写真と共に振り返る2020年

 

こんにちは、上出です。
色んなことがあった2020年も今日で終わりですね。

大変な苦労をなさった方ばかりだと思います。
何と声をかけていいのかわかりませんが、1年間本当にお疲れ様でした。

いつもこのブログでは、皆さんが水中写真を撮る上で参考になることを書いているつもりです。
今日はいったんそこから離れて、ただただ1年を振り返って、日記を書いてみようと思います。

今年撮影した写真の中から、うっかり表に出しそびれた作品を載せていこうと思いますので、まあそれくらいですかね、この記事を最後まで読むメリットは。笑

(今年の1月ゴリラチョップで見つけたフィコカリスシムランスのようなエビ。その時「今年は甲殻類も撮ろう!」と思ったけど、3日で忘れた。)

細かい時間の流れを気にしていると筆が止まってしまうので、時系列はざっくりいきます。

2020年も2月か3月くらいまでは、例年通り過ごしていました。
なので、今年のホエールスイムは、無事終えることができたんですよね。

もう1年前かーという感じです。
光陰矢の如しとはうまく言ったもんですわ。

(潜降していくシンガー。2月に奄美大島で撮影。今シーズンもいい出会いがいっぱいありますように。)

4月くらいから状況が悪くなってきて、企画していたツアーやセミナーも中止にしました。
個人的には、予定していたイベントがなくなるのは残念ではありましたが、もっと大変な方もたくさんいるし、しょうがないよなという気持ちだったように記憶しています。

(4月の西表ツアーは中止にした。写真は8月に撮影したもの。2021年は何度も通いたい。)

ポッと予定が空いたので何をしようかなーと思っていた時、オーシャナLIVEという企画に誘っていただいたんですよね。
こうして振り返ってみると、このイベントがなかったら今の自分はなかったと、はっきりと思います。
大袈裟だと思うかもしれませんが、本当にそうなんです。

オーシャナLIVEを通じて関わってくれた皆さん、本当にありがとうございました。
みんなの愛と懐の深さを感じたイベントでしたね。

オーシャナLIVEでは計4回セミナーを開催させていただきました。
テーマは毎回相談しながら決めていたのですが、テーマに関わらず、僕の中で一つ決めていることがありました。

それは、全部出し切るということです。
これは、オーシャナLIVEに限った話じゃなくて、このブログでも他のセミナーでも、いつも意識しています。

例えば「ライティング」というテーマで話すなら、ライティングについて自分が知っていること、考えていることは全部伝えようと。
もちろん、時間だったり文字数だったり、物理的な制限があることが多いですし、聞き手・読み手に配慮してコンテンツを分けることはあるんですが。
まあそれはそれとして。

で、何で「全部出し切ろう」なんて考えているかというと…たぶん、理由は2つあります。

一つ目は、取るに足らない自分が出し惜しみをするなんて、見てくれている人、聞いてくれている人に対して失礼だよな、と思っているからです。
別に自分を卑下しているわけではなくて、無料とか有料とかに関わらず、時間と労力を使って僕のコンテンツに時間を割いてくれている人へのマナーのようなイメージでしょうか。

二つ目は、全部出し切らないと自分が成長する伸びしろが生まれないからです。
情報を小出しにしていれば、今回はこっちの話で、次回はこっちの話を、という感じで長く楽しんでもらえます。
表面的な効率で言ったらその方が良いのかもしれませんが、それだと自分のインプットが加速しないんですよね。

逆に全部出し切っちゃうと、次に話すことがもうないから一生懸命新しい情報をインプットしようとするし、出し切っているから頭の中にインプットする余白もあります。
それは、本を読むとかもそうだけど、新しいことにチャレンジするっていうのも含めてでしょうか。

たまに「無料のブログでそんなに情報を出していいんですか?」と言われますが、それもこの2つの理由からです。
僕も別にただの良い人じゃないですよ(悪い人でもない、と自分では思っている)。
自分の成長のために出し切ろうとしているし、出し惜しみするほどの人間じゃないだろと思ってるってことです。

あとはシンプルに、出し惜しみしてない方が男としてカッコ良くない?と思っている節もあります。
なんか、憧れるんですよね。「豪傑」って感じの人に。

あ、これだと理由は3つってことになりますね。失礼しました。
まあ、今日はそんな感じでいいでしょう。

(オーシャナLIVEの最終回で紹介した写真。6月の新田洞窟。身近な所にこんなポイントがあったなんて驚き。)

オーシャナLIVEが終わると、今度は雑誌DIVERさんが声を掛けてくださり、9月号の特集「今すぐ使える!水中撮影テクニック55」のいくつかのパートで講師を務めることになりました。
この記事はインタビュー形式で、文章は編集者の方がまとめてくださったのですが…
「自分がだらだらしゃべった内容が、こんなに綺麗にまとまるのか!」と感動したことを思い出します。

そして、このDIVER9月号では、表紙に自分が撮影した写真を採用していただきました。
これはもうなんだか、嬉しいを通り越して感慨深かったですね。
あー、いつの間にこんなところまで来たのかと。
これまで応援してきてくれた人たちに、ちょっとだけ恩返しできたかなと。

ここでは到底書ききれませんが、いい出会いに恵まれて、ここまでやってこれました。
関わってくれているみんなをがっかりさせないように、これからも地に足をつけて頑張っていこうと思います。

 

 

そうそう、DIVERのことを書いていてひとつ思い出しました。
今年も何カ所か初めて潜った海があるのですが、印象的だった場所が2カ所あります。

そのうちの一つが、座間味です。
沖縄に住んでいる僕が言うのも変ですが、「こんなに沖縄らしい海があったのかー!」とビックリしました。

僕は気に入ってる写真ほどRAW現像を後回しにしちゃうのですが、座間味の写真はまだ触ってないものがいくつかあります。
DIVERから発売されている2021年のカレンダーでは、10月に座間味の写真を採用していただきました。
他の月には、僕も恐縮してしまうような先輩方の写真が掲載されています。
みんな、買いましょう。下記のリンクから購入出来ます↓

DIVER’S STORE 

(座間味島のウフタマイというポイント。砂地にぽつんと佇むマスダ岩という根が、小魚たちの基地になっていた。カレンダーには、同じポイントで撮影した別のカットが使われている。)

もう一カ所が、沖縄本島最北部の国頭村です。
ここは、国頭村からポスター用写真素材の撮影依頼をいただいて潜ったのでした。
座間味とは対照的に、国頭の海は沖縄らしいというよりは、ユニークな印象でしたね。

こちらに関してはオーシャナで記事を書かせてもらったので、是非読んでみてくださいな。
世界自然遺産登録目前!?沖縄本島北部「やんばる」の海の知られざる魅力に迫る [前編]
世界自然遺産登録目前!?沖縄本島北部「やんばる」の海の知られざる魅力に迫る [後編]

(国頭村のキャニオンという大物狙いのポイント。岩の亀裂に咲いたイソバナ。入りきれないキンメモドキたちは亀裂の外で不安げに小さな群れを作っていた。8月に撮影。)

話が行ったり来たりして恐縮ですが…
DIVERでは、誌面の特集からの流れで、東京の本社にてリアルな場でのフォトセミナーも開催しました。

8月の末だったんですが、めちゃくちゃ暑くて、DIVER本社のある渋谷で道に迷って、汗だくで会場に到着しました。
到着すると、DIVERのスタッフの方がたくさんいて、初対面の方ばかりでどんどん緊張して、さらに汗が噴き出して、もうわけがわかんなくなりました。笑

(セミナーの内容は後日有料デジタル配信されました。見てくれた人が多くて嬉しかったな。)

セミナーの内容はここでは触れませんが、ひとつ印象的だったことがあります。
事前の打ち合わせしている時に、DIVERの担当者さんから「普段上出さんが沖縄で教えているとっておきの技をいくつか話してください」とリクエストがあったんですよね。

そこでふと思いました。
とっておきの技なんて1つもないなあ、と。

ご存知の方も多いと思いますが、僕は4年ほど前から沖縄本島でプライベートフォトセミナーを開催しています。
基本的にはマンツーマン、たまにご夫婦やお友達同士で参加してくれる方もいます。
何でそういうスタイルにこだわっているかというと、参加してくれた方を本気で伸ばしたいからです。

何が言いたかったかというと…
プライベートフォトセミナーでも、「プロだけが知る秘密の技」みたいなものを教えているわけではないんですよね。
そもそも、さっき書いた通り、基本的に知ってることはブログなどで隠さず発信しています。

ではセミナーで何をやるかというと、「課題を見つけて、それを分けて、ひとつずつ丁寧に解決する」ということだけです。

例えば、このブログを読んでいない人よりも、読んでいる人の方が水中写真は上手くなります。
そりゃあそうですよね。これだけ色々本気で書いてるんですから。上手くなってもらわないと困ります。笑

でも、何となくみんなわかっているはずです。
「ブログは参考になるけど、実際にはそれだけじゃ上手くならない」って。

色々理由はあるでしょうが、その理由の一つが「自分が何ができていて何ができていないのかわからないから」だと思います。
大事なのは「なんかうまく撮れないんだよなあ」の、「なんか」を具体化して分解することです。

色んなところから情報をインプットするのは大切ですし、それだけで確実に上手くはなりますが、課題を明確にすることが次のステップということですね。
これは、自分でそういう視点を持って意識することも大事でしょうが、やはり簡単なのは指摘してくれる人を身近に置くことだと思います。
実際には、的確なアドバイスをしてくれる方が中々見つからないから、皆さんフォトセミナーに来てくれるのだとは思いますが。

なんだか急に宣伝みたいになってしまってごめんなさい。
自分のブログで宣伝して、謝る理由もよくわかりませんけど。笑

(東伊豆の川奈で9月に撮影。グビジンイソギンチャクは、僕がこれまで見たイソギンチャクの中でぶっちぎりの美しさNo.1だった。ちゃんと撮ってるじゃないか、甲殻類。)

書きたいことはたくさんあります。
でも、あと2つくらいにしましょう。

7月・8月の2か月間、神奈川県溝の口の沖縄料理屋「菜酒家FU-KU」さんで写真展を開催させていただきました。
これまでフォトセミナーやツアーに参加してくれた方から作品を出していただき、「小さな奇跡」というテーマで展示を行いました。

この写真展に関してもオーシャナで取り上げてもらいました。
どんな思いで開催したか、気になる方はそちらをご覧ください。

上出俊作さんの合同写真展「小さな奇跡」が7月1日より溝の口「琉球酒房 菜酒家 FU-KU」で開催!

(この写真、展示する予定じゃなかったんだけど、ひょんなことから急遽「小さな奇跡」で展示することに。今年は行けなかったな、御蔵島。2019年9月に撮影。)

この写真展を通して、ひとつ感じたことがあります。
それは、ブログやフォトセミナーを始めて、そして続けて来て良かったな、という事です。

「水中写真を通して人生がより豊かになる人が増えたらいいな」

そんな思いで、水中写真家としての活動を始めました。
たぶんこのブログの、昔の記事のどこか(自己紹介かな?)に書いてあります。

でも正直、今思えば、当時はカッコつけて、いい人ぶってそんなことを言ってました。
実際には、自分のことでいっぱいいっぱいだったはずです。

自分でそんなことを言うことにこっぱずかしさもあったので、しばらく言ったりも書いたりもしていませんでした。
ようは、自分で言っておいて、いまいちしっくりきてなかったんですよね。
それが今回の写真展で、すっと腹に落ちたんです。

自分も含めて元々なんとなく水中写真を撮っていた人たちが、上手くなろうと真剣に取り組むようになって、結果的に作品を大きくプリントして展示するまでになって。
そんな人たち同士が楽しそうに話していて、上出さんのお陰でなんて言ってくれて。

最初はカッコつけてあんなこと言ってたけど、案外ちゃんとやれてたんじゃないか、なんて思えたんですよね。
あまり感情が表に出る方ではないみたいですが、とっても嬉しかったんです。

別にそれが水中写真じゃなきゃいけないわけじゃないんですが、水中写真を通して自己表現もできるし、新しい出会いの中で成長することもできる。
ようやくそんなことを、実感を伴って言えるようになりました。

(10月に和歌山で撮影。プライベートフォトセミナーがきっかけで、色んなところに呼んでいただけるようになった。ありがたい限りです。)

最後に触れるイベントは、やっぱり第1回沖縄フォトキャンプ「ジャングルジム」ですね。
僕も主催者の一人ですが、発案者は僕ではなく、ゴリラハウスの昇太くんです。
僕にはこんな最高なイベントをゼロから想起する力はありません。笑

このイベントもオーシャナで取り上げてもらったので、詳細はそちらに譲るとして…

“本気”で水中写真の上達を目指すフォトキャンプ&コンテストが11月に沖縄で初開催

本気の水中写真合宿「ジャングルジム」開催レポート

水中写真合宿&コンテスト「ジャングルジム」受賞作品発表

まず、このジャングルジムを通して、初めて出会った方もたくさんいました。
関わってくれた皆さん、本当にありがとうございます。
僕自身、たくさん刺激をもらって、勉強させてもらいました。

そして、言いたかったことは一つ。

「水中写真っていいよな」

それだけです。

昼は潜って夜はセミナーをやって、という水中写真漬けの2日間でした。
いい大人たちがいろんなことを忘れて水中写真だけに熱中して。
みんなで情報共有して高め合ったり、フォトコンに出す作品がないと言って悔しがったり。

未来は明るいなーと思いましたね。
お前何歳だよ?どういう立場だよ?って感じですが。笑

(今年は株式会社フィッシュアイさんにサポートしていただき、新しい撮影方法にもチャレンジできた。9月に宮古島で撮影。)

そんなこんなで、今年1年いろんなことがありました。
僕自身は、皆さんに背中を押していただき、いい方向に流してもらいました。

ご縁に感謝とか言うと超絶安っぽいですが、応援してくれた方、期待して使ってくれた方、そして貴重な時間とお金を使ってセミナーやイベントに参加してくれた方。
そんなあなたに向けて今日の記事は書きました。本当にありがとうございます。

(8月の伊江島。根がびっしりサンゴで覆われていて、なんだか力強かった。サンゴモリモリというポイント名も、可愛い。)

最近たまに、「上出さんはどうなりたいとかあるんですか?」と聞かれます。
いい機会なので、最後にその質問に答えて終わろうと思います。

僕は今のところ、どうなりたいとかはありません。
成し遂げたいことも特にありません。

今あるのは、応援してくれている人達を裏切りたくないという思いだけです。
それだけでも僕にとっては十分モチベーションになるような気がしています。

「水中写真を通して人生がより豊かになる人が増えたらいいな」
という思いで、そこにつながることをひとつずつやっていくつもりです。

(クマノミのハッチアウト。日没後とは聞いていたが、「早く始まっちゃったらどうしよう」と不安になって、結局2時間も潜ることになってしまった。10月に撮影。)

かっこいい目標はないけど、ひとまず来年は2つのことを頑張ろうと思います。
・表現者として高みを目指す
・水中写真の先生を極める

人に教えることばかりしていると、自分の考えややり方が固定化してしまい、表現者としては良くないんじゃないかと思っていた時期もありました。
でも、今年いろんなところで「先生」として話をする機会をもらって、皆さんとコミュニケーションしていく中で、吹っ切れました。
「必要としてくれるなら、とことん先生をやってみよう」と。
(でも「先生」って呼ばないでね。恥ずかしいので。普通に「上出さん」とか「俊作さん」とかでいいです。)

表現者としても先生としても、僕はまだまだ未熟です。
純粋に水中撮影の技術で言っても、まだまだ上がいます。

来年は、表現者として新しいことにもチャレンジしていくつもりです。
もう動き出している新プロジェクト?もあるので、楽しみにしていてください。

2021年も皆さんと一緒に、水中写真のあれやこれやを話せることを楽しみにしています。
海でも酒場でも、どこかで見かけたらいつでも声をかけてください。

それでは、今日もここまで読んでくださりありがとうございました。
どうか良いお年をお迎えください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です