水中写真の絞りとボケをコントロールする ~ワイドはカリッと、マクロはフワッと~

 

こんにちは、上出です。

今日は、
水中写真で「ボケ」をコントロールするためには、
「絞り」をどのように調整したら良いのか?
について紹介します。

最初に、「絞り」について極々簡単に解説しておきますね。

※「絞り」や「露出」に関する考え方は一眼レフでもコンデジでも同じですが、
コンデジの場合はオートモードしかなく細かい設定ができない場合があります。

デジタルカメラを使っていると、シャッターボタンを押せばすぐ
撮った写真が液晶画面に写し出されるので、
自分のカメラがどうやって
目の前の景色を写真という形に変換しているのか?

なんてイチイチ考えることはないと思います。

この時、カメラの内部で実際に何が行われているのかというと、
レンズ → 絞り羽(穴) → 撮像素子(センサー)
という流れで光が取り込まれ、
センサーで受けた光の情報がカメラ内部で処理され、
最終的に「写真」として記録・表示されています。

そして
「絞りを調整する」
というのは、
「絞り羽の開き具合を調整する」
ということ、つまり
「光を通す穴の大きさを調整する」
ということです。

光を通す穴の大きさを変えると、記録される写真に2つの影響が出ます。

 

写真の明るさが変わる
当然、穴を大きく開ければ
センサーにたくさん光が届き、
写真も明るくなります。

この写真の明るさの事を「露出」と呼ぶわけですが、
今日のテーマからは外れてしまいますので、
お時間のある時にNikonの解説ページをご覧ください↓
参照:Nikon公式HP「露出を決定するシャッタースピードと絞り値」

 

ボケ具合が変わる
今日詳しく見ていきたいのはこちらです。
ちゃんとした言葉で言うと、
絞りを変えると
ピントの合って見える範囲=被写界深度
が変わる
となります。

ただ、これに関して0から解説すると、
水中写真への応用に辿り着く前に
僕が力尽きてしまいそうですので…

やはりここの解説もNikonさんに譲ります。笑
参照:Nikon公式HP「絞り値(F値)」

ざっくり言えば、
「f2.8」みたいに絞りの数字が小さければ
ピントの合う範囲が浅くなってボケが大きくなるし、
「f16」みたいに数字が大きければ
ピントの合う範囲が深くなってボケにくくなる、
という事です。

では、早速ここからは、
水中写真への応用に入っていきましょう。

 

 

水中ワイド


(D7000 + Tokina AT-X107  f11 1/250秒 ISO200)

 

水中ワイドに関しては、
できるだけ絞り込む(f値を大きくする)

画面全体をシャープに描写する(なるべくどこもボケさせない)

というシンプルな考え方で、僕は良いと思っています。
だいたい、f8-13あたりが目安でしょうか。

コンデジの場合はf5.6-8.0くらいの方がシャープに写るのかもしれません。
(レンズの性能はf8前後がピークなんて言われ方もします。)

ちなみに、f値を大きくしすぎると、
被写界深度が深くなって画面全体がシャープに写るかとお思いきや、
回折現象(小絞りボケ)」が発生して解像度が下がってしまう事があります。
なので、僕もf16以上はあまり使いません。

ただ、この辺りの数字の目安は撮影機材によって変わってきます。

例えば「Tokina AT-X107」は
f8だとカリっとした描写が得られない印象なので
僕はf9-13で撮影する事が多いです。

一方「AF-S Nikkor 14-24mm」は
陸上ならf5.6でも十分解像感がありますが、
レンズポートとの相性が悪く
水中だと画面の四隅が流れがちなので、
水中で使う際はf8-14あたりに設定します。

実際にはシャッタースピードやISO感度と
合わせて考える必要がありますが、
水中ワイドを撮る際にはとりあえずf8から
スタートすれば大きな失敗はしないはずです。

 


(D750 + AF-S Nikkor 14-24mm  f11 1/320秒 ISO2200)

 

水中マクロ
基本的には、「ボケ」を効果的に
使いやすいのは水中マクロだと思います。

例えば、今流行り(?)のふんわりマクロというのは、
一般的にはf2.8f4.5など、絞り開放付近で撮影される事が多いです。

※Nikonのカメラでマクロレンズを使うと、実効f値という少し変わったf値の表記になります。
ここではあまり気にしなくていいですが、下の写真は一般的なf値表記(公称f値)に直すとf3.5-4.5の間になるはずです。

 


(D750 + Nikkor 105mm MICRO f5.0 1/160秒 ISO160)

 

僕はよくこういう撮り方をします。
どちらかというと、女性的ですよね。
でも、海外ではこの作風はあまり受け入れられないらしいです…
悲しいですね。笑

「迷ったら開放で!」
というのは日本だけで通じる合言葉なのかもしれません。
(ごめんなさい、たぶん日本でも通じません。そんなことを言っているのは僕だけです。笑)

話を戻しますが、
こういった写真を「絞り」という観点から解説すると、
できるだけ絞りを開ける(f値を小さくする)

主題だけにピントが合うようにする(他の部分はボカして主題を引き立たせる)
という考え方になります。

水中マクロに関しては、これが正解というわけではなく、ひとつの表現技法です。

ちなみに、一般的には
主役の向こう側(背景)をボカすことに意識が行きがちですが、
もちろん主役の手前にボケを使っても構いません。

 


(D750 + Nikkor 105mm MICRO f5.0 1/160秒 ISO160)

 

これは前ボケと呼ばれています。
(この写真は背景もボカしてますが…)

何だかさっきからボケボケうるさいですね。笑

 

前ボケは特別難しい技法ではありませんが、
明るい色の前ボケを作るのがコツです。

 

暗い色の前ボケを入れると、
うっかりゴミが写り込んでしまったような、
残念な印象になりがちです。笑

 

被写体と自分の間に何か明るい障害物がないか
気にする癖をつけると表現の幅が広がりますよ。

 

それから、
一点注意していただきたいのは、
同じf値でもカメラの規格によって
ボケ方が変わるという事です。

長くなるので細かい話は省きますが、
「同じ画角で撮影する」という前提で話せば、

センサーが大きければよくボケますし、
センサーが小さいとあまりボケません。

センサーのサイズ小さい順に並べると
コンデジ
ミラーレス一眼(マイクロフォーサーズ)
一眼レフ(APS-C
一眼レフ(フルサイズ)

となります。
つまり、コンデジじゃなかなかボケません。

ミラーレス一眼にマクロレンズを
装着すればそこそこボケますが、
やはり一眼レフほどはぼけません。

この「ボケやすさ」を求めて、
コンデジからミラーレス一眼へ
ミラーレス一眼から一眼レフへ
とステップアップしていく方も多いです。

 

ここまで、水中マクロに関しては
f値を小さくして大きなボケを作る
という視点で解説してきました。

でももちろん、
f値を大きくしてできるだけボカさない
という表現技法だってありですし、
僕もそういうマクロ撮影をする事もあります。

ただ、すでにだいぶ長くなってしまいましたので、

「ボケ」をコントロールし
思い通りの背景を作るための考え方

については、
次回さらに掘り下げて解説したいと思います。

 

 

今日はここまで、
・水中ワイド撮影時はf値を大きめに設定し、画面全体をシャープに描写するのが基本
・f値は大きくしすぎると(絞り込みすぎると)小絞りボケを起こし解像感が失われることがある
・ふんわりマクロを狙う際は、f値を2.8-4.5の解放付近に設定し、主役以外を大胆にボカすと効果的
というお話をさせていただきました。

 

少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。
今日もここまで読んで下さりありがとうございました!

 

(更新:2017.4.10)

 

 

 

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2 Responses

  • こんにちは。記事拝見させて頂きました。
    大変参考になりました。ありがとうございます。
    最近、ミラーレスデビューして海の中を撮影しています。
    また覗きにきます。

    • こんにちは!

      コメントありがとうございます。
      記事が参考になったようで嬉しいです。

      ミラーレスデビューおめでとうございます(^^)
      いつかアイランドKさんの素敵な作品も見せて下さいね。

      今後とも宜しくお願いいたします!

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