和歌山水中撮影レポート(みなべ編)~本州の海で綺麗な背景を探す~

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こんにちは、上出です。

夏の終わりはいつも寂しいですね。

 

内地ではキンモクセイの香りが流れてくる頃でしょうか。

四季を感じにくい沖縄ではありますが、季節には敏感でいたいと思っています。

 

もうだいぶ昔の話になってしまいましたが、7月に和歌山で潜らせていただきました。

さすがになかったことにはできないので、今日は後編のレポートをお届けします。

 

レポートの前編は以下のリンクからご覧ください↓

和歌山水中撮影レポート(日高編)~濁った海でクリアな写真を撮る~

 

 

ちょっと内容が盛りだくさんになりそうなので、3つ被写体に分けて話を進めていこうと思います。

みなべというエリアで2日間潜ってきましたので、その時の写真を紹介しながら解説していきますね。

 

みなべの海の情報は、現地ショップ「サンマリン」さんのHPでご覧ください。

ガイドをしてくださったのは、みなべをホームに和歌山全域を案内されている「潜水屋DAIKI」さんです。

 

 

■ショウガセ:オオカワリギンチャク

 

1本目に潜ったのは「ショウガセ」というポイントです。

関西ダイバーの方はご存知かもしれませんが、このポイントにはオオカワリギンチャクというイソギンチャクの仲間が生息しています。

 

このオオカワリギンチャク、「世界的に見ても珍しい」ことも「潜水屋DAIKIさんは強い思い入れがある」ことも知っていたのですが、正直そこまで興味はありませんでした。

たぶん、自分が撮影するイメージを持てていなかったからだと思います。

 

ブリーフィングでも、オオカワリギンチャクをメインで撮るというよりは、「ハナダイをオオカワリギンチャクとからめて」なんて偉そうなことを言ってしまったんですよね。

 

エントリーして水深40m付近まで潜降すると、打ち合わせ通りDAIKIさんがハナダイの仲間たちを紹介してくれました。

しかし、思っていたよりも個体が大きく、透明度もあまり良くなく、オオカワリギンチャクとからめるどころか普通に撮るだけでも難易度高めじゃありませんか。

 

困った僕はなんとなく後ろを振り向き、DAIKIさんがライトで照らす先を眺めると、小さなオオカワリギンチャクたちが斜面にポツポツと咲いていました。

 

ああ、これはなんだろう。

どこかで見たことがある景色だ。

深い森の中に迷い込んだみたいだな。

 

そんなことを考えていたような気がします。

伊豆でも沖縄でも見たことのない、幻想的な光景でした。

 

オオカワリギンチャク、見に行って本当に良かったです。

ワイドレンズを持っていかなかったのでその場の雰囲気が伝えらず残念ですが、暗い水中でポッと浮かび上がるその様子はまるで「こだま」のようでした。

 

(出展:Amazon)

 

さて、感動しているだけでなく、自分の役割も全うしなければいけません。

このオオカワリギンチャクをマクロレンズでどう撮ろうかと思って辺りを見回してみると、岩肌は泥っぽい砂?で覆われています。

「これがみんなの言う茶色い世界か…」と思いました。

 

でも、ライトを当てながら岩肌をよく観察してみると、所々オレンジのカイメンが付着していたんですよね。

そして、なんとかカイメンを背景に入れられそうな位置に、オオカワリギンチャクが生息していました。

 

正直、今思えば暗めの背景で普通に撮影した方がその場の空気感も伝えられたような気はします。

でも、和歌山の海でも明るい背景で撮影できるのか検証したかったので、ひとまずカイメンを背景にして撮影してみました。

 

(D850 + 105mm micro + Z-330   f4.2 1/250秒 ISO64)

 

「こだま感」が完全に失われてしまいました。笑

 

色のバランスもイマイチな気はしますが、よく観察すれば綺麗な背景は意外とあるものですね。

もちろんラッキーもありまし、探してもない時はないですが、どこの海でも探す目は持っていた方が良いのかもしれません。

 

 

そうそう、それからひとつ、思った事があります。

 

「本州の海は暗くて…」

 

という相談をいただくことが多いのですが、「水中が暗い」のと「背景の色が暗い」というのは分けて考えた方が良いなと思いました。

 

ショウガセは深くて、透明度もあんまりで、天気も悪かったので、水中はめっちゃ暗かったです。

でも、背景の色は、ほとんどの部分は暗いけど、探せば明るい色もありました。

 

こういうケースなら、単純にストロボを適正に使えれば明るい背景の写真は撮れますよね。

 

 

■みなべだし:タマシイ

 

(D850 + 105mm micro + Z-330   f6.3 1/250秒 ISO64)

 

僕たちマクロ派ダイバーは「タマシイ」という響きだけで幸せになれます。

「タマシイめっちゃ可愛いですよね!」「タマシイ撮ってみたいです!」

ダイビングサービスでは、そんな会話が日常的に交わされています。

 

でも、居酒屋でそういう話をするのはやめましょう。

「魂とりたい」とか、めっちゃ怖いです。

 

冗談はさておき、みなべだしというポイントではタマシイと呼ばれているアオサハギの幼魚を撮影しました。

しかも、ケヤリと絡めて撮影できるのは今だけと言います。

 

「まだウネリが多少残っていると思います…」とは聞いていましたが、入ってみると、想像を超えるウネリでした。

 

ケヤリに隠れているタマシイを紹介してもらいましたが、ケヤリがメトロノームのように動いていて、なかなか撮れません。

少しでも気を抜くと、タマシイがどこかに飛んで行ってしまいそうです。

 

言い訳ばかりしているわけにもいかないので、水底に張り付いてなんとか撮りました。

ケヤリのベストシーズンは過ぎていたようですが、初めて見たケヤリは、タンポポの綿毛にかき氷のシロップをかけたみたいで可愛かったです。

 

ただ、ケヤリとタマシイを一緒に取れば綺麗になるかというと意外とそうでもなく、ケヤリの向こう側の背景に何を持ってくるかが重要に感じました。

もちろん自由に選べるわけではないのですが、自分がちょっと動いてアングルを変えるだけで、雰囲気の違う写真が撮れますね。

こういうのって正直撮ってみないとわからないので、とりあえず撮ってみて、モニターを確認しながらアングルを微調整していく作業が大切なのではないでしょうか。

 

(D850 + 105mm micro + Z-330   f5.6 1/250秒 ISO64)

 

 

■ショウガセ:コケギンポ

 

ショウガセには、コケギンポがたくさんいました。

沖縄でよく見かけるハダカコケギンポとはちょっとだけ表情も違って可愛かったですね。

 

何匹か紹介してもらった中で、一匹特に印象的だった子がいます。

 

DAIKIさんが「あまり写真映えはしないかも…」という感じで紹介してくれたその子は、イシサンゴにあいた穴に住んでいました。

確かに、サンゴは茶色っぽくて、コケギンポの色も特別綺麗というわけではなかったのですが、なんとなくいけそうな気がしたんですよね。

 

ちなみに、ガイドさんが誰かにかかわらずもちろん逆もあります。

ガイドさんが自信をもって紹介してくれたけど撮ってみたらあんまり…ということです。

 

これは当たり前の話で、人それぞれ感性が違うし、撮り方も撮りたい写真も違うからです。

だから、最終的には自分の目で全てを判断しないといけません。

 

何を撮るのか。

どこから撮るのか。

どうやって撮るのか。

 

もちろんガイドさんの力を借りるのは全然ありですが、自分で考えて撮れるようになると、作品にオリジナリティが出るだけでなく、水中写真そのものがもっと楽しくなると思います。

 

 

話を戻します。

 

このサンゴ、確かにパッと見はあまり綺麗じゃなかったのですが、105㎜の目で見てみると、小さなポリプも開いていて綺麗に切り取れる可能性を感じました。

 

これは僕が考えた言葉じゃなくて、フォトセミナー参加者の方が考えてくれたのですが、「105㎜の世界で背景を探す」というのがとっても大事です。

(僕は105㎜マクロレンズを使っていますが、60㎜でも100㎜でもいいですよ。)

 

マクロ撮影の醍醐味って、肉眼では見えない景色を切り取れることだと思います。

なので、自分の目ではどうってことのない背景に見えても、マクロレンズで切り取れば美しいってことが普通にあるんですよね。

さらに言えば、105㎜ではあんまりでも、クローズアップレンズをつければ華やかになることだってあるわけです。

 

先ほど紹介したオオカワリギンチャクも同じです。

岩についた小さなカイメンなんて、肉眼で見て感動できる人はあまりいませんが、105㎜の目で見れば魅力がぐっと増します。

 

このコケギンポの場合は、結果的に背景となるサンゴと距離が取れず中途半端なボケ方になってしまったので、最後はクローズアップレンズをつけて無理くりぼかしにいきました。

 

(D850 + 105mm micro + UCL-90 + Z-330   f11 1/250秒 ISO200)

 

 

今日はここまで、3種類の被写体の撮影を振り返りながら、

「暗くて一見地味そうな海でどうやって明るい背景を作るか」

について解説してきました。

 

本州の海でも場合によっては明るい背景で抜けるということが伝わりましたでしょうか?

 

ちなみに、今日は「明るい背景を作る」というテーマで話を進めてきましたが、もちろん暗い背景で撮影してもいいですし、明るいことが正義でも正解でもありません。

暗い背景の方が被写体の魅力が引き立つケースはたくさんありますし、撮影者の意図を反映させればいいと思います。

 

それから、もしも明るい背景にこだわるんだったら、どうやっても明るい背景で抜けない被写体をパスする勇気も必要ですよね。

今回の和歌山でも、綺麗なレモンイエローのカエルアンコウを紹介してもらいましたが、壁に張り付いていて背景をどうにもできなそうだったので撮りませんでした。

 

ちなみにカエルアンコウを撮らずに何を撮っていたかというと、沖縄でも見ることができるニシキフウライウオです。笑

 

(D850 + 105mm micro + Z-330   f8 1/250秒 ISO64)

 

背景が特別綺麗でないときは、できるだけシンプルな背景になるようアングルやライティングを工夫しています。

実際には、背景が綺麗なことの方が少ないので、そういう状況でいかにそれなりにまとめるかの方が重要だったりするのですが…

話があっちこっちに行ってしまうので、今日はこの辺にしておきましょうか。

 

冬にも和歌山に行く予定ですので、何か新しい学びがあればまたシェアできればと思いつつ、書く余裕がないかなとも思っています。笑

 

それでは、今日もここまで読んでくださりありがとうございました!

少しでも参考になれば嬉しいです。

 

 

p.s.

 

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陽だまりスタジオ 代表 上出俊作 (水中写真家)

沖縄本島を拠点に活動している水中写真家です。

これまで、写真集の出版や写真展の開催などを通して、海の魅力を伝えるべく水中写真家として活動してきました。

撮影スタイルという程でもないですが「日常を切り取る」という事が僕にとっての大事なテーマです。

珍しい生き物を追いかけ回したりせず、水中の生き物たちとかくれんぼやにらめっこをして遊びながら、のんびりと撮影しています。

「水中写真を通して共に成長し合える仲間と出会い、一緒に豊かな人生を歩んで行きたい。」

そんな思いから生まれたのが、このブログです。

自分と真剣に向き合う事の大切さを教えてくれた水中写真に、日々感謝しています。
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資格・所属

PADI Instructor (OWSI #827547)
PADI Digital Underwater Photographer Instructor
PADI Enriched Air Specialty Instructor
潜水士
海をつくる会(所属)

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