サンゴの水中写真を綺麗に撮影する方法【伊平屋島編】

 

こんにちは、上出です。

先日、サンゴの撮影のコツについて、2本の記事をアップしました。

 

サンゴの水中写真を綺麗に撮影する方法【前編:光】

サンゴの水中写真を綺麗に撮影する方法【後編:構図とアングル】

 

今日は、上の2本の記事の補足です。

前編と後編を先に読んで欲しい気持ちはありますが、この記事だけ読んでも成り立つようには書いていくつもりなので、まあ、任せます。

 

サンゴ撮影についての記事を書いた直後に、伊平屋島に行ってきました。

というか、伊平屋島ツアーまでには記事をアップしようと思ってたんですよね。

だって、ツアーの後にそんなピンポイントに役立ちそうな記事をアップしたら、参加者の方から怒られそうじゃないですか。笑

 

そんなわけで、伊平屋島では自分の記事の内容も薄っすら思い出しつつサンゴを撮影していたのですが…

「あ、これは書き忘れた」とか「あ、これもありだな」とか、そんなことを思う瞬間もありまして。

 

せっかくなので、今日の記事では番外編として、前編・後編で書けなかったことを書こうと思います。

はっきり言って簡単な内容ですので、さらっと読んでください。

 

ちなみに、伊平屋島の詳しい話についてはこちらで書かせていただきましたので、是非、ぜひ、ご覧ください。

スクーバモンスターズで連載しているエッセイの第三弾です↓

上出俊作フォトエッセイ 伊平屋島のサンゴ

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200 F11 1/500秒 ISO800

 

さて、今日の記事で伝えたい内容は2つです。

前編の「光」と、後編の「構図」。

それぞれに1つずつ補足していきます。

 

エッセイに掲載できなかった伊平屋島の写真も載せますね。

書ききれなかった話も、書けたらいいな…

 

①サンゴの水中写真を綺麗に撮影する方法【前編:光】の補足

 

サンゴの撮影は「光をどう扱うか」にかかっています。

前編では、そんなカッコイイことを書きました。

 

順光でも逆光でも撮れるが、僕自身は「逆行気味」が好きだ。

そうも書きました。

 

しかーし!

伊平屋島で気づきました。

「逆行気味」よりも「強烈な逆光」の方が好きかもしれない、と。

もはや、補足というより訂正ですが。笑

 

実は、伊平屋島でサンゴを撮影したのが、早朝と夕方だったのです。

元々そのタイミングを狙ってたわけではなく、他のポイントとの兼ね合いでたまたまそうなりました。

 

どういうことかと言うと、サンゴ以外のポイントに、潮止まりで入りたかったんですよね。

「イソバナ」と「野甫島学校下」という2つのポイントは、入るタイミングを間違えると潮がビュンビュンで撮影どころではないということだったので。

お昼前後に潮が止まるタイミングを見計らって入りました。

どちらのポイントも、それはもうめちゃくちゃに面白かったです。

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200  Z330 F13 1/250秒 ISO400

 

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200  Z330 F14 1/250秒 ISO500

 

結果的に、サンゴはそれ以外の時間で撮影することになりました。

フォトエッセイのメインビジュアルで使ってもらった下の写真、何時に撮ったと思いますか?

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200 F11 1/250秒 ISO900

 

なんと、朝7:40です。

よく見ると、サンゴに写った光が虹色に輝いています。

ファインダーを覗くと、まさに光が降ってきているように感じました。

 

うまく言葉にできないんですが、この雰囲気は日中では出せないと思います。

早朝の逆光は無条件に神々しく、たくさんのものを包み込んでいました。

 

ちなみに「前編」で、「順光だと自分の影が入りやすい」と書きましたが、これは太陽の位置が低ければ低いほど顕著です。

なので、早朝とか夕方に順光で撮ろうと思ったら、かなりアングルが限られます。

自分の影を見ながら色々試してみましたが、下の写真くらいカメラを上に向ければ、ギリギリ影は写りませんでした。

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200 F11 1/500秒 ISO800

 

仮に、早朝の光に神々しいという言葉が似合うとしたら、夕方の光にあてる言葉は「艶めかしい」ですかね。

光がそっと、スポットライトのように降り注ぐんです。

ほら、そこに大事なものがあるよ、って感じで。

 

もちろん、全然科学的な話じゃないですよ。

エモーショナルな、センチメンタルな、ノスタルジックな話です。

 

そういえば、もう10年ほど前の話ですが、製薬会社時代の上司がこんなことを言っていました。

「売れない理由ばっか並べてんじゃねえよ!エモーションで売って来いよ!最後は目薬さしてお願いすんだよ!」

昭和か?感は否めないですが、やっぱりエモーションは大切なようです。

 

ちなみに、僕が沖縄移住を理由に退職する時、すでに自分の上司ではなかった彼に、挨拶のメールを送りました。

すると、こう返ってきました。

「本当にやりたいことが見つかったんだね。それって素晴らしいことだよ。頑張ってね。」

 

ちなみに、新人の時にお世話になった別の上司に電話で挨拶をした時には、こう言われました。

「上出!何言ってんだ!お前、人生捨てるのか?」

 

色んな大人がいますね。

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200 F11 1/500秒 ISO560

 

夕方の光の話でした。

撮影時に考えることは、早朝と特に変わりません。

ただ、早朝と夕方では、人間の思考の方向性は変わる気がします。

その時々の思いを、写真に乗せてもいいのかもしれませんね。

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200 F11 1/250秒 ISO400

 

そうそう、半水面も夕方に撮りました。

初めての経験でしたが、これははっきり言って、オススメです。

太陽の位置が低い方が、空の青も出しやすいと思います。

夕方の順光、半水面、頭に入れておきましょう。

ちなみに、この写真を撮影したのは17時頃です。

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200 F13 1/800秒 ISO1000

 

②サンゴの水中写真を綺麗に撮影する方法【後編:構図とアングル】の補足

 

後編の記事の中では、あおりだ俯瞰だ、寄りだ引きだと、ごちゃごちゃ書きました。

でも、伊平屋島で気づいたんです。一番大事なことを書き忘れていた、と。

 

例えば、先ほど紹介した「イソバナ」とか「学校下」といったポイントでは、ある程度「撮り所」が決まっています。

「あえてそこじゃない所を切り取るんだ!」という人もいるでしょうが、まあそれはそれとして。

「砂地に根があって、そこにキンメモドキが爆発的に群れてます」とブリーフィングで言われて、根にたどり着くや否や、根と反対方向にカメラを向ける人は中々のアーティスト気質です。

普通はみんな、根を撮ります。

 

一方、サンゴのポイントは、そこまで「撮り所」が明確ではありません。

ガイドさんから「あの辺が綺麗だと思いますよ」とアドバイスをもらうことはありますし、それは僕も参考にしますが、では必ずしもその辺が自分にとってベストか、自分の心が動くのかと言うと、そうとも限らないんですよね。

 

サンゴの撮影においては、どこを切り取るのか、自分で判断する必要があります。

と言っても、まあそれはみんな自然にやってると思います。

「この辺が綺麗だな」「ここは密度が高いな」という感じで。

 

ここで僕が伝えたいことはひとつ。

もっと泳ごうぜ。です。

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200 F11 1/250秒 ISO450

 

正直、どこまで自由がきくのかという問題はあります。

安全第一ですし、現場ではガイドさんの指示に従うのは当然です。

 

ただ、ある程度泳ぎ回ってみないと、自分にとって本当にグッとくる場所に出会えない可能性があります。

もちろん、まずファインダーを覗いて、シャッターを切ってみるというのはいいんです。

そこから見えてくるものもありますしね。

でも、そこだけで終わっちゃもったいない。

 

正解があるわけではないので、参考までに、僕がどんなことを考えながらサンゴの撮影に臨んでいるかを書いておきます。

 

まずは、安全の範囲内で、泳ぎまくります。

途中、いいかな?というところがあれば、ファインダーを覗きます。

覗いてみて、シャッターを切りたいと思えば切りますし、そう思わなければ切りません。

何か感じるものがあれば、しばらくそこで撮り続けることもありますが、基本的には、前半は泳ぎ回っていることが多いです。

 

では、「いいかな?」の基準は何なのでしょうか?

僕の場合は、元々はサンゴの「密度」を何よりも気にしていました。

できるだけモリモリ感を出したい!という、ピュアな気持ちです。

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200 F13 1/500秒 ISO900

 

最近は少し擦れてきたのか、「密度」ばかり追い求めるのって、写真家としてどうなんだ?と思ったりもします。

密度は気にしつつ、面白い「地形」を探すというのが、近頃の自分のトレンドでしょうか。

そこにサンゴがなかったとしても写真として成立するように撮りたい、という思いがあります。

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200 F11 1/250秒 ISO640

 

そんなことを考えながら泳ぎ回って、撮影スポットを探します。

ずっと泳ぎ回っていたら「気持ちよかったね」で終わってしまうので、後半はできるだけ腰を据えて撮影するようにしています。

 

それが、前回の後編で書いた、アングルだったり構図だったりという話ですね。

「ここで撮ろう」と決めて、そこから作り込んでいくイメージです。

場合によっては、光を待つこともあります。

 

後で見返してみたら最初に撮ったカットが一番良かった。

ということもあるので一概には言えませんが、個人的には、この作品として作り込んでいく時間が好きなんですよね。

D850 8-15mm fisheye  NA D850 OPD-FZ200 F11 1/250秒 ISO400

 

もちろん、泳ぎ回れば必ず素敵な景色に出会えるわけではありません。

でも、自分で見つけた景色だからこそ、誰の写真とも似ていない作品になります。

 

これは、サンゴの撮影に限った話ではありません。

自分の感性を大事に、そして、自分の足を大事にして欲しいなと思います。

 

今日の記事では、

 

・早朝や夕方の光が想像以上に魅力的だった

・泳ぎ回って自分にとってのベストポジションを見つけることが大事

 

という話をしてきました。

 

沖縄のサンゴ、とにかく今いい状態です。

先週石垣島でもサンゴを撮影してきましたが、「石西礁湖のサンゴは終わった」とも言われた壊滅的な状況から、完全に復活しています。

 

皆さんのサンゴの写真をSNS等で見られるのを楽しみにしています。

それでは、今日もここまで読んでくださりありがとうございました!

 

 

p.s.

 

僕の場合、サンゴに限った話ではありませんが、水中写真はRAW現像ありきで撮影しています。

特にサンゴの写真に関しては、RAW現像しないとどうにもならないくらいぼんやりしてしまいます。

 

なので本来、そこを抜きにサンゴの撮影の話は成立しないということは認識しています。

が、このブログでそこまで解説することは、今のところ考えていません。

 

・リクエストをいただいて、たまに有料でRAW現像セミナー(オンライン)を開催している

・サンゴの現像、編集の仕方を学びたくて、ツアーに参加してくれている方もいる

 

という現状があるので、ここでRAW現像について全部書いてしまうのは、お金を払って学んでくれた方々に対して申し訳ないなと。

 

じゃあ伊平屋島ツアーとか西表島ツアーに参加すればいいのかというと、現状、ツアーの一般募集はクジラ以外はほぼしていません。

プライベートフォトセミナーにご参加いただいた方を招待しているFBグループがあるので、そちらで募集をしています。

 

というわけで、気づいたら、入り口がプライベートフォトセミナーとホエールスイムツアーだけになっていました。ごめんなさい。

他にも一般募集できるようなツアーも組みたいと思いつつ、手が回っていません。

 

プライベートフォトセミナーは、マクロメインではありますが、海況次第でワイドのレクチャーもしています。

ので、ワイドを学びたいという方も、ひとまずプライベートフォトセミナーに来てもらえたら嬉しいなと。

 

ただ、ワイドを練習するには、冬は避けてもらった方が無難です。外海が時化やすいので。

冬は、騙されたと思って、クジラを見に行きましょう。

マクロに関しては年中問題なく練習できますが、個人的には秋~春が好きですね。近場のビーチポイントが安定するので。

 

というわけで、一般募集しているのは、以下の2つのセミナー&ツアーになりますので、興味があれば是非。

最後の宣伝までお付き合いいただきありがとうございました!

 

プライベートフォトセミナー詳細ページ

 

奄美大島ホエールスイムツアー2022 参加者募集のお知らせ