こんにちは、上出です。
今日は、
一眼レフで水中ワイドを撮るためのレンズ選び
について解説します。
特に今日考えていきたいのは、
大物を撮るためのレンズ
についてです。
水中ワイド用のレンズと聞くと、
皆さんはどんなレンズを想像されるでしょうか?
コンデジだったら「ワイコンをつけよう」
ということになると思いますが、
一眼の場合には、どうでしょうか?
おそらく多くの方が、
一眼で水中ワイドを撮るならフィッシュアイでしょ!
と、答えてくださるんじゃないかと思います。
僕もこれまで、
水中ワイド用に初めてレンズを買うという方には、
フィッシュアイをお勧めしてきました。
「The水中ワイド」という画が撮れますし、
APS-Cでも使いやすいレンズが揃っているので、
これからもそれは変わらないと思います。
実際僕が初めて買った水中ワイド用のレンズも、
Tokina AT-X107というフィッシュアイレンズです。
(Nikon D7000 + AT-X107 f9 1/250秒 ISO100)
このフィッシュアイレンズは今でもたまに使いますが、
現在僕がメインで使っている水中ワイド用レンズは、
「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」です。
なんでこのレンズを使っているのか、
このレンズを水中で使うとどんな特徴があるのか、
については以前別の記事で紹介しましたので、
よかったら見てみてください。
さて、この記事↑を書いた時にはNikonから
フルサイズ用のイケてるフィッシュアイレンズが
発売されていなかったのですが、
2017年6月にようやく発売されました。
■AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED
Canonには元々フルサイズでも使える
フィッシュアイズームがあったのですが、
ざっくりいえばそれと同じようなレンズが出たという事です。
というわけで、NikonでもCanonでも、
APS-Cでもフルサイズでも、
フィッシュアイが使えるようになりました。
今後はこの2つのレンズが、
水中ワイド用レンズの第一選択になっていくのでしょう。
(Canonユーザーの方にとってはすでにそうでしょうが。)
ちなみに僕はまだ、
NIKKOR 8-15mmフィッシュアイを使っていません。
アンティスさんから、
対応のポートが発売されていないからです。
そのうち発売されるようなので、
早くしてなんて言わずに、
気長に待とうと思います。笑
では、本題に入りましょう。
ここからは、NikonもCanonも一緒に、
「8-15mmフィッシュアイ」としてまとめて話します。
このレンズ、NikonのAPS-Cで使うと、
35㎜版換算で「12-22.5mm」の画角になります。
※実際に使える焦点距離は約11-15mm、
35㎜版換算で16.5-22.5mmくらいのようです。
こちらの記事に詳しく載っています↓
参照:デジカメWatch
一方フルサイズで使うと、画角だけ見れば
15㎜の単焦点レンズを使っているのと同じです。
細かい話は省きますが、
8-13mmくらいは四隅がけられた状態で写るので、
実質ズームレンズとして使うことはできません。
(もちろん、円周魚眼としては使えます。
これもデジカメWatchの記事↑が参考になります。)
何が言いたいかというと、
APS-Cで使う分にはある程度望遠側にズームできるけど、
フルサイズで使うと全くズームができない。
つまり、寄りづらい被写体、
例えばサメなんかを撮る時には、
8-15㎜フィッシュアイ+フルサイズだと
主役の被写体をちっちゃくしか写せない
ということです。
例えば、クジラなんかでもそうです。
ザトウクジラはご存知の通り、とっても大きいです。
個体によっては、体長15mくらいあります。
でも、先日ツアーを開催した奄美大島のクジラは、
なかなか寄って撮影することができませんでした。
体長10m以上のザトウクジラでも、
寄れないままシャッターを切ると、
案外小さくしか写りません。
これはAF-S NIKKOR 14-24mm で撮影した写真なので、
8-15mmフィッシュアイで撮影した画とは異なりますが、
14㎜で撮影するとこんな感じになりました。
(D850 + AF-S NIKKOR 14-24mm(14mm) f11 SS1/320秒 ISO720)
「ちっちゃ!」と思い、
あわてて望遠側にズームして撮影した写真がこちらです。
(D850 + AF-S NIKKOR 14-24mm(24mm) f11 SS1/320秒 ISO800)
実際、先日の奄美でのクジラ撮影では、
8割くらいの写真を24㎜側で撮りました。
もしD850+8-15㎜フィッシュアイで臨んでいたら、
クジラを米粒みたいにしか写せなくて、
かなり厳しい戦いになったんじゃないかと思います。
しっかりクジラに寄れて(寄ってきてくれて)、
14㎜側で撮影出来たのはこの1チャンスだけでした。
(D850 + AF-S NIKKOR 14-24mm f11 SS1/320秒 ISO2200)
イルカのように自ら寄ってきてくれる生物や、
カメのようにけっこう寄らせてくれる生物の場合は、
僕も14mm側で撮影することが多いですし、
8-15㎜フィッシュアイ+フルサイズで、
15㎜単焦点フィッシュアイとして使っても
十分撮れると思います。
(D750 + AF-S NIKKOR 14-24mm(14mm) f9 SS1/250秒 ISO2200)
では、NikonかCanonのフルサイズを使っていて、
サメなどの寄れない大物を撮る時には
どんなレンズを選べばいいのでしょうか?
※APS-Cをお使いの方にお勧めする
水中ワイド用レンズについては、
追伸で僕なりの結論を書きました。
僕の場合は14-24㎜の24㎜側で撮ることが多いですし、
こちらの記事で紹介しているカマストガリザメの写真も、
全て24㎜側で撮影してます↓
参照:水中ワイド撮影で失敗しないカメラ設定とは?
そして実は、
先日フォトセミナーにご参加いただいたTさんからも、
サメを撮るにはどのレンズを使えば良いでしょうか?
という質問をいただいていました。
フォトセミナーの感想も合わせて送ってくださいましたので、
ここでTさんからいただいたコメントを紹介します。
※Tさんの使用カメラはCanon5Dmark4です。
フォトセミナー、第2回目。
今回は万座に入れるかもとの事で、
ワイド撮影、サメの撮影のセミナーが受けられる事になり、
再訪する前から、ドキドキ、ワクワクでした。
その前に、セミナー直前の週に、
与那国島のハンマーリバーを撮りに行って来ましたが、
その際にも、カメラ側の設定等に関して、
上出さんにご相談したところ、細かくご丁寧に教えて頂けた事を、
この場をお借りして御礼申し上げます。
上出さんから、設定について教えて頂けていなかったら、
全くもって、1枚のハンマーも撮れなかったであろうと思います。
さて、今回私が与那国で使用したレンズですが、
『EF8-15LFE キヤノン EF 8-15mm F4L フィッシュアイ USM 』
を、ワイド写真の為、いつも通り使用しました。
しかし、このフィッシュアイレンズ、
画角が広すぎて、寄れないハンマー等の写真だと、
被写体が凄く小さくなってしまい、とても作品と言える物が撮れません…
余程運が良く、たまたま群れの真ん中に直撃出来れば、
フィッシュアイレンズでも良い写真は撮れると思いますが、
ほぼ皆無に等しい…
そこで、今回の万座でのサメ撮影に関して、
上出さんにレンズ選び等ご相談しました。
推奨は、本来であれば24ミリ程度の広角レンズ。
しかし、広角でなくても、私の持参した24-70のズームレンズ!
むしろズームレンズでの使用の方が、
サメ等の様に、寄れない被写体には、有りですよ!
と、ご教授頂きました。
そこで、
『EF24-70mm F2.8L II USM EF24-70mm F2.8L 2 USM』
を使用しました。
これが大正解となりました。
サメの前に、イソバナ等の水中ワイド写真の場合、
私は今までかなり寄り、それでも被写体の全てが映る様に撮って来ました。
これは、正解だと思っています。
今回、ズームレンズでいつも通りの寄りだと、
イソバナが全ては写りません。
そこで、少し離れて、
全体が映る様に撮っていましたが、
そこで上出さんからのご指示!
『もっと寄って、迫力のある写真を撮って!
切れてしまう部分は敢えて切って構わないので、
ワイルドなイソバナを表現して!』
と、ご指導頂き、撮れました。
全てが入らずとも、表現が出来る技術。
こういった構図は、自分では思いつきもしませんでした。
そして、サメの撮影。
ズームレンズを31㎜位置で撮りました。
ストロボもフル発光してる事で、被写体までの距離も、
今までのフィッシュアイレンズに比べて遠くても、
ストロボ光も多少は当たりますし、本当に撮りやすかったです。
また、サメ単体等を撮る場合、
フィッシュアイレンズまでの画角はそこまで必要が無く、
充分に作品と呼べる写真が撮れる事を知りました。
今回は初のトライで、
まだまだ作品と呼べる写真には程遠いですが、
被写体に応じたレンズの選び方がとっても勉強になりました。
今後もますます、サメの撮影に力が入りそうです。
俊作さん、本当にありがとう御座いました。
Tさん、心のこもったコメントありがとうございます。
冬は海況が悪い日が多く中々狙えない万座のサメですが、
今回は海況もサメも当たりで良かったですね。
水中で「ワイルドなイソバナを」と
スレートに書いたかどうかは定かではありませんが…
きっと僕の目がそう語っていたのでしょう。笑
今回は、24-70㎜という、
あまり水中で使われていないレンズが活躍しました。
でも、ここで言いたいことは、
サメには24-70㎜がお勧めです!
ということではありません。
基本的な話になってしまいますが、
被写体と自分の撮りたいイメージによって
自分なりにレンズを選択することが大切
というのが、
今回僕も再認識させられたことであり、
ここで皆さんに伝えたかったことです。
これはレンズ選びだけでなく、
他の撮影機材選びにも通じるところがあると思います。
サメを撮るならこのレンズ!
とか、
クジラを撮るにはこのセット!
といったような正解は当然ありません。
思い通りにいかないことも多いと思いますが、
色々試行錯誤するのも楽しんで欲しいですし、
狙いが当たってバシッと撮れた時の喜びは格別です。
なので、レンズは自分で選びましょうね。
と言って終わってしまうと、
せっかくここまで読んでくれたあなたが
がっかりしてしまいそうです。
そんな顔は見たくありません。笑
なので、最後にちょっとだけ、
大物撮影用レンズの選択肢を紹介します。
(フルサイズを使っているという前提で紹介します。)
僕は使ったことが無いので
実際の水中での使用感はわからないのですが、
サメのような寄りづらい被写体には
この焦点距離のレンズが良いのかなと思います↓
■AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR
■EF16-35mm F4L IS USM
今回のTさんのように
「とにかく万座でカマストガリザメを撮りたい!」
という方は24-70㎜でも良いかもしれませんが、
これだと例えば、
いきなりジンベエザメが出た時なんかに対応できないので、
(そんなことは普通はないけど…無いとも言えないし…)
16-35mmの方が汎用性は高いと思います。
至近距離で遊んでくれるイルカだったら、
やっぱり16-35㎜より14-24㎜の方が良いかな…
むしろ、そういう時は
8-15㎜フィッシュアイがやっぱりベストだよな…
なんて色々考えてしまいますが、
どの被写体を一番撮りたいか
どんな作品に仕上げたいか
で優先順位を付けるしかありませんね。
(D750 + AF-S NIKKOR 14-24mm(14mm) f11 SS1/320秒 ISO720)
ここまでの話は、レンズそのものの性能とか、
レンズとポートとの相性とか、
そのあたりをほぼ無視して、
画角だけの話をしているので、
あくまで参考程度にしておいてください。
ちなみに僕は、これからも
D850+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
をメインで使っていくと思います。
AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm
を使ってみないことには何とも言えませんが、
個人的には水面が真っすぐ写る方が好きなので、
サブとして?
遊びたいとき?
群れを撮る時?
なんかにフィッシュアイを使うんじゃないでしょうか。
まあ、何事もやってみないとわかりませんね。
僕も全ての選択肢を試せるわけではないので、
もし何か経験や情報をお持ちの方は、
気軽にコメントかメッセージをください。
それでは、今日もここまで
読んでくださりありがとうございました!
少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。
p.s.
今日はどちらかというと、
フルサイズを使っている方向けの内容になりましたが、
もちろん水中ワイドはAPS-Cで撮っても良いわけです。
むしろ、8-15㎜フィッシュアイを、
積極的にAPS-C機で使っているカメラマンさんもいます。
その理由は、先ほど僕も言いましたが、
APS-Cで使えば望遠側にズームが効くからです。
APS-C+8-15㎜フィッシュアイなら、
寄りきれなかった場合でもズームを使って
おさえのカットを撮ることができます。
今日は、
フルサイズで大物を撮るならどのレンズを選ぶべき?
という視点で解説してきましたが、
8-15㎜で大物を選ぶならどのカメラを選ぶべき?
という視点で考えると、
ズームが効くAPS-Cが良い!
という結論も出せるという事ですね。
実際、
水中ワイド用のレンズを何本も用意するというのは、
多くの方にとってあまり現実的ではないと思います。
APS-C機を使っていてor購入予定で、
これから水中ワイドを始めたいという方は、
8-15㎜フィッシュアイを1本持っていれば
大物・群れ・珊瑚などある程度何でもカバーできるので、
最初の1本としてはやはりこれがお勧めです。
予算的に難しければ、
Tokina AT-X107(10-17mmフィッシュアイ)
という選択肢もありだと思います。
水中撮影機材選びは奥が深いですねー。
他にも取り上げて欲しいトピックがあれば、
ぜひお知らせください!
(更新:2018.2.26)
◆2018年も引き続き同じ要領で、
プライベートフォトセミナーを開催します。
すでにGWやお盆等の予約が埋まりつつあるので、
ご興味のある方はお早めにご連絡ください。
◆ブログランキングに登録してます。
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はじめまして。
なかなか内容の濃い記事で楽しく読ませてもらいました。
私はD810、アンティス、Z240の2灯でシステム組んでいますか、
上出さんのような機材系のレビューはあるある〜と同感する所や、
同じ様な事を記事にしている方が少なく、とても楽しい内容ですね!
本題ですが、私もワイドのフィシュアイはあまり使いません。
今は16-35がワイドのメインです。
記事にもあるように、1424の四隅の流れが気になり、こちらにしてます。
あとはVRがある点でこちらにしました。
8-15のフィシュアイはカメラ屋にも現物が無いので、
これからCP +の会場で試し撮りしてみます。
昔はブログやってましたが、上出さんの記事見てまた再開したくなりましたよ!
これからも楽しみにしていますので、頑張って!
はじめまして!
わざわざコメントいただきありがとうございます。
楽しく読んでいただけたようで嬉しいです。
D800系の水中レビューとかって、あんまりないですよね。
特にNikonとアンティスは水中関連の広告記事等を出していないので、目に触れる機会が無いのかもしれません。
16-35㎜も魅力的なレンズですね。
記事にも書きましたが、僕は使ったことが無いので、いずれは使ってみたいなと思います。
8-15mmの使用感はどうでしたでしょうか?
水中じゃないので何とも言えないかもしれませんが…(^^;
ブログ再開されるなら、ぜひ教えてください。
貴重なご意見ありがとうございました!
キターー!ついにここまで。。いつかは来ると思っていましたが、、。 これは山ボーイへのプレゼントにしなければ。 しかし、内容が全く頭に入ってこなかったので あとで再度読み直しますわ(´⊙ω⊙`)
ありがとうございます(^^)
ちょっと内容が細かかったかもしれません…ぜひ何度か読んでみて下さい!