「#加工なし」は正義なのか? ~水中写真の編集・修正を考える~

この記事は4分で読めます

Pocket

 

 

こんにちは、上出です。

 

今日は、

 

水中写真の加工・修正の考え方

 

について紹介します。

 

ちなみにここでは、

具体的にこんな編集の仕方をしましょう!

という解説ではなくて、

 

そもそも加工とか修正ってした方が良いの?

 

という話をしていきますので、

気楽に読んでもらえたらなあと思います。

 

 

ところで、なぜこんな話を

今日しようと思ったのかと言いますと、

先程Instagramを見ていて目にとまった夕焼けの写真に、

「加工なしです!」と書いてあったんですね。

 

で、「#加工なし」というハッシュタグがついていたので、

どれくらいの人がそのタグを使っているのかなと思ったら、

 

何と33万枚もの写真が

「#加工なし」でUPされているではありませんか…

これはもう無視できません。笑

 

(加工ありありです。)

 

というわけで、

「加工なし」は正義なのか?

について考えていきたいわけですが、

 

結論から言えば、

何のために撮られた写真なのか?

によって答えは変わってきます。

 

 

例えば、「報道」や「科学」といった分野の

「記録」として撮られた写真というのは、

基本的に加工や修正をすることが許されていません

 

特に、本来そこにないものを追加したり、

そこにあったものを削除したりすることには厳しいです。

 

この禁忌を冒したことにより、業界から

永久追放された科学者やジャーナリストもいますね。

 

 

では、僕らが普段撮っている水中写真はどうでしょうか?

 

もしもその写真が、

何かジャーナリスティックな視点で撮られたものだったり、

科学的に何か価値を生み出すようなものであったなら、

「加工なし」にも意味があると思います。

 

例えば、

「都市開発によって破壊されつつあるサンゴ礁の写真」

とか

「全身真っ青だけどクマノミの形をした魚の写真」

とか、そんな感じです。

 

 

でも、少なくとも僕は、

普段からそういった写真を撮ることはほぼありません。

(青いクマノミがいたら夢中で撮るとは思いますが…笑)

 

なので自分の写真を「加工なし」で

世に出すことに意味を感じられません。

 

ジャーナリストではない、写真家という立場上

「自分の心が動かされた何か」

を正確に伝えるために写真を加工することは正義であり、

 

逆に、自分なりの編集を加えないことは

表現のサボリだとさえ思っています。

 

 

例えば、モンハナシャコの写真で比べてみますと、

こちらがRAWデータ(撮影時の生データ)

をそのままJPEGに変換した写真です。

 

 

 

僕は、この生物の特異的な形と存在感、

そして派手な色彩を表現して伝えたかったので、

彩度やコントラストを上げて、さらに

シャコが真ん中に来るようにトリミングしました。

 

 

 

ちなみに、先ほど紹介した科学や報道などの

ルールが厳しい分野においても、

ある程度色やコントラストを調整したり、

トリミングするのは許されていることが多いです。

 

ですので、これらの加工・編集は

アートとしての水中写真では全く問題になりません。

 

 

じゃあ水中写真なら編集は何でもありなの?

と聞かれれば、個人的には違うかなと思います。

 

これまで自分に明確な基準を設けてきたわけではありませんが、

やはり、超えてはいけない一線というのは自然に持っています。

 

例えば、見る人にとって邪魔だろうなと思う

水中の浮遊物(マリンスノーと呼ばれるもの)は、

僕は迷わず消します。

 

 

でも逆に、

 

「こんな生き物がここにいたら良いな」

「ここの洞窟はダイバーがいた方が画になるな」

 

と後から思って、他の写真から切って貼って…

みたいなことは、僕はやりません。

 

例えば御蔵島で撮影したイルカの写真に、

石垣島で撮影した写真からマンタだけを

切り抜いてイルカの横に配置して

 

「奇跡の一枚です!」

 

なんて言ったら、それはもはやおぼかたさん状態です。

 

 

僕の写真を見て

「そんな景色や生き物を見てみたい」

と思ってくれた人が、

 

実際その場所に行けば見られる可能性がちゃんとある

という事が僕にとっては大切です。

 

僕は

人の心に彩りを与えることから、世界を変えていきたい

という思いで水中写真を撮っています。

 

なので、

後から誰かをがっかりさせてしまうような加工はしない

というのが僕にとっての超えてはいけない一線です。

 

 

今日は、

 

「加工なし」は正義なのか?

 

というテーマでお話ししてきましたが、

 

立場や目的によって考え方が大きく変わるはずなので、

ひとつの明確な答えというのはありません。

 

僕自身にとっては、

自分が何のために水中写真を撮って、編集して、発表しているのか

を改めて考える良い機会になりました。

 

皆さんにとっても何かの参考になれば嬉しく思います。

 

 

 

最後に付け加えておきますが、Instagramにおいては

「スマホで撮影してアートフィルターで目を引くように加工して投稿」

という流れが前提にあるからこそ、

 

加工しなくてもこんなに綺麗な場所があるんだよ!

 

という意味で「#加工なし」を使っているんだと思うので、

それはそれで良いと思います。

 

それに対して、余計なお世話だ!

とか思いません。笑

 

 

綺麗な景色を見て、

それをそのまま伝えるべきだと思えば

「加工なし」で投稿すれば良いですし、

 

なんだか実際見えてる海の色が写真だと出てないなー

と思えば彩度を上げてから投稿すれば良いと思います。

 

 

最終的に価値を判断するのはその写真を見た人ですので、

アートとしての写真は自由な発想・手法で楽しんでいきましょう!

 

今日もここまで読んでくださりありがとうございました。

 

 

ブログランキングに登録してます。
記事が参考になりましたら、応援クリックをいただけると嬉しいです!
(下のバナーを1回ずつクリックしてください↓)
 

にほんブログ村 写真ブログ 水中写真へ

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

管理人 : 上出 俊作 (水中写真家)

沖縄本島を拠点に活動している水中写真家です。

これまで、写真集の出版や写真展の開催などを通して、海の魅力を伝えるべく水中写真家として活動してきました。

撮影スタイルという程でもないですが「日常を切り取る」という事が僕にとっての大事なテーマです。

珍しい生き物を追いかけ回したりせず、水中の生き物たちとかくれんぼやにらめっこをして遊びながら、のんびりと撮影しています。

「水中写真を通して共に成長し合える仲間と出会い、一緒に豊かな人生を歩んで行きたい。」

そんな思いから生まれたのが、このブログです。

自分と真剣に向き合う事の大切さを教えてくれた水中写真に、日々感謝しています。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

資格・所属

PADI Instructor (OWSI #827547)
PADI Digital Underwater Photographer Instructor
PADI Enriched Air Specialty Instructor
潜水士
海をつくる会(所属)

ブログランキング

いつも応援ありがとうございます!
ブログランキングに参加しています。

記事が参考になった、面白かったと思って頂けたようでしたら、応援クリックをいただけると嬉しいです。

よろしくお願いいたします!

にほんブログ村 写真ブログ 水中写真へ

免責事項

本サイトの情報は、水中写真撮影の参考としてダイビングや水中写真に関する情報提供を目的としています。

本サイトの情報について正確性や完全性を保証するものではありません。

本サイトの利用によって生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いません。