水中用クローズアップレンズはどんな時に使えばいいのか?

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こんにちは、上出です。

どうもお久しぶりです。

 

もうびっくりするくらいブログを更新していませんでした。ごめんなさい。

言い訳してもしょうがないので、早速内容に入りますね。

 

最近、

「クローズアップレンズはどれくらいの頻度で使っていますか?」

「クローズアップレンズはどんな時に使っていますか?」

なんて質問をたまにいただきます。

 

どれくらいの頻度かと言われると自分でもはっきりとはわかりませんが、確かに僕は、クローズアップレンズをけっこう使う方だと思います。

感覚的には、おそらくマクロ写真のうちの1/3以上はクローズアップレンズで撮っているのではないでしょうか。

 

まあ、頻度はそんなに大事じゃないので一旦置いておくとして、

どんな時にクローズアップレンズを使えば良いのか?

について、今日は解説していこうと思います。

 

D850 105mm SMC-1 Z-330  f9 1/250秒 ISO64

 

 

「クローズアップレンズ/マクロコンバージョンレンズ/マクロレンズ」それぞれの意味

 

さて、クローズアップレンズがどんな時に力を発揮するかを解説する前に、ひとつ整理すべきことがあります。

それは、「そもそもクローズアップレンズって何だっけ?」ということです。

 

まず、言葉の定義として、この記事で扱うクローズアップレンズとは、

「カメラに直接ついている(つける)レンズではなく、ハウジングの外側につけるレンズ」

です。

 

「マクロコンバージョンレンズ」と呼ばれている製品もありますが、基本的にはクローズアップレンズと同じだと思ってください。

 

「マクロレンズ」というのは、一眼レフやミラーレス一眼につける(ハウジングじゃなくてカメラにつける)レンズそのもののことです。

僕が使っているのは「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」というレンズで、「ヒャクゴミリマクロ」なんて呼ばれています。

これは、クローズアップレンズともマクロコンバージョンレンズとも違います。

 

つまり、「105㎜マクロ」というマクロレンズを一眼レフのボディにつけて、ハウジングに入れて、ハウジングの外側(ポートの前面)にクローズアップレンズをつける、ということです。

 

現在僕が使っている組み合わせは、以下の通りです。

 

カメラ:Nikon D850

レンズ:AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED

クローズアップレンズ:nauticam SMC-1

 

SONYの90㎜マクロやCanonの100㎜マクロを使っている方。それから、SMC-1ではなくINONのUCL-90などを使っている方。

クローズアップレンズに関する考え方も使い方も同じですので、最後までついてきてくださいね。

 

D850 105mm SMC-1 Z-330  f13 1/250秒 ISO100

 

 

クローズアップレンズは小さいものを大きく写すためのレンズ…?

 

言葉の違いは整理できました。

では次に、クローズアップレンズの役割を整理しましょう。

 

クローズアップレンズ=小さいものを大きく写すためのレンズ

だと認識されている方が多いと思います。

 

僕も以前はそう思っていました。

しかしこれ、半分は正解なのですが、それだけだと不十分です。

 

D850 105mm SMC-1 Z-330  f13 1/250秒 ISO160

 

確かにクローズアップレンズをつけると、小さいものも大きく写せます。

でも、クローズアップレンズをつけただけで大きく写るかというと、そうではありません。

 

クローズアップレンズをつけると、より被写体に近寄れるようになるから、結果的に小さいものが大きく写せるのです。

 

例えば、僕の使っている105㎜マクロというレンズは、クローズアップレンズをつけないと、レンズの先端から15㎝くらいのところまでしかピントが合いません。

被写体まで5㎝とか10㎝のところまで寄ってしまうと、ピントが合わなくなります。

 

これが、SMC-1(UCL-90)をつけると、被写体に5㎝前後まで寄っても、ピントが合うようになるんですね。

(逆に、クローズアップレンズをつけた状態で15㎝離れていたらピントは合いません。)

 

つまり、クローズアップレンズとは、「より被写体に近づけるレンズ」ということです。

これを前提として、ここからクローズアップレンズの活かし方を3つ紹介します。

 

 

①被写体が小さくて、マクロレンズだけでは十分大きく写せない時

 

D850 105mm SMC-1 Z-330  f14 1/250秒 ISO200

 

とりあえず、最も一般的な使い方からいきます。

例えば魚の卵とか、米粒大のウミウシとか、こういう被写体はマクロレンズだけでは大きく写すことができません。

本当に米粒みたいになってしまいます。

 

クローズアップレンズなしで撮って、後からトリミングするという方法もありますが、これだと画素数が少なくなってしまいますよね。

SNSにアップするくらいならそれでもいいですが、大きく伸ばしてプリントする時なんかは、それなりの画素数が必要です。

 

そういう意味で、5mmにも満たないような小さな被写体のディテールを描写したいときに、クローズアップレンズが必要になるということです。

これはシンプルですし、皆さんご存知だと思いますので、解説もこのくらいでいいでしょう。笑

 

 

②動きの速くない生き物で、周辺をぼかして整理したい時

 

D850 105mm SMC-1 Z-330  f11 1/250秒 ISO100

 

僕は、被写体がそんなに小さくなくても、積極的にクローズアップレンズを使っています。

なぜなら、クローズアップレンズを使った方が柔らかいボケを作りやすいからです。

そして、背景や前景をトロっとぼかすことで、画面の中を整理することもできます。

 

「どれくらいボケるか」は、絞り(f値)やレンズの焦点距離など、色々な要素の組み合わせで決まります。

ここでは細かい解説までできませんが、その要素の中でも重要なのが、「距離」なんですね。

 

「レンズから被写体までの距離:レンズから背景(前景)までの距離」

の比(差)が大きくなればなるほど、ボケは作りやすくなります。

そして、被写体に寄ることで、この比(差)は大きくしやすいんです。

 

たぶん絵か図を書いたらわかりやすいんですが、あまり得意ではないので割愛します。笑

 

細かいことはわからなくても大丈夫です。

「クローズアップレンズをつけた方がボケを作りやすい」ということだけ覚えてください。

細かいことが気になるようなら、僕に会った時にでも聞いてください。

 

D850 105mm SMC-1 Z-330  f13 1/250秒 ISO64

 

では、ぼかしたいときはいつでもクローズアップレンズを使えば良いかというと、そうでもありません。

クローズアップレンズを装着すると、オートフォーカス(AF)の性能が落ちます。

なので、動きの速い被写体をSMC-1クラス(最大撮影倍率2.3倍)のクローズアップレンズで撮るというのは、個人的には現実的ではないかなという印象です。

(AF性能の問題だけでなく、スズメダイとかハナダイとかに、レンズから5㎝前後まで寄れないというのもあります。)

 

ただ、動く被写体が全く撮れないかというと、そうでもありません。

クローズアップレンズを使いこんで、ワーキングディスタンスの幅(SMC-1の場合は40~90㎜)が感覚的につかめてくると、ある程度動く被写体も撮れるようになります(カメラやレンズのAF性能にもよりますが)。

 

僕も以前は「動かない被写体じゃないと使えないよね」と思っていましたが、最近は動きのある被写体でも徐々に使えるようになってきました。

まあでも、それなりの鍛錬は必要だと思います…

 

 

③浮遊物の写り込みを減らしたい時

 

D850 105mm SMC-1 Z-330  f16 1/250秒 ISO100

 

僕は、透視度が極端に悪い海、浮遊物が多い環境の場合は、積極的にクローズアップレンズを使います。

むしろそのようなケースでは、最初からクローズアップレンズで撮るのに適した被写体を探しています。

 

実際、動きの速い生物以外は何だってクローズアップレンズで撮れるのですが、やっぱり大き目の被写体は撮りにくいです。

例えば、ハナタツやイバラタツなどの大き目のタツノオトシゴの仲間とか、カエルアンコウの成魚とか、体調が3~4㎝あるような被写体だと、全身を入れることができなくなります。

体の一部をクローズアップで切り取ればいいのですが、それで作品として仕上げるのは、それなりに難しいんですよね。

 

そういう意味で、透視度が悪い、浮遊物の多い海では、最初からできるだけ小さい被写体を探すというのが、僕のやり方です。

 

D850 105mm SMC-1 Z-330  f6.3 1/250秒 ISO64

 

順番が前後した気がしますが、なぜこういうケースでクローズアップレンズを積極的に使いたいのかについて解説します。

水中マクロ撮影において、「どうしても浮遊物が写り込んでしまう」というのは、よく聞く悩みです。

 

解決方法は大きく分けて3つあります。

 

1、ストロボやライトの位置と角度を調整する

2、浮遊物が写り込んでも目立たない背景を選ぶ

3、レンズと被写体の間にある浮遊物の量を減らす

 

1と2は、色々工夫しても中々上手くいかないことも多いですよね。

でも、3はやれば必ず効果が出ます。

 

まさかカメラと被写体の間にある浮遊物を網ですくうわけにもいかないので、物理的にその空間を埋めてしまうのが手っ取り早いです。

105㎜マクロだけだと被写体に15㎝くらいまでしか寄れませんが、SMC-1をつけると5㎝前後まで寄れます。

つまり、間にある水の層の厚さが1/3になります。

その分浮遊物の量が減るのは、簡単に想像できますよね。

 

今年は伊豆や三浦のなかなか厳しい透明度の中潜る機会もありました。

クローズアップレンズを持っていなかったら、かなり厳しい戦いになっていたと思います。

 

D850 105mm SMC-1 Z-330  f7.1 1/250秒 ISO64

 

 

今日はここまで、クローズアップレンズとはそもそも何なのかということを確認した上で、

 

①被写体が小さくて、マクロレンズだけでは十分大きく写せない時

②動きの速くない生き物で、周辺をぼかして整理したい時

③できるだけ浮遊物の写り込みを減らしたい時

 

という、クローズアップレンズが生かせる3つのケースを紹介させていただきました。

けっこうざっくり書いた部分もありますが、少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

 

わからないことがあれば、また会った時にでも聞いてください。

それでは、今日もここまで読んでくださりありがとうございました!

 

 

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陽だまりスタジオ 代表 上出俊作 (水中写真家)

沖縄本島を拠点に活動している水中写真家です。

これまで、写真集の出版や写真展の開催などを通して、海の魅力を伝えるべく水中写真家として活動してきました。

撮影スタイルという程でもないですが「日常を切り取る」という事が僕にとっての大事なテーマです。

珍しい生き物を追いかけ回したりせず、水中の生き物たちとかくれんぼやにらめっこをして遊びながら、のんびりと撮影しています。

「水中写真を通して共に成長し合える仲間と出会い、一緒に豊かな人生を歩んで行きたい。」

そんな思いから生まれたのが、このブログです。

自分と真剣に向き合う事の大切さを教えてくれた水中写真に、日々感謝しています。
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資格・所属

PADI Instructor (OWSI #827547)
PADI Digital Underwater Photographer Instructor
PADI Enriched Air Specialty Instructor
潜水士
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