フォト派ダイバーの減圧症予防~今村昭彦さん講演会@沖縄(琉大病院)からの学び~

こんにちは、上出です。

今日は、

フォト派ダイバーはどうすれば減圧症を予防できるか

について、

2016年12月10日に琉球大学にて開催された講演会
「ダイブコンピューターのメカニズムと減圧症予防法」
での学びから考えていきたいと思います。

まず初めに、
ここでは減圧症やダイブコンピューターについての
細かい理論の話はしません。

おそらく、「M値」とか「コンパートメント」なんて言葉を
聞いた瞬間に嫌になってしまう方も多いのではないでしょうか?笑
(僕も昔はそうでした…。)

ただある程度は講演の内容に触れておかないと先に進めませんので、
今回のテーマに関係が深い部分を抜粋して簡単に紹介してから、

では水中写真を撮る僕たちは具体的にどうしたら良いのか?

について考えていきます。

 

今回の講演の演者である今村昭彦さんは(株)タバタの社員として
TUSAのダイブコンピューター開発に携わった方なのですが、

減圧症予防に関して医師とは違った
アプローチの仕方で研究されています。
(2016年にタバタを退職されたと仰っていました。)

ちなみに、今村さんとはどんな方なのか、
はオーシャナのHPに載っていました↓

https://oceana.ne.jp/author/imamura_akihiko

ここに掲載されている今村さんの記事も、
減圧症について独特の考察が展開されていて面白いです。

少し難しく感じるところもあるかもしれませんが、
とても勉強になるので興味があれば読んでみてください。

今回の今村さんのお話しでは、ダイブコンピューターが普及した
1990年台後半から減圧症患者数が一気に増えたというデータを元に、

ダイブコンピューターとどのように付き合って行けば
安全にダイビングを楽しめるのかについて様々な考察が展開されました。

多くのダイバーが危険だと思っていないところに危険が潜んでいる
という問題提起がいくつかあった中で、

ダイコン上は無限圧潜水の範囲内(DECOが出ていない)でも、
15~20mに長時間とどまっているプロファイルは危険である

というメッセージが、僕の胸に突き刺さりました。

なぜなら、僕も時々やってしまっているからです…
この写真を撮った時なんかまさにその通りでした。

 

dsc_6413-2

 

このナカモトイロワケハゼは
-18mに沈められた空き瓶に居ついていたのですが、
その時の僕はあーでもないこーでもないと1時間粘って撮影し、
ギリギリ無限圧潜水の範囲内で(DECOが出る前に)撮影を終えると
浮上速度違反にはならないスピードで水深を上げ、
さくっと5mで3分安全停止をしてエキジットしました。
(寒くて早く上がりたかったんだと思います…反省。)

そしてこのようなダイビングが、
30mを超えるような深いダイビングに比べても
減圧症のリスクが高いと言います。

 

なぜでしょうか?

講演の中で解説されていた理由は以下の通りです↓

・20mを切ると危機意識が薄れエア持ちも良くなる
・ダイコン上に、無限圧潜水時間(DECOがでるまでの時間)が
長く(場合によっては60分以上)表示される

→潜水時間が長くなり、窒素排出の遅い組織に窒素を溜め込んでしまう。
→安全停止の3分だけでは窒素が抜けきらない。

しかも、
・30mほどの深い水深ではどのダイコンの表示もほぼ同じだが、
20m以浅では表示される無限圧潜水時間が機種によって大きくばらつく

→元々計算式が甘いダイコンで無限圧潜水時間ギリギリまで潜ると、
実際には無限圧潜水時間を超えてしまっている可能性がある。
(厳しいダイコンならDECOが出ている可能性がある。)

ざっくり紹介するとこんな感じで、
僕もこの解説には納得せざるを得ませんでした。

特に水中写真に真剣に取り組んでいるダイバーほど、
自分の撮りたい画が撮れるまで粘る傾向にありますし、

逆に撮りたい写真が撮れると満足してそそくさと
安全停止を済ませてエキジットする方も多いかと思います。

では、そんな水中写真愛好家の僕たちは
どうすれば安全にダイビングを続けていけるのか?

教科書的には
「無限圧潜水時間ギリギリまで粘らない」
が正しい答になるはずです。

つまり、

DECOは絶対出しちゃいけないし、
DECOが出るギリギリまで潜るのも実はとっても危ないんだぞ!

ということですね。

でも、これはみんな知っています。

知っているのに、フォト派ダイバーはついつい、
時間を忘れて撮影に集中しちゃうのです。

ダイビングでの安全管理という観点からは
時間を忘れるなんてもってのほかですが、

逆を言えば、
写真を撮っていて時間を忘れるということは、
それだけ被写体に集中しているというポジティブなこと

だとも言えます。
(もちろん、水中写真に文字通り命を懸けるべきだとは思っていませんよ。)

なので、いったんこれは「しょうがないこと」にして、
15~20mでDECOが出るギリギリまで粘っちゃった
時にどうすればいいのか?

というのが、僕がこの記事の中でお話ししたかったことです。

細かい話は端折りますが、
僕がお勧めするそんな時の安全な潜り方は、
①まずは浮上速度違反をしないように10mまで浮上する
②10mから5mまでゆっくり深度を上げながら被写体を探す
③見つけた被写体をじっくり撮影する(場合によってはそのまま安全停止に入る)

というスタイルです。

 

つまり、
10mより浅いところで窒素をゆっくり抜きながら、
退屈しないように写真も楽しんじゃいましょう!

という感じですね。

そもそも、安全停止は5m3分がベストとは限りません。
最大水深が10mに満たないダイビングなら
5mで3分の安全停止をする必要はないですし、

先程の「実は危険」なプロファイルで潜った時には
安全停止の時間を10分以上とった方が良い場合もあります。

ですので、
例えば5m前後で10分間水中写真の練習するというのは、
楽しく成長しながら安全性も高まるという一石三鳥の取り組みです。

僕は元々珍しい生き物を探すよりも、
日常的に見る生物の美しさを切る取ることが好きなので、

安全停止中に粘って撮ることも結構多いです。

 

dsc_0136-5
(安全停止中にも綺麗な生き物たくさん見つかります)

 

でも、例えば
ボートダイビングでロープに捕まって安全停止する場合
だと僕がお勧めした潜り方は実践しづらいですよね…

もちろん
10mより浅いところでゆっくり被写体を探して写真を撮ろう
という気持ちがあるだけで、潜り方は変わると思います。

ただ、日本のダイビングスタイルを考えると、
ガイド・インストラクターがそのダイビングの水深や時間を
コントロールしていることが多いのが現状です。

一般のダイバーの方には
コントロールしきれない部分もあると思います。

なので、僕も含めて案内する立場の人間が
もっと減圧症とダイブコンピューターについて
理解を深める必要があるな…

ということは今回強く感じました。

 

もちろん自分自身もそうですが、
せっかくダイビングという趣味を見つけて
人生レベルで豊かになった人が、

減圧症という本来防げるトラブルが原因で
海から離れてしまうというのは本当に悲しい事ですからね。

 

今日は、
・ダイコン上は無限圧潜水の範囲内(DECOが出ていない)でも、

 15~20mに長時間とどまっているプロファイルは危険である

・そんなダイビングをしてしまった時には、10m以浅でゆっくり写真を撮ることがお勧め

 (5mで10分写真を撮るのは特にお勧め)

というお話をさせて頂きました。

少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
今日もここまでご覧いただきありがとうございました!

 

(更新:2016.12.12)

 

 

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