ウミウシの撮影って本当に簡単? ~レッドビーチ(沖縄本島金武町)で180分間向き合ってみた~

 

こんにちは、上出です。

今日は、

ウミウシを綺麗に撮影するための考え方とコツ

を紹介していきます。

いきなりこんなことを言うのもアレなんですが、僕は元々ウミウシが好きじゃないんです。
昔は、ナメクジみたいで気持ち悪いと思っていました。笑
(実際にナメクジもウミウシも腹側網というカテゴリーに分類される仲間ではあるのですが。)

でも、好きじゃない生き物は中々見つけられないし、写真を撮ろうと思っても全然気持ちが入りません。
これでは写真家としてもガイドとしてもさすがにまずいかな…

と思いで2015年に立ち上がったのが、
「ウミウシを好きになろうプロジェクト」です。

一人で勝手に始めて、しかも誰にも話していないので、
本当はプロジェクトでも何でもなくて
ただのスローガンのようなものです。笑

とにもかくにも、
僕はそうしてウミウシ嫌いからの脱却を目指したわけですが、

ただ好きになろうと言っても無理があるので、
自分が綺麗だと思える色彩や模様のウミウシ以外は
全部無視する事にしました。笑

なので、
今こうして記事を書くにあたって写真を見返してみると、
2015年以降はそこそこウミウシの写真も撮っているのですが、
同じ種類ばかりを撮影していたことに気づかされます…

前置きが長くなりましたが、
そんなこんなでウミウシに対して
片手に乗るくらいの愛情を持てるようになった僕は、

沖縄本島で最も有名なウミウシスポット、
金武町の「レッドビーチ」へ撮影に行ってきました。

90分×2本で180分間の勝負です。

沖縄はこれからがウミウシシーズン本番
というちょうど良いタイミングかなと思いますので、

今日は先日レッドビーチで撮影した写真を題材に、ウミウシ撮影のコツを紹介していきます。

 

さて、具体的な解説に入る前にひとつ質問です。
「ウミウシは動きがゆっくりなので水中写真初心者の人にもお勧めの被写体ですよ」
という話をよく聞くのですが、本当でしょうか?

僕は、あまり簡単だと思っていません。

理由は、
動き始めると動き続けるから
必ずどこかにへばりついているから
です。

これでなおかつ、高速で動かれたら僕はお手上げです。

ではまず①の対応策から考えていきましょう。


(ホシゾラウミウシ D750 + AF-S VR Micro-Nikkor 105mm  f5.6 1/200秒 ISO160)

 

意外と動くウミウシを撮る
ウミウシを発見した時のパターンは2つ考えられます。
すでに動いているか、止まっているか、どちらかです…
当たり前ですね。笑

見つけた時にすでに彼が動いていたら、
無理やり動きを止めることはできません。

でも、彼らの動きは、つっついたりしてストレスを与えない限りは、
比較的一定でまっすぐです。

なのでこの場合には、
ウミウシの進行方向からカメラを構えてあげると、
勝手にウミウシがカメラに向かって近づいてきます。
追いかけるのではなく、待ち構えるんですね。

一般的に、ウミウシは目のかわりに
触角にピントを合わせるのがセオリーとされています。

もっと言うなら、撮影者の近くにある方の
触角にピントを持ってくるのが基本ですが、
もし正面からウミウシの顔を切り取れるなら
2本の触角両方にピントが合わせられるとなお綺麗な画になります。

しかし彼らは上下に体を揺らしながら前進してきますので、
なかなか触角にピントが合わないかもしれません…

彼らの動きをある程度予想しながら、
諦めずに、気合いで触角にピントを合わせて下さいね。笑

もしウミウシが止まっていたら、
枠にとらわれずに色んなアングルから撮影してみれば良いと思います。

「せっかく綺麗なウミウシを見つけたのに岩陰で撮りにくいな…」

と思った時、指でつまんで
撮りやすいところに持ってくる方もいますが、
うっかり強く握ったりしたら死んでしまいます。

ここでは議論しませんが、個人的には見ていて気持ちの良い光景ではないです。

撮影が主たる目的なら、
「撮りやすい場所」や「画になる場所」に
元々いる被写体を探すという考え方もありだと思いますよ。


(サラサウミウシ D750 + AF-S VR Micro-Nikkor 105mm  f4.0 1/160秒 ISO160)

 

へばりついているウミウシを撮る

最初にお伝えしました通り、ウミウシはナメクジの仲間です。(しつこいですね。笑)

なので基本的には岩や砂の上にへばりついていて這って移動します。
(ミカドウミウシなんかは泳ぎますが、ここでは例外として一旦置いておきます。)

以前別の記事でも、生き物と目線を合わせることがポイントというお話をさせて頂きました。
参照:水中写真に必要な基本構図は2つだけ~奥深い日の丸構図と簡単な三分割構図の話~

へばりついているウミウシと目線を合わせるためには、
僕たちも岩や砂にへばりつく必要があります。

へばりついてできるだけ下から撮影してあげることによって写真に臨場感が出ますし、
アングルによっては海の青を入れてさわやかな印象に仕上げることも可能です。

ただ、ウミウシは暗がりにいる事なんかも多く、いつでも思い通りの背景で撮影できるわけではありません。

そんな時は、
背景をいかにボカすか
を考えると良いと思います。

「ボケ」の作り方は別の機会に詳しく解説しますが、
ざっくり言えば、
①被写体までできるだけ近寄って
②被写体から背景までの距離が長いアングルから構えて
③絞りを開放付近に設定して
撮影します。

背景をボカすことによってじゃまな要素をできるだけ排除し、ウミウシの美しさを引き立たせることができるんですね。

ちなみに、背景だけでなく、被写体の手前にあるものをボカすこともできます。

「前ボケ」と呼ばれるテクニックですが、これを使うとよりふんわりとした印象に仕上がりますので、別の機会に詳しく解説しますね。
(上のサラサウミウシの写真でも使っているテクニックです。)

 

今日はここまで、
・動いているウミウシは進行方向で待ちかまえ、
 正面から撮影し2本の触角両方にピントを合わせると綺麗な画になる。
・自分もへばりついてウミウシと目線を合わせれば、
 背景も綺麗に抜きやすいし写真に臨場感が出る。
・背景が美しくなかったり余計なものが多い時には、
 「ボケ」を活用してウミウシそのものを引き立たせてあげる。

というポイントを解説してきました。

前提として、
「被写体にどれだけ興味を持って寄り添えるか」
が大切なのは言うまでもないですし、僕もウミウシの撮影を通して再認識させられた事実です。

元々あまり好きではなかったものに無理やり愛情を注ぐというのは難しいですので、
何か自分なりの撮影のテーマを設定できると良いのかもしれませんね。
それでは、今日もここまで読んで下さりありがとうございました!
少しでも皆さんの参考になれば嬉しく思います。

 

(更新:2017.2.17)

 

 

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