要素について考えたいと思います。
先ほどもお伝えしましたが、
「ターゲットライト」はピントを合わせるためだけに必要なもので、
画作りのためのライティングはストロボで行います。
ということは、
ライトは「ピント合わせ」という役割を終えた後は、
消えてくれるのが理想です。
じゃないと、撮影時にストロボの光と
ライトの光がどちらも被写体に当たることになり、
わけがわからなくなります。
つまり、
・必要最低限の光量
・シャッターが切られる瞬間にはライトが消えている
という2つの要素が、ターゲットライトには必要不可欠です。
いわゆる水中ライトは基本的には光りっぱなしです。
ストロボと連動して消灯してくれるタイプもありますが、
割と明るい(500ルーメン以上とか)ライトが多いと思います。
この点、
ストロボについているターゲットライト
は使い勝手が良いです。
ターゲットライト付きのストロボというと、
【INON】Z-240、D-2000
【SEA&SEA】YS-D2、YS-01
あたりでしょうか。
僕はこれまでZ-240をメインで使ってきました。
このターゲットライトは180ルーメンで、
先ほどピグミーのくだりでも触れましたが、
ちょっと明るすぎるなと感じる場面もあります。
最近初めてYS-D2を使用したのですが、
このストロボはターゲットライトの光量が水中で切り替えられます。
300ルーメンか100ルーメンか選べるのですが、
僕にとって100ルーメンという小さな光量は、
なかなか使い勝手が良いです。
(ストロボ本来の性能や使い勝手の比較については、
また別の機会に取り上げようと思います。)
(D750 + AF-S Micro-Nikkor 105mm YS-D2×2灯 f9 1/200秒 ISO160)
ストロボとは別の水中ライトではなく、
ストロボについているターゲットライトを
使うべき理由はもうひとつあります。
それは、
ストロボが被写体を向いていて、
間に障害物がないかを確認できる
という点です。
僕も昔は、師匠から水中でよく指摘されました。
「ストロボちゃんと当たってないよ」と。
自分で撮影しているとなかなかわからないのですが、
他の人が撮影しているのを俯瞰して見ていると、
ストロボがあらぬ方を向いてしまっていたり、
ストロボ光が間の岩に当たってしまっていたり
というのが良く見えます。
フォトセミナー中にも、ストロボの向きや位置を
アドバイスさせていただくことがあるのですが、
これだけで写真が見違えるように変わることが多いです。
ストロボについているターゲットライトを使えば、
この失敗は防げます。
正直僕は今でも、
ターゲットライトをつけてみたら
「あれ?見当はずれのところを向いてたなあ」
ということがたまにあります。笑
マニュアルだろうがTTLだろうが、
発光量を微調整しようが、
ストロボの光が被写体に
届いていなければ意味がありません。
そういう意味では、
「ストロボの光軸を確認する」という役割
もとても重要です。
(D750 + AF-S Micro-Nikkor 105mm Z-240×2灯 f6.3 1/200秒 ISO125)
ここまで、ターゲットライトに求められる要素として、
・ピント合わせに必要な(適切な)光量が得られる
・シャッターが切られる(ストロボが発光する)瞬間に消える
・ストロボの向きや障害物を確認できる
という点をあげさせていただきました。
ターゲットライトはストロボについているものを使うのがベスト
というのが、
通常のマクロ撮影における僕なりの結論です。
それでは、今日もここまで読んで下さりありがとうございました!
少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。
(更新:2017.9.11)
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