サンゴの水中写真を綺麗に撮影する方法【前編:光】

 

こんにちは、上出です。

沖縄本島、例年なら梅雨明けしていてもいい頃ですが、今日もしっかり降っています。

しっかり降ってるというか、猛烈に降っていて、避難情報まで出ています…被害が少ないといいのですが。

 

まあ、こんな天気も続いてあと数日でしょうし、週末にはギャンギャンの夏を迎えていることでしょう。

そう、夏です。沖縄の夏。と言えばサンゴです。

ちょっと飛躍がある気もしますが、大きくは間違ってないはず。

 

というわけで、今日はサンゴの水中撮影について具体的に解説していきます。

できるだけ小難しい話はなくして、コンデジユーザーの方、水中写真を始めたばかりの方にも気軽に読んでもらえるように書いていければと。

 

D850 8-15mmFisheye  f13 1/400秒 ISO560  西表島

 

サンゴの魅力的な写真を撮るためには、以下の2つのポイントをおさえる必要があります。

●光

●構図・アングル

 

これプラス、撮影機材やカメラの設定、あるいは編集の仕方など、細かく言えばやるべきことはたくさんあります。

が、ここでは撮影時のポイントとして、「光の扱い方」「構図・アングル」に絞って解説することにします。

 

レンズやカメラの設定は、掲載している写真の下に書いておきますので、そちらを参考にしてください。

それから、せっかくなので撮影地も一緒に記載しておきますね。

 

余談ですが、個人的には、沖縄のサンゴはここ数年で少しずつ状態が良くなってきているように感じています。

もちろん、沖縄には数えきれないくらいたくさんの島があるので、僕が自分の目で見たのはそのうちのほんの一部です。

でも、自分なりに一昨年からサンゴの撮影に力を入れ始めて、現地のガイドさんたちからお話を伺う中で、そう思うようになりました。

 

もしかしたら、また近いうちに大白化や台風、他の生物による影響などで、沖縄のサンゴは大きなダメージを受けるかもしれません。

ひとつの循環の過程としてなのか、温暖化の影響なのか、理由ははっきりとはわかりませんが、その時はやってくるのでしょう。

僕自身は、復活しつつある沖縄のサンゴを、今、精一杯撮影しようと思っています。

 

さて、サンゴの撮影の2つのポイントでしたね。

ちょっと長くなりそうなので、2回に分けます。

今日の前編では「光」について、次回の後編では「構図とアングル」について解説していきますね。

 

D850 8-15mmFisheye  f11 1/250秒 ISO640  石垣島

 

はっきり言って、サンゴの撮影は「光をどう扱うか」にかかっています。

光を読むことができるか。そしてコントロールできるか。

もう、これだけですね。

 

なんだか難しい話になりそうな気配はありますが、大丈夫。

今日は水中写真初心者の方でも読める内容です。

たまに、こうやって自分に言い聞かせます。

 

いつも言っていますが、何事も正確に理解するには、分けて考えると効果的です。

光についても、3つの要素に分けて考えてみましょう。

 

①晴れているか曇っているか

 

まずはこれですよね。

朝出港する時は晴れていたのに、サンゴが綺麗なポイントに到着した時には曇っていた。

そんな時に「やったー!曇ったー!」という人はあまりいません。

 

「サンゴを撮るには晴れていた方がいい」ということを、みんな何となく感じています。

 

晴れが曇りよりも好まれる理由は、おそらく3つです。

 

1.光芒(光の筋)が写る

2.サンゴの色を出しやすい

3.キラキラの明るい写真が撮れる

 

1は特に理由を説明する必要もなさそうですね。

なぜだか僕らは光芒が好きで、光芒は晴れていないと出ないんです。

ちなみに光芒は、いくら晴れていても、水深が深いと写りづらくなります。

シャーシャーの光芒を入れたいなら、比較的浅い所に群生しているサンゴを狙うのがオススメですかね。

D850 8-15mmFisheye  f14 1/500秒 ISO1250  水納島

 

2の「サンゴの色が出しやすい」というのは、まあその通りです。

水中で色が失われるというのは皆さんご存知だと思います。

色を再現するには光が必要。

だから、晴れていた方がいいというわけです。

とはいえ、曇っていても色が出せないわけじゃないんですけどね…

D850 8-15mmFisheye  f13 1/400秒 ISO1000 沖縄本島 国頭村

 

3の「キラキラの明るい写真が撮れる」というのは、合っているとも合っていないとも言えます。

確かに、サンゴに太陽の光がキラキラ写る写真は、晴れていないと撮れません。

その意味では正しいです。

一方明るさに関しては、カメラの設定さえ調整すれば、曇っていても明るい写真は撮れます。

ただ、ISO感度を上げざるを得なかったり、設定としては晴れている時に比べるとシビアです。

D850 8-15mmFisheye  f13 1/320秒 ISO1000 沖縄本島 国頭村

 

ここまでは、「サンゴを撮影するには晴れていた方がいいよね」という、身も蓋もない話でした。

晴れていないと、光芒やキラキラは写せません。晴れは正義です。

 

しかーし。それだけで終わらないのが陽だまりかくれんぼ。

サンゴを撮影するには曇っていた方がいい(好き)

実は、そういう意見というか、考え方もあります。

隠してもあれなので書きますが、昨年ネイチャー石垣島の多羅尾さんから、サンゴの撮影について示唆に富んだアドバイスをいただきました。

一語一句覚えているわけではないので自分なりの要約ですが、以下のような内容だったと思います。

 

晴れていると太陽光が直接サンゴに当たってコントラストが強くなりすぎる。

曇っていると(薄曇りだと)、雲がフィルターの役目を果たし、柔らかい光がサンゴ全体に降り注ぐ。

サンゴがキラキラ光っている画が撮りたいなら晴れていた方がいいが、満遍なく色を出すという意味では、曇っていた方がいい。

 

なるほど!と思いました。

それ以来僕も、曇っていてもサンゴを積極的に撮るようになりました。

撮ってみて「やっぱり自分は晴れてる方が好きかも」と思ったというのはまあいいとして…笑

 

まず、曇っていてもサンゴのカラフルな写真が撮れるというのは、知っていて損のない事実です。

お天気はコントロールできないので、晴れていなくてもテンションが下がらずに済むというのは、精神衛生上けっこう大きい。

これは冗談でもなんでもなくて、僕がここ数年本気で感じていることです。

 

そしてもうひとつ。

光芒やキラキラは確かに魅力的なんだけど、「サンゴを撮る」という純粋な意味においては、強い光を余計なものだと考えることもできます。

事実、ドイツの有名な写真家であるベッヒャー夫妻(陸で工業建造物等を撮っている)は、陰影による余計な印象を被写体に乗せないために、曇りの日にしか写真を撮りませんでした。

そして彼らは、曇りの柔らかい光を使うことで、被写体のディテールまできっちり描写しようとしました。

陸写真においても、強い光は目的によっては避けられることもあるんですね。

 

ちなみに、2011年に当時の写真史上最高額(約3億3000万円)で落札された「ラインⅡ」の作者アンドレアス・グルスキーも、ベッヒャー夫妻に師事していていました。

グルスキーやトーマス・ルフなど、ベッヒャー夫妻の弟子たちはベッヒャー派と呼ばれていて、彼らは現代写真においてひとつの重要な役割を果たしています。

30年後の水中写真界では、おそらく僕がベッヒャー夫妻と同じ立ち位置にいるはずです。

「あの有名な水中写真家さんも上出派だったのか!」と。

そもそも上出夫妻すら作れていないお前が何を言ってるんだという話ですが。

 

冗談はさておき、曇りの日でも諦めずにサンゴを撮ってみてもいいんじゃない?という話でした。

特に、薄曇りくらいだとかなりいいコンディションと言えそうなので、是非曇っていてもサンゴの撮影にチャレンジしてみてください。

 

多羅尾さん、ありがとうございました。

解釈が間違っていたらごめんなさい。笑

D850 8-15mmFisheye  f11 1/200秒 ISO800  石垣島

 

②自然光で撮るのかストロボ光で撮るのか

 

ここまで勝手に、「サンゴは自然光で撮る」という前提で話を進めてきました。

でも、サンゴだってストロボで撮ってもいいんです。

 

実は、僕はこれまで、サンゴの撮影にストロボを使うことに対して消極的でした。

特にこだわりがあったわけではなくて、単純に「ストロボの光が全体に回ることはないし、不自然になる」と思っていたからです。

 

しかーし。先日、慶良間諸島の黒島北ツインロックというポイントに行った時のことです。

連れて行ってくれた水中写真家の清水淳さんから、ブリーフィングで「ソフトコーラルの群生がカラフルで綺麗」という情報を教えてもらいました。

 

その時の天候は曇り。

薄曇りではなく厚曇り(そんな言葉あるのか?)。

水深も5m以上はあるので、この天候では自然光がほぼ入らない。

 

さすがに自然光だけで色を出すのは難しいかなと思い、失敗覚悟でストロボを使って撮影して見ました。

そしたら、意外と良い感じで撮れたんですよね。

これならハードコーラルもストロボで撮れそうだな、という小さな手ごたえがありました。

D850 8-15mmFisheye Z-330×2  f11 1/250秒 ISO400  慶良間諸島

 

雲が分厚かったり水深が深かったりして、自然光がほとんど入らないような状況では、ストロボを使うのも有効なのかもしれません。

あるいは、大光量のライトも使えるかもしれませんね。僕は持っていないので試したことはありませんが。

どちらにしろ、カメラの内蔵ストロボでは撮れないので、外付けの何かが必要です。

 

先日訪れた座間味島では、リュウキュウキッカサンゴの群生をストロボで撮影してみました。

セクシーな雰囲気が、結構気に入っています。

D850 8-15mmFisheye Z-330×2  f11 1/250秒 ISO500 座間味島

 

③順光か逆光か

 

ストロボのことは一旦忘れましょう。

晴れている時に自然光で撮影する場合の話に戻ります。

 

順光というのは自分の背中側から降り注ぐ光。

逆光というのは自分が向いている方から差し込む光。

 

さて、サンゴの撮影をするにはどっちがいいんでしょうか?

 

正解は、「どっちでもOK」です。好みなんですね。

 

とにかく被写体の色を出したいなら、順光の方がいいと思います。

光芒をしっかり写したいなら、逆光気味の方がいいのではないでしょうか。

 

それぞれ、一長一短というか、作品の雰囲気は変わります。

そして、実際には「順光か逆光か」の二択ではありません。

斜めから入る斜光もあれば、真上から光が刺している場合もあります。

 

順光のデメリットは、光芒を描写しにくいことと(写らなくはないけど)、うっかりすると自分の影が写真に写り込んでしまうこと。

逆光のデメリットは、きつい影ができてコントラストが強くなりすぎることと、若干色を出しにくいこと。

 

個人的に好きなのは、「逆行気味」ですかね。

太陽に向き合って眩しく感じるような本気の逆光ではなくて、太陽はかなり高い所にあるんだけど「どちらかというと逆光」くらい。

太陽の角度としては、夏の10時か14時くらいのイメージでしょうか。

(ちなみに夕方近くの傾いた光とかも好きです。)

 

「どちらかというと逆光」くらいで撮ると、光芒が綺麗に出て、サンゴの間の影は現像で柔らかくできるくらいに抑えられて、自分の影の写り込みもなくすことができます。

影の写り込みについては、次回の「構図・アングル編」でもう一度触れますね。

D850 8-15mmFisheye  f11 1/500秒 ISO1000 沖縄本島 国頭村

 

今日は、サンゴの写真を綺麗に撮影するシリーズの前編ということで、「光」にスポットを当てて解説してきました。

 

晴れていても曇っていても撮れる

自然光でもストロボ光でも撮れる

順光でも逆光でも撮れる

 

という、何でもOKみたいな結果になってしまいましたが。笑

次回の後編では、サンゴを撮影する際の「構図とアングル」について解説していきます。

 

それでは、今日もここまで読んでくださりありがとうございました。

少しでも参考になれば嬉しいです。

次回もお楽しみに!

 

 

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