こんにちは、上出です。
今日は、
初めての水中一眼レフ
&
初めてのフルマニュアル撮影
で、
思い通りのふんわりマクロ写真を
撮るためにはカメラをどんな設定にしたら良い?
というテーマについて、
先日開催したプライベートフォトセミナーでの
学びを交えながら紹介していきます。
まず、今回セミナーにご参加いただいた山内さん、
お写真の掲載をご快諾いただきありがとうございました。
この記事で使用しているお写真は、
全てセミナー中に山内さん自身が撮影された作品ですが、
初めての水中一眼レフ撮影とは思えません。
どうやって山内さんが
ここに至ったのかを振り返りながら、
解説を進めていきたいと思います。
(SDカードのトラブルで
JPEG保存ができていなかったため、
僕のPCでRAW現像しています。)
それでは、今回のセミナーの目標と、
山内さんの背景から紹介しましょう。
【セミナー参加理由】
・ふんわりした水中マクロを撮れるようになりたい
【学びたいこと】
・そのために何をすれば良いのか基本から教わりたい
・カメラの設定に対する考え方について知りたい
【現状】
- 水中はTG-3+S-2000(1灯)、
陸上はCanonの一眼レフ(Kiss7)で撮影している - マクロレンズは使ったことがない
- f値やSS等どれから固定すべきかわからず、
結局一眼レフでは「絞り優先」で撮影している - 目にピントを合わる、といった基本はおさえられている
【今回の仕様器材(レンタル)】
- Nikon D7000
- AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G
- INON Z-240 2灯
- Anthis Nexus D7000
山内さんから事前に
送っていただいたお写真も拝見して、
今回のセミナーでは以下の部分に
力を入れることにしました。
・絞り(f値)、シャッタースピード(SS)、ISO感度
の設定を自分で微調整して(マニュアルモード)、
ボケ具合と明るさを思い通りにコントロールする
・ストロボの光量、ポジション、角度、を、
カメラの設定やその場の状況によって調整する
でも…
f値、SS、ISO感度、ストロボ光量、
を、いきなり全部水中で操れるでしょうか?
たぶん、初めての水中一眼レフで、
いきなり全部できる人はいません。
ファインダーを覗いてピントを合わせる
という作業だけで、
かなり時間も集中力も使います。
なので、今回はこうしました。
カメラ:マニュアルモード
ストロボ:マニュアルモード
え?
結局全部本人に設定・調整させるの?
鬼ですか?
そんな声が聞こえてきそうです…
確かに山内さんは、
「スパルタでお願いします。」
と事前にメールをくれていました。笑
でも、僕はスパルタキャラじゃありませんし、
ちゃんと意図はあります。
僕は、絞り優先がいけないとか、
オート機能を使うのがいけないとか、
そんなガンコじじいみたいなことは思っていません。
必要に応じて、僕もISO感度をオートにしたりします。
(参照:一眼のオート機能は水中で使えるのか)
でも、今回は
カメラの設定に対する考え方を知りたい
わけです。
それなのに、
カメラ側で勝手に状況を判断されて、
設定がコロコロ変わってしまうと、
後から検証もできないし
結局何が起こっているのかよくわかりません。
なので今回は、
それぞれこのような設定にしました。
SS:1/160秒(固定)
ISO感度:160(固定)
絞り:
自由に変えて、解像感やボケ具合を見てね。
ストロボ光量:
絞りを変えると明るさ(露出)が変わるから、
それに合わせて強くしたり弱くしたりしてね。
これで、絞りを変えた時の描写の変化を
ストレートに感じることができます。
SSとISO感度は僕が良く使うあたりに固定しましたが、
別にSS1/100秒とISO100でも良いです。
ここでは細かい数値は気にしないでください。
今回のセミナーでは「ふんわり」
がひとつのキーワードですので、
そのためには絞りを調整して
ボケ具合をコントロールする必要があります。
絞りを開ければ(f値を小さくすれば)
よりボケやすくなりますが、
その分ピントは合いにくくなるし
解像感は得られにくくなりますね。
逆に、絞りを絞れば(f値を大きくすれば)
よりボケにくくなりますが、
その分カリッと解像感のある描写になり、
ピントの合う範囲も広くなります。
じゃあ、ふんわり水中マクロを撮るためには、
絞りを開けて被写界深度(ピントの合う範囲)
を浅くすればいいんですね!
そう思われる方が多いのではないでしょうか?
正解です。
山内さんもそのような感覚をお持ちでした。
では、実際に山内さんが撮影された
お写真で検証してみましょう。
あれ?
このレンズの開放f値はf2.8なので、
f11というとけっこう絞りを絞っていることになりますね。
(Nikonなので表記は実効f値です。)
でも、ボケるところはボケていますし、
ふんわりした雰囲気の作品に仕上がっています。
なぜでしょうか?
それは、しっかり被写体に寄れているからです。
被写界深度というのはf値だけではなく、
被写体とカメラの距離にも影響を受けます。
ここではかなりシンプルに解説しますが、
被写体に寄れば寄るほどピントの合う範囲は浅くなるので、
背景はよりボケやすくなります。
そのため、例えば
f値:開放(f2.8)
被写体とレンズの距離:最短(ピントが合うギリギリの近さ)
という環境で撮影すると、
背景は究極にボケるわけですが、
被写界深度が極端に浅くなり、
どこにピントが合ってないような写真
生物のディテールがほとんど残っていない写真
になってしまいがちです。
そのため、マクロレンズ業界?では
寄ったら絞る
という呪文があります。
これはまあ呪文と言うか基本なので、
基本を押さえたうえでだんだん
崩していくのはもちろんありなんですが、
今回はこれに則った考え方をしてみたわけです。
被写体に寄りまくっていますね。
なんて綺麗な角膜なんでしょう。
さすがにここまで寄れば、
f11でも被写体以外の部分がしっかりボケます。
先程のナカモトイロワケハゼのお写真もそうですが、
絞りをf5.6→f8→f11と絞り込んでいくのに合わせて
ストロボの光量も徐々に大きくしていっているので、
被写体に丁度良い強さの光が当たっていますね。
「絞り」と「ストロボ光量」を
ご自身で見事に操ってくれました。
さて、そんな山内さんからいただいた
コメントをここで紹介しますね。
2日間ありがとうございました!
今回のセミナーを通して、
経験の浅い自分でも、作品と呼べそうな、
ふんわりとした写真を撮ることができるんだ
という自信を持つことができました!
インスタでフォローさせていただいている方の
情報から上出さんのブログを知り、
そこで書かれていたセミナーのターゲットが
まさに「自分やん!!」と興奮しながら
早速セミナーを申し込んだことを今でも覚えています。
今回のセミナーでは、上出さんに
「ふんわりした写真を撮れるようになりたい!」
という相談をさせていただきました。
初めは
「水中で1度も一眼を触ったことないのに
本当に2日だけで撮れんのかな?」
と不安でしたが、
事前のメールでのやり取りを何回かさせていただく中で、
自分の中でぼんやりとしていた問題が具体化されていき、
セミナーまでに頭の中で何を整理しておかないといけないのか、
セミナーでは何を注意しないといけないのか、
ということを洗い出すことができました。
そのおかげで、不安も少しずつ解消されていき、
何とかなるかなと思えるようになっていきました。
実際のセミナーでは、初めは、
これまで水中でファインダー越しに撮影する
ということをしたことがなかったこともあり、
ピントを合わすこととシャッターを切ることに必死で、
事前に頭の中で整理していたことは完全に飛んでいました。笑
しかし、自分が撮った写真を
水中で上出さんに確認してもらうたび、
的確な指示をしてもらえるので、
徐々にですが
「この状況だとF値はこれくらいの方が良いかな?」
「ストロボの角度はこんな感じかな?」
ということを考えられるようになってきました。
その結果として、
2日目は1日目よりもさらに良い写真が撮れた気がします。
また、本数を重ねるにつれて、
ファイダーを覗きながらシャッターを切ることが
快感になってきました。
そして、上出さんとの飲みの席で、
今日撮ったものだよとipadで写真を見せていただいたとき、
これまで自分が撮ってきた写真の雰囲気とあまりにも違っていたので、
最初は上出さんが自分を喜ばせるために、
過去に上出さんが撮ったものを自分が撮ったものと
嘘をついて出しているのかと正直思いました。笑
でも、その写真をよく見ると
「この構図は自分が今日撮ったものやん!!!」
あの瞬間はシビれました。
カクレクマノミとハナミノカサゴの2枚は特にお気に入りです。
頑張れば自分でもこんな写真が撮れるんだと自信がつきました。
この2日間だけで自分1人で思い通りに
撮れるようになったとはまだまだ思えませんが、
今回のセミナーを通して
「その場の状況によって、F値、SS、ISO、
ストロボなどカメラとどう向き合えば良いか」
「被写体とどう向き合うべきか」
など、今後に活かすことができることを多くのことを学べました。
また、プロの方がこんなにも写真のクオリティにシビアなんだ
ということも肌で感じることもできました。
これらは、
独学だけでは知りえなかったことだと思いますし、
プライベートレッスンだったからこそ、
腑に落ちるまで教えていただけたのかなと思います。
長くなってしまいましたが、
この2日間本当にありがとうございました。
これからも少しずつ練習していき、
まずは自分が満足できる写真を撮れるように努力していきます。
今後とも、よろしくお願いします。
山内さん、臨場感溢れるコメント
本当にありがとうございます。
2日目の夜いっしょに焼鳥屋に行ったのですが、
ご自身の作品の出来栄えと泡盛に酔った山内さんは、
僕の
「沖縄といったら〆のステーキでしょ」
という言葉に興味を持たれたようで、
焼きおにぎりまで食べてお腹一杯のはずなのに、
〆のステーキを食べに夜の街に消えていきました。
(僕はステーキは辞退しました…胃弱なので。笑)
ステーキの話はさておき、
僕は今回のセミナーを通して、
一つ再確認したことがあります。
それは、
センスは後から身に付けられる
という事です。
以前別の記事で、
「構図」の基礎をおさえることが
センスの良い水中写真を撮ることにつながる
という事をお話ししました。
(参照:構図の知識って本当に必要? ~水中写真のセンスは後から身に付けられる~)
今回のセミナーでは、
「絞り」や「距離」をコントロールすることによって
「ボケ」を自在に操りふんわりした水中写真を撮る
ということに重点をおきましたが、
これも「構図」の話と同じです。
「構図」だろうが「ボケ」だろうが、
基礎をおさえるだけでセンスが良くなります。
僕があーだこーだ言うよりも
実際に見ていただいた方が早いと思いますので、
山内さんのInstagramを覗いてみて下さい↓
https://www.instagram.com/ysk_chmy/
カメラがコンデジから一眼に変わっている
という事を差し引いても、
「ボケ」や「構図」の基礎を丁寧におさえただけで、
水中写真のセンスが数段上がっているのがわかるはずです。
別に、裏技を教えたわけではありませんし、
奇をてらったような作品でもないと思います。
結局のところ、
・正しい基礎知識を持っている事
・知識を実践して腹落ちさせる事
が、何より大切なんですね。
山内さんの場合は、
沖縄に来る前のメールのやり取りを通して
知識の整理ができていました。
その分、沖縄では実践に時間を割けたので、
短時間でより大きく成長できたのだと思います。
生まれながらのセンスなんてなくても
人の心を動かす作品は必ず撮れる
と、僕はこれまでずっと言ってきました。
今回のセミナーでは、
元々意図していたわけではありませんでしたが、
結果的には山内さんと一緒にそのことを証明できました。
僕は、とても嬉しいです。
そして、嬉しいだけじゃありません。
セミナー参加者や読者の方の成長が
僕にとっても大きな刺激になり、
もっと勉強してもっと成長して
今よりも有益な情報を届けられるようにならないと
というモチベーションにつながります。
みなさんこれからも、
僕にどんどん刺激を下さいね。
それでは、今日もここまで
読んでくださりありがとうございました!
少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。
(更新:2017.11.10)
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