INONのクローズアップレンズUCL-90でハッチアウトを狙う!

 

 

こんにちは、上出です。

年末になって、
アンティスさんからはD850のハウジングが届き、
INONさんからは新作クローズアップレンズが届きました。

とっても嬉しいのですが、
全然ゆっくりできません。笑

 

というわけで早速、
INON「UCL-90」を試してきましたので、
ゆるくレビュー的な記事を書こうと思います。

機材レビューというよりは、
ナカモトイロワケハゼのハッチアウトまでを追った物語
に近いかもしれませんが…


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm UCL-90  YS-D2×2灯 f22 SS1/250秒 ISO320)

 

「ゆるく」というのは、
別に僕が正月気分だからじゃありません。

今回、気づいてしまったのです。

 

僕は、

撮影機材テストに向いていない正確だ

と。

 

撮影機材に関することって、
みんな気になるところですし、
何を買おうか迷っている人も多いです。

読者の方から質問もよくいただくので、
これまでもちょこちょこ記事にしてきました。

これからも、たまに書くと思います。

 

で、今回なんで「向いていない」事に
気づいたのかと言いますと、

「さっ、今日は新しい〇〇を試して、記事にしよー!」

と、
海に入る前はちゃんと思っているのですが、
いざ被写体と向き合うと、

どうやってこの子を魅力的に切り取ろうか…

とか

余計な部分を削ぎ落すにはどうすればいいか…

とか、
そんなことばかり考えてしまって、
結局最高の1枚ばかりを追い求めてしまいます。

 

なので、
例えばクローズアップレンズだったら、

当然装着時と未装着時の写真をどちらも
撮っておかないと比較ができないのですが、

蓋を開けてみれば、
見事に未装着の写真が1枚もありません。笑

なので、ちゃんとした比較は
INONさんのHPをご覧ください…

 

まあ丸投げもあれなので、
僕なりにも精いっぱい比べてみます。

今年5月に撮影した、
ナカモトイロワケハゼの成魚です。

抱卵しているので、メスですね。


(D750 + AF-S Micro-Nikkor 105mm  Z-240×2灯 f11 SS1/160秒 ISO160)

 

105mmマクロの最短撮影距離付近で撮影し、
トリミング無しです。

普通に魚を撮るにはこれでも十分ですが、

卵も印象的に表現したかったり
顔をどアップで撮りたかったり、

というときには物足りません。

 

 

下の写真が、
105㎜マクロにUCL-90を装着して撮影した写真です。

こっちはオスです。


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm UCL-90  YS-D2×2灯 f22 SS1/250秒 ISO200)

 

別に宣伝記事ではないんですが、
編集の気合の入り方がさっきと違いますね。笑

カメラが違えば雌雄も違う、
しかも縦横すら違うので、

イメージだけ、ざっくりと
掴んでいただければ万々歳です。

 

 

ちょっと真面目な話をすると、
このUCL-90の最大撮影倍率は2.23倍です。

数字を覚える必要はないですが、
ノーティカムブランドのクローズアップレンズ
「SMC-1」の最大撮影倍率が2.3倍ですので、
それとほぼ同じです。

SMC-1を使ったことがないので、
またまた比較はできません。

何も比較しないレビュー記事です。笑

 

それじゃまずいので、
値段だけ比較しておきましょう。

SMC-1 定価(税込)64,584円
UCL-90  定価(税込)37,584円

全然違いますね。

 

SMC-1はこれまで多くの
水中マクロファンの支持を集めていましたが、
この価格差を考えると、
今後はUCL-90を選ぶ人が増えるかもしれません。

安かろう悪かろうでは困りますが、
使ってみてそんな印象は受けませんでした。

ちなみにSMC-1も評判は良いですし、
悪い話はあまり聞きません。

値段相応の差が何かあるのか、
情報があれば教えてください。

前回のD850の記事のように、
いただいた情報はできる限り反映させます。
(12/29に追記を書きました。)

 

 

というわけで、
そろそろレビューしましょう。笑


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm UCL-90  YS-D2×2灯 f22 SS1/320秒 ISO320)

 

 

今回テスト?の場所に選んだのは、
名護の「ナカモト牧場」です。

るるぶにもマリンダイビングにも載っていない、
秘密の牧場ですね。

那覇の心優しいガイドさんが
ひっそりと管理してくださっています。

「勝手に撮るなよ!荒らすなよ!」

なんて言わないところが紳士的です。
一年中管理していただきありがとうございます。

 

 

ポイントに到着してビンの中を覗いてみると、
卵が産みつけられていました。

そしてよく見ると、卵の中の目もクッキリしていて、
クローズアップレンズで撮るにはもってこいです。


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm UCL-90  YS-D2×2灯 f18 SS1/250秒 ISO250)

 

テストのことは忘れて、
楽しく撮影して帰ってきました。笑

 

一応レビューっぽい事を書くと、
結構絞り込まないと解像感がないな
という印象を受けました。

被写体にものすごく寄っているので、
当たり前と言えば当たり前なのかもしれません。

 

また、一般的にレンズを重ねていくと
画質は悪くなっていくと言われていますが、
UCL-90を105㎜マクロに付けただけでは、
画質が低下しているという印象は受けませんでした。

 

さて、そんなことより、
気になることができてしまいました。

この卵は、いつ孵化するんだろうか…

そう、ハッチアウトを
撮りたくなってしまったのです。

 

以前牧場オーナーさんと交わした会話を思い出しました。

僕「ナカモトのハッチアウトって何時頃なんですか?」

オーナー「早朝ですね。明るくなる前にライトで照らすと、
日の出と間違えてハッチアウトすることもあります。」

 

すでに赤い部分も少なく、
目もはっきりしていて、
ハッチアウトの日は近そうです。

ちなみに、産みたてはとびっこみたいな赤い卵です。


(D750 + AF-S Micro-Nikkor 105mm  Z-240×2灯 f6.3 SS1/160秒 ISO160)

 

 

翌日(昨日)の明け方、再度撮影しに行きました。

ちょっと寝坊したので、
ビンにたどり着いた時には、
すでに結構明るくなってしまっていました。

 

もしやすでに終わってしまっているのでは…

と恐る恐る便の中を覗いてみると、
昨日と全く同じ状況で一安心です。

試しにライトで照らしてみましたが、
何も起こりません。

 

割り切って、楽しむことにしました。

さすがに初日はレンズに慣れず苦戦しましたが、
2日目の昨日は被写体との距離感もつかめてきたので、
いったん卵は無視して最短撮影距離まで寄ってみました。


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm UCL-90  YS-D2×2灯 f16 SS1/250秒 ISO200)

 

やっぱり卵を守っている方が可愛かったので、
健気なお母さんのようなイメージでも撮ってみました。
(オスですが。笑)


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm UCL-90  YS-D2×2灯 f14 SS1/250秒 ISO200)

 

牧場オーナーさんのお話では、夏は産卵から5日くらい、
冬は1週間ちょっとでハッチアウトするとの事でしたが、
いつ産んだのかわからないので
とりあえず通うしかありません。

 

というわけで、今朝も行ってきました。

 

今日は昨日よりも早起きできたので、
まだ星が見えている時間にエントリーしました。

暗くてビンが見つからなかったら
どうしようかと思いましたが、
さすがに3日連続なら迷いません。笑

 

今朝の日の出は7時16分、
僕がビンに到着したのは6時56分。

まだ暗くてビンの中も見えないので、
ゴメンよと言いながらビンの中をライトで照らしました。

しかし、昨日と同じ状態です。

 

残念。

となりのトウアカクマノミの幼魚でも撮って、
動きものはどうでしたよーみたいな事も書くか。

 

と思ったのも束の間、
ピョコっと1匹ハッチアウトしました。


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm UCL-90  YS-D2×2灯 f16 SS1/250秒 ISO200)

 

どう考えても、辺りはまだ暗いので、
僕のライトに反応したんだと思います。

自然の摂理に反してしまいました。

ごめんなさい。
でも、めっちゃ嬉しいです。

 

そうこう言っている間に、
お父さんは赤ちゃんたちをくわえて、
ビンの外に旅立たせてあげる儀式を始めました。

いつもはのんびりしているナカモトさんが、
コショウダイの幼魚のごとくバタつき始めます。

なかなか思うように撮れませんでしたが、
なんとかくわえるところを撮れました。


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm UCL-90  YS-D2×2灯 f22 SS1/250秒 ISO320)

タコみたいですね。

 

 

さて最後に…
ビンの外に吐き出すカットも
撮らなければ帰れません。

しかし、くわえる瞬間以上に難しいです。

ビンの外に飛び出し口を開けるスピードが、
カエルアンコウが餌を捕る時より速いように感じます。

 

クローズアップレンズを付けた状態では、
オートフォーカスが全く追いつきません。

結果的に、どうしてもピントが合わず、
満足のいく写真は撮れませんでした。

まあでも可愛いので、載せますね。


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm UCL-90  YS-D2×2灯 f22 SS1/250秒 ISO320)

 

せっかく飛び出した稚魚が、
お父さんの頭にかぶってしまってちゃんと見えません…

 

ちなみにこの間お母さんは、
基本的に何もしていません。

たまに様子を見に来ます。


(D850 + AF-S Micro-Nikkor 105mm UCL-90  YS-D2×2灯 f22 SS1/250秒 ISO320)

 

すでにお腹にたくさんの卵が入っていますね。

ナカモトさんはこんな感じで年中産卵しているので、
旅立ちの儀式はまたリベンジしようと思います。

 

 

さて、
ハッチアウトの撮影を振り返って思う事は、

105mmマクロにUCL-90を装着した状態で
動きの速い生物を撮影するのはかなり難しい

ということです。

オートフォーカスがついていけずに迷います。

 

まあこれは仕方ないでしょう。

撮影倍率2.23倍と言ったら結構な高倍率ですし、
SMC-1ならいけるという話でもない気がします。

D850だからというのもあるかもしれませんが、
思ったよりは頑張ってくれました。

 

というわけで、

次回のハッチアウトには
クローズアップレンズ無しで挑もうと思います。

D850+AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G
の組み合わせならAFも速くて勝負できそうですし、
寄り切れない分はトリミングしても良いですしね。

 

ちなみにこの記事で掲載している写真は、
f13~22(実効f値)と僕にしてはかなり絞っていますが、

クローズアップレンズを使用した超近距離撮影では
被写界深度が極端に浅くなりますので、

場合によってはもっと絞っても良いと思います。

 

今回は、ナカモトというと可愛い系の生物なので、
できるだけ柔らかい表現にしようと思って撮りました。

ボケを作りつつ最低限の解像感を得ようと思ったら、
今回はこれくらいの絞りに落ち着いたという感じです。

なので、ボケにこだわらず、さらに絞って、
もう少しパリッとした表現をしてもいいはずです。

もちろん、
とにかくボケを優先したいときや、
解像感の得やすい被写体の場合は、
もう少し開けても良いと思います。

 

やっぱり、
表現できる世界が広がるのは楽しいですね。

たった3本の使用経験ではありますが、
僕はこのクローズアップレンズを
買ってよかったと思っています。

 

 

それでは皆さん、今年1年間、
陽だまりかくれんぼを読んでくださり
本当にありがとうございました。

このブログを通じで、
たくさんの方とコミュニケーションを取ったり、
セミナーやツアーを通じて直接お会いしたり、
とにかく刺激的な1年間になりました。

皆さんとのかかわりを通して、
僕自身も少しばかりは成長できたと思います。

 

それでは、
来年もお役に立てるような情報を
お届けできるように頑張りますので、
切磋琢磨していきましょう!

良いお年をお迎えください(^^)


ハッチアウトを終えたオスによる、歓喜の雄叫び

 

 

p.s.

前回の記事にも書きましたが、
やはりD850+アンティスが水中でかなり重いです。

無理な体勢で撮っていたというのもありますが、
途中で腕が疲れて少し休んでしまいました。

筋トレの強度を上げるかか、
フロートアームにするか、
正月じっくり考えたいと思います。

(更新:2017.12.30)

 

 

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