沖縄のサンゴ2022 ~一斉産卵から大規模白化まで~

 

こんにちは、上出です。

毎年同じことを書いてる気もしますが、気づけば年の瀬ですね。

今年もあんまりブログを更新できなくてごめんなさい。

 

昨日(2022.12.29)の夜、2022年にあったことをぼんやりと思い出していました。

クジラでは衝撃的な出会いがあったし、初めての写真集・写真展もあったし、本当に色んなことがありました。

どれも素晴らしい思い出です。はっきり言って、最高の一年でした。

今年も僕と関わってくれた皆さん、どうもありがとうございました。

 

D850 105mmMicro Z-330 f7.1 1/250 ISO64

 

イベントとしてはやはり写真展・写真集が大きかったのですが、自分の撮影活動を振り返ってみると、最も心が震えたのはサンゴの撮影だったような気がしています。

生まれて初めて大産卵に立ち会い、サンゴの研究者からマニアックなことも教えてもらえるようになり、これからもっとサンゴを撮っていこうと思った矢先、白化が始まりました。

大規模白化が人間の活動によるものなのか、あるいは悠久の歴史の中で繰り返されてきたことなのか、僕にはわかりません。

2022年、沖縄のサンゴが大規模白化したことは間違いないですが、そもそも1998年以前の白化に関するデータが少ないようで、長い目で見て何が起こっているのか誰にもわからない、というのが現状なのではないでしょうか。

 

人間にできることはあるのでしょうし、サンゴの保護を啓蒙されている方々には、敬意を表します。おそらく、人間活動がサンゴにとって不利益になっている場面はたくさんあるでしょう。

そして、それぞれの海でサンゴを見守り続けてきたガイドの皆さんの心中を察すると、心が痛みます。

ただ、僕はこの記事でサンゴの保護を訴えたいわけでも、議論をしたいわけでもありません。

もちろん、誰かを批判したいわけでもないです。

 

僕は普段から、ジャーナリスティックな視点で撮影しているわけではありません。

作品として切り取りたいと思ったときに、カメラを向けてきました。

サンゴももちろん同じで、「記録」として撮ってきたわけではないので、客観性みたいなものはなく、あくまで自分の「作品」です。

たとえスカスカのサンゴ礁だったとしても、僕は密度(被度)の高い場所を探してそこだけ撮るので、記録としての意味はないかもしれません。

 

とは言え、大規模白化を目にしたときに思ったんです。

「沖縄の各地でサンゴを撮影している写真家・カメラマンってどれだけいるんだろう……」と。

どう考えてもそんなにいなさそうなので、記録しておこうという気持ちも少し芽生えました。

が、結局9月以降はサンゴの撮影に時間をさけませんでした。

なので、一番大事な「白化のその後」がありません。

 

それじゃあ意味ないかなあとも思いましたが、何も書かないと全部忘れちゃうので、書くことにしました。

2022年4月から8月にかけて撮影したサンゴの写真を、その時感じたことと共に掲載します。

自分のための記録ですが、いつか誰かの役に立ったらそれはそれで嬉しいですね。

 

撮影データも添えておきますので、作品づくりの参考にしてもらえれば嬉しいです。

さ、今日中に書き終えられるように頑張ります。

 

D850 8-15mmfisheye f11 1/250 ISO400

 

そうそう、先に一つ言わせてください。

どうしてもこの記事、白化最盛期?の写真で終わってしまうので、沖縄のサンゴが「終わった」ような印象を与えがちです。

→結局最後に詳しく書きました

 

でも、そうではありません。

白化していない地域もあるし、白化して結果的にサンゴの多くが死んでしまった海域でも、現地ガイドさんが必死でサンゴの綺麗な場所を探してくれています。

そして、サンゴ自身も、どんどん復活していくはずです。

 

なので、「今沖縄に行っても綺麗なサンゴは見られないんだ」とは思わないでください。

それぞれの島で頑張っているガイドさんを訪ねれば、きっと新しい景色を見せてくれるでしょう。

僕は来年も、これまでと同じように八重山や宮古、沖縄本島周辺の離島に行って、サンゴを撮影するつもりです。

それでは、時系列で見ていきます。

 

■2022/4/8 沖縄本島 本部町

D850 8-15mmfisheye f11 1/400 ISO560

D850 8-15mmfisheye Z-330 f16 1/250 ISO320

 

家から車で10分ほどの海。

去年だったか、DIVE JOURNEYの仲間が「あそこのサンゴ綺麗よ」と教えてくれた。

東京で開催されたマリンダイビングフェアからの帰り、どうしても何か新しい撮影にチャレンジしたくなった。

あそこなら夕陽とサンゴを半水面で撮れるかもしれない、と飛行機の中で思い立ったことを、今もはっきりと覚えている。

 

朝ロケハンに行ってみると、想像以上の景色で、「なんで今までここを素通りしてたんだろう」と情けなくなった。

夕方再度現地に行くと、風もやんでいて、最高のコンディション。

この日以来何度かこのポイントに入って気づいたのだけれど、ここはいつも透明度がよくない。

生活排水なのか川の水なのかあるいは湧き水なのか、とにかく真水も入っていて視界が悪い。

 

そんな中で初めての半水面ストロボ撮影。

ほとんどのカットがゴミ(浮遊物)だらけでボツになった。

ストロボの角度を微調整し続けているうちに太陽が沈みそうになり、やばいやばいと焦ったような、意外と落ち着いていたような。

細かいことは忘れたけれど、なんとか最後に仕上げられてよかった。

 

年末のフォトセミナーでこの場所を再度訪れてみたところ、ミドリイシの仲間を中心に、白化しているサンゴもいた(写真がなくてごめんなさい)。

とはいえ、群体が丸々白化しているわけではなく、白化しているのは大潮の干潮で水面から出そうな部分だけ。

白化しているサンゴにも藻類はついておらず、白化から復活している途中なのかなという印象だった(12/26 水温22℃)。

 

撮影時の心情などはスクーバモンスターズで連載しているエッセイに綴ったので、大晦日時間を持て余したら読んでみてくださいませ。

~まだ見ぬ日常へ~

 

■2022/5/13 石垣島 伊原間湾

D850 8-15mmfisheye Z-330 f14 1/250 ISO640

D850 105mmMicro Z-330 f4.5 1/250 ISO64

 

石垣島北部の現地サービス、イエローサブマリンダイブスタジオの峰さんから声をかけてもらい、初めて腰を据えてサンゴの産卵を撮影した。

撮影2日目の22時頃、ミドリイシの一斉産卵が始まった時には、震えた。想像の10倍くらい凄かった。

360度サンゴのバンドルに包まれる感覚は、実際に体験しないとわからないと思う。

まだまだ海の世界は知らないことばかりだということを思い知らされたし、写真の限界みたいなものも感じた。

別にそれは悪いことではなくて。単純に、現場で五感を使って体験することが、何よりも貴重で唯一の真実だということ。

写真は結局ハイライトだし、物事の一面を切り取っただけに過ぎない。

 

残念ながら、この場所のサンゴは白化から立ち直れなかったらしい。

それでも、この近くにもまだ元気なサンゴが残っている場所があるという。

 

来年も石垣島北部でサンゴの産卵の撮影にチャレンジする。

単純に撮れ高だけを考えたら、「来年は慶良間で」みたいな選択肢もあるかもしれない。

それはそれでいいと思う。

でも、サンゴに限らず、一番綺麗な場所や一番撮りやすい場所に行くことには、あまり興味がない。

はっきり言って、コスパとかどうでもいい。

何かの縁で撮り始めた場所で、誰かと一緒に時間をかけて物語を紡いでいきたい。

 

そうだそうだ、サンゴの産卵についてもエッセイを書いたんでした。

お正月時間を持て余したら読んでみてください。

~一斉産卵の夜~

 

■2022/7/10-11 伊平屋島

D850 8-15mmfisheye f13 1/250 ISO640

D850 8-15mmfisheye f13 1/250 ISO360

 

まだまだ載せる写真があるのに、それぞれにこんな長い文章添えてたら今日中に書き終わらないし、皆さんに読んでももらえないですね。

ごめんなさい。ここからは短めにします。

 

2年目の伊平屋島。

サンゴ好きにとっての最後の秘境とも言うべく、沖縄本島北部からフェリーで渡る離島。

前年がずっとベタ凪だったからそれに比べると100%ではなかったけれど、やはり文句なしに綺麗だし元気だった。

 

僕が住んでる名護市からだとそんなに遠くはないのだけれど、古き良き沖縄の離島の風情を感じられて、心が安らぐ。

JINさんに会いに(伊勢海老を食べに)、来年は8月に行こう。

 

■2022/7/13 宮古島 八重干瀬

D850 8-15mmfisheye f14 1/1000 ISO1400

 

宮古島はここ数年、年に何度か訪れていたけれど、実は八重干瀬は初めて。

いつもお世話になっているエミナマリンさんにお願いして、連れて行ってもらった。

 

沖縄本島や八重山に比べて、宮古島はサンゴの回復が遅れているような印象があった。

実際に八重干瀬を潜ってみると、実際にはとっても元気なミドリイシの群生が広がっていて、いい意味で裏切られた。

被度の高いエリアは限られているのかもしれないし、きっと昔に比べたら100%ではない。

 

それでも十分綺麗だなという印象だった。

2022年11月、宮古島フォトコンテストの審査員の仕事で現地に行った際、「八重干瀬のサンゴは白化から戻りつつある」という話も聞いた。

大きなダメージがなかったなら何よりだ。完全復活して、さらにモリモリ成長してくれたらいいな。

 

■2022/7/31 西表島 網取

D850 8-15mmfisheye f13 1/500 ISO500

 

サンゴと言えば西表島が真っ先に頭に浮かぶ人も多いのではないだろうか。

僕もここ5年くらい通って、サンゴやマングローブを撮影している。

 

サンゴ白化について多くの人が心配し始めたのは、この頃だったように記憶している。

少なくとも、7月中旬に宮古島を訪れた際は自分自身もまだ白化については考えていなかった。

7月後半になっても台風が沖縄近海に接近せず、特に八重山地方(あるいは先島諸島)で高水温状態が続いていた。

 

現地でお世話になっているトネリコの幸平さんから「白化が始まっている」という話を聞いて、撮影させてもらった。

実際に潜ってみて「けっこう白化しているな」と感じたけれど、今こうしてその後撮影した写真と比べてみると、これはまだ始まりだったということがよくわかる。

この場所が今どんな状態なのかはわからない。

 

■2022/8/10 伊江島

D850 8-15mmfisheye f18 1/400 ISO500

D850 8-15mmfisheye f13 1/400 ISO500

 

ダイビング業界では知名度の低い伊江島(失礼)。

でも僕にとっては、ここ数年、サンゴの作品撮りといえば伊江島というくらい、思い入れの強い島。

 

家から近いので、潮や風やお天気を見ながら、最高の状況を狙って撮影に行くことができる。

今年も一日だけ、晴天&凪で、思わずニヤニヤしてしまうような作品が撮れた。

 

それもこれも、現地で調査を続けてくれている伊江島マリナーのかつじ君のおかげ。

訪れた8月前半の時点で白化は見られなかったし、その後も伊江島のサンゴはそれほど白化しなかったようで一安心。

 

■2022/8/15 石垣島 米原

D850 8-15mmfisheye f13 1/250 ISO1000

D850 8-15mmfisheye f13 1/800 ISO800

 

石垣島の米原ダブルリーフと言えば、昔から有名なダイビングポイント。

ネイチャー石垣島の多羅尾さんに連れて行ってもらったのは、3年前だっただろうか。

そこから毎年撮影させてもらっていて、年々サンゴの被度が上がってきているような印象があった。

 

8月中旬になると、八重山のサンゴは広範囲で白化し、現地の方々の悲痛な声を聴くことも多くなった。

この頃には、沖縄で海の仕事に携わる方や、サンゴが好きなダイバーの間で、白化に関する話題が自然と出るようになっていたと思う。

 

撮影した米原ダブルリーフ北西のサンゴは、白化はしているものの、まだ真っ白というわけではなかった。

事情を知らない人が見れば「パステルカラーで綺麗」と喜ぶかもしれない。

一方、米原ダブルリーフの中でもさらに水深の浅いエリアは、より白化が進んでいたように記憶している。

現地の方から詳しく聞いていないので現状はわからないが、その後死んでしまったサンゴも多いと聞いた。

とはいえ、水深の深い(10m前後とか)エリアは元気なのかもしれない。

 

■2022/8/16 石垣島 浦底湾

D850 8-15mmfisheye f14 1/250 ISO320

 

毎年撮影していた米原エリアだけでなく、湾内(浦底湾)のサンゴも撮影させてもらった。

潮通しが良くなく、水深も浅いからだろうか。より白化が進んでいるように感じた。

 

この日は特に透明度が悪く、写真がもやっとした仕上がりになった。

が、これはこれで雰囲気が出て良かったような気もする。

今どんな状況なのかはわからない。

 

■2022/8/24 水納島(国頭郡本部町)

D850 8-15mmfisheye f13 1/320 ISO500

 

八重山の白化の状況を見て、沖縄本島周辺の状況も見ておかなければと思った。

近所なんだから普段からちゃんと観察しろよという話だけれど、忙しかったのかなんだったのか、とにかく今年は一度も水納島に行っていなかった。

 

名護市内にあるダイビングサービス、うみてんぐさんにお願いして、水納島に連れて行ってもらった。

よく撮影するポパイとオリーブの間あたりに行ってみると、見慣れた綺麗なサンゴの群生が広がっていてホッとした。

というか、去年よりもサンゴが元気に見えた。

 

もしかしたら少し白化しているせいでよりカラフルに見えたのかもしれないけれど、八重山で白化の進んだサンゴを見た後だったこともあり、水納島のサンゴは白化していないように見えた。

人間の目なんてそんなものだし、写真は後からいくらでも編集で色を変えられるし、客観的に評価するのは難しいなとあらためて思う。

結局今年はこの一度しか水納島に行けなかった…

 

■2022/8/28 鳩間島

D850 8-15mmfisheye f14 1/500 ISO720

D850 8-15mmfisheye f14 1/500 ISO450

 

8月中旬に石垣の白化の様子を見て、そこから台風も来ていなかったので、ある程度予想はしていた。

それでもやはり、現実を目の当たりにしたときはショックだった。

 

昨年から西表島のトネリコさんと一緒に鳩間島周辺のサンゴも観察していて、これからじっくり撮影していこうと思っていたのだけれど。

水中に入った瞬間物凄く眩しくて、そのことが自分にとっては体感として焼き付いている。

 

この場所がその後どうなったのか、現地からの声は届いていない。

たまたまSNSで上空から撮影した写真を見かけた。白化から復活できたようには見えなかった。

とは言え、八重山は広い。きっと違う場所で、ひっそりと繁栄を続けているサンゴたちがいるだろう。

 

■2022/8/29 鳩間島

D850 8-15mmfisheye f11 1/800 ISO1000

D850 8-15mmfisheye f11 1/500 ISO800

 

前日に撮影した場所から、100mも離れていなかったと思う。

これだけ近い場所でも白化の状況が全然違うことに驚いた。

 

原因はわからないけれど、この場所は潮がビュンビュン流れていて、粟国島でギンガメアジを追いかけているのかと思うほどだった。

水深も、ここの方が少しだけ深かったかもしれない。

とはいえ何かを比較できるほどのデータはないので、あくまで僕の感想だけれど、潮通しと水深によって白化の状況はかなり変わることを感じた。

D850 8-15mmfisheye f11 1/500 ISO800

 

以上が、僕が今年撮影したサンゴの写真と感じたことです。

ネットで2022年のサンゴの白化について調べてみると、「石西礁湖のサンゴの白化率が92.8%」というのが、ひとつの目を引くキーワードとして出てくると思います。

この数字を最初に見た時に、ちょっと引っ掛かりがあったというか、自分の持ってる感覚と違うような印象がありました。

最後の最後でこんな真面目な話をしなくてもいいような気もするのですが、せっかくなので、白化率92.8%という数字から感じた違和感を整理しておきます。

 

「石西礁湖のサンゴの白化率が92.8%」という字面だけ見ると、特に沖縄以外に住んでいる方は「沖縄のサンゴのほとんどが死んでしまった」と思うかもしれません。

白化=死ではないことを知っていたとしても、「沖縄のサンゴがほとんど白化した」と思ってしまっても無理はないのかなと。

 

でも、それは事実とは違います。

白化率92.8%というのは、環境省が2022年9月下旬に行った調査を元に集計された結果ですので、信ぴょう性のある数字です。

詳しくは環境省のHPに掲載されていますので、興味があれば見てみてください。

西表石垣国立公園 石西礁湖のサンゴ白化現象の2022年9月調査結果について

 

この調査自体は意義のあるものだし、調査に関わっている方には感謝の気持ちと尊敬しかありません。

ただ、この調査内容をきちんと理解しないと、沖縄のサンゴの現状は把握できないように感じています。

 

まず、この調査は石西礁湖で行われたものです。

石西礁湖というのは、石垣島と西表島の間に広がるサンゴ礁。日本最大とも言われています。

この場所で調査を実施することには何の異論もないのですが、実は今回僕が掲載した写真の中に、石西礁湖で撮影したものは1枚もありません。

八重山というくくりでは、石垣・西表・鳩間で撮影した写真を掲載しましたが、これらは全て石西礁湖以外で撮影しました。

確かに石西礁湖は広いですが、八重山はもっとずっと広いです。石西礁湖以外にも、八重山にはサンゴが綺麗な場所は無数にあります。

なので、石西礁湖のサンゴのうち92.8%が白化したと言っても、八重山全体の92.8%が白化したわけではない。

もっと言えば、当たり前ですが、沖縄全体の92.8%が白化したわけではありません。

 

沖縄本島周辺と比べると八重山は、水温が2℃前後高いことが多いです。

そのため、八重山の方が高水温による白化も起こりやすいと、僕自身は思っています。

僕の知っている限りでは、干潮時に明らかに水面から出るような極浅の場所を除けば、2022年に沖縄本島周辺でサンゴが大規模に白化・死滅したという話は聞いていません。

僕自身が沖縄本島に住んでいることもあり、「92.8%」という数字が殊更にクローズアップされることに違和感を覚えたのでしょう。

もちろん、八重山でも住んでいる場所、普段潜っている場所によって、感じ方は人それぞれだと思います。

 

D850 105mmMicro SMC-2 Z-330 f22 1/250 ISO64

 

さて、この調査が石西礁湖という限られた場所で実施されているというのが一つ目のポイント。

二つ目のポイントは、調査がスノーケリングで実施されているという点です。

 

平均水深などの具体的な数字が見つけられなかったので詳細はわかりませんが、スノーケリングで調査するということは、比較的水深の浅いサンゴが対象になるはずです(スクーバによる調査も認められているけど、どれだけ行われたのかはわからない)。

沖縄なので透明度はまあいい方だとしても、水深10mのサンゴの状態を水面から判断するのは、結構難しいと思います。

今年各地のサンゴを撮影していて顕著に感じましたが、水深が浅い場所で生息しているサンゴから白化が進んでいるように見えました。

浅い所の方が水温が高くなりやすいというだけでなく、太陽光そのものが白化に影響するという研究もあるようなので、大きく間違ってはないと思います。

その点を考慮すると、この調査ではどうしても浅場中心になり、その分白化率が高くなる傾向にあるのではないかと想像しました。

大規模白化の後そのまま多くのサンゴが死んでしまった場所でも、水深10m前後のサンゴは元気という話も、八重山から届いています。

 

自分が考えていることが正しいと証明したいわけではないですし、間違っていたらそれはそれでいい勉強です。

もちろん、ここに書いたことは環境省の調査を否定するものではありませんし、調査結果を元にサンゴの保護活動に励む方を否定するものでもありません。

 

ここでは、「沖縄全体、あるいは八重山全体の92.8%のサンゴが白化したわけではない」ということを整理してみました。

石西礁湖内だけで見ても、水深・場所によっては元気なサンゴが残っているでしょうし、浅場でも白化から回復したサンゴも多くいるはずです。

 

沖縄のどの島にも、その海に根を張って、そこで生きて、ずっとサンゴを見守り続けてきている人たちがいます。

サンゴ好きのガイドさんは、通ってくれるお客さんたちに来年も美しいサンゴを見てもらうために、日々あれこれ考えているでしょう。

僕はなんというか、そういう方々の思いが好きです。

ネガティブな数字や情報ばかりが表に出て、「沖縄のサンゴはもうダメなのか」と思う人がいたら悲しいなと思って、今この文章を書いています。

ここまで一気に書いてきたので、読みにくかったらごめんなさい。ついつい気持ちが入ってしまいました。

 

色々な状況が変化していく中、現地で淡々と潜り続けてくれているガイドさんたちのお陰で、自信をもって世に出せる作品が今年も撮れました。

ここには写真を載せきれませんが、サンゴ(だけではありませんが)の撮影に力を貸してくださった皆さん、どうもありがとうございます。

僕は元々特別サンゴ好きというわけではありませんでしたが、いつの間にか自分にとって一つの大切なテーマになりました。

これからも心を込めて撮っていこうと思います。

 

それでは皆さん、よいお年をお迎えください

最後まで読んでくださりありがとうございました!

 

D850 105mmMicro SMC-1 Z-330 f13 1/250 ISO64