沖縄で水中写真を撮り続けるということ

この記事は7分で読めます

Pocket

 

最近、

「海外では潜らないんですか?」

と、よく聞かれます。

 

もちろんその都度お答えしているのですが、

意外と大事なことのようにも感じたので、

 

今日は、

僕が海外に行かずに沖縄ばかり潜っている理由

をお伝えできればと思います。

 

SONY α7Ⅱ CONTAX Planar T* 50mm F1.4

 

 

先に申し開きしておきますが、

この記事を読んだからと言って、

急に水中写真がうまくなることありません。

 

でも、長い目で見たら、役に立つかもしれません。

というか、役立つんじゃないかと思ってるから書いてます。

 

今日の記事は、

これから水中写真と真剣に向き合っていきたい方、

あるいは僕の頭の中がなんだか気になるという方、

そんな方々に読んでいただけたら嬉しいです。

 

D850 + 105mm micro + Z-330   f5.6 1/250秒 ISO64

 

 

僕はもう何年も、海外に行っていません。

 

細かくは数えていませんが、沖縄に移住してからは一度も行ってないので、

少なくとも5年以上は海外で潜っていない事になります。

 

世界中のダイビングデスティネーションを飛び回って

日本中のダイバーに新しい情報・魅力を発信する

 

というのが一般的な水中写真家のイメージのような気もしますし、

そういう意味では、「海外で潜らないんですか?」という質問は、出てきて当然だと思います。

 

 

僕は別に、海外が嫌いなわけでも、興味がないわけでもありません。

行けば楽しいでしょうし、多くの学びがあると思います。

 

ただ単に、沖縄の海が好きで移住してきたので、もっと沖縄を撮りたいという気持ちが強いだけです。

 

そのうち海外に行くこともあるでしょうが、優先順位の問題で、

今はできるだけ沖縄の海と向き合っていたいと思っています。

 

「海外に出た方がいろんな視点が増えて、沖縄を撮るうえでも役立つんじゃないか?」

という思いが強くなれば、きっとその時は、自然と海外に足が向くのではないでしょうか。

 

D850 + 105mm micro + Z-330   f9 1/160秒 ISO64

 

 

いきなりですが、僕は星野道夫さんが好きです。

※星野道夫さんを全く知らない方には、このページがわかりやすいかしら↓

「星野道夫」観たら必ず心が揺さぶられる奇跡の写真家おすすめ本10選 

 

アラスカを愛し、アラスカで暮らし、アラスカを撮り続けた男

 

かなり雑な言い方で怒られそうですが、僕が知っている星野道夫さんはそういう方です。

 

写真だけでなく、

アラスカの自然と人間の関わりをユーモアたっぷりに描いたエッセイが、

これまたホントにいいんです。

 

心にスッと入ってくるのに何か爪痕を残す文章。

動物たちの物語を丁寧に切り取った優しい写真。

 

正直に言って、僕は星野道夫さんの文章と写真に憧れています。

 

 

もちろん、尊敬している水中写真家の先輩は何人もいます。

 

アーティストとしてとして凄いなと思う方もいれば、

ビジネスマンとして真似しなきゃと思う方もいます。

 

でも、自分が今やりたいことは、世界中を飛び回ることではなく、

沖縄で暮らし、その海を自分なりに見つめ、撮り続けることなのです。

 

D850 + Fisheye NIKKOR 8-15mm + Z-330   f11 1/250秒 ISO500

 

 

ちょっと厳しい言い方をしますが、

どうしても「お客さん」では見えない景色があります。

撮れない写真があります。

 

それは別に、お金を払ってるかどうかという事ではなく、その土地、その海にとって「お客さん」という意味です。

 

居酒屋とかBARでも同じですよね。

 

初めてお店を訪れた時には、味とか接客とか、表面的なことしかわかりませんが、

何度も通ってスタッフや他のお客さんと仲良くなると、その奥にある魅力が見えてきます。

そして、自分なりにそのお店を解釈して、誰かに伝えようとするはずです。

 

さらに、店長が自分の誕生日を覚えてくれていて、さりげなく「おめでとう」の1杯を出してくれたりしたら…

 

きっと、お店のことをもっと好きになって、これまで以上に通いますよね。

その時にはもう、あなたはお店にとって「ただのお客さん」ではないはずです。

 

D850 + 105mm micro + Z-330   f8 1/250秒 ISO64

 

 

自分が好きになった海に通い続けて、ようやく遭遇できる瞬間というものがあります。

 

例えば、魚やサンゴの産卵などある程度狙えるものもあれば、

不意に現れる群れやサメなど、狙えないものもあるでしょう。

 

もちろん、近くに住んでいる方が有利ですが、

そのような光景に出会えるかどうかは、住んでいる場所よりも、

その海にどれだけ入って、向き合っているかが重要です。

 

ナカモトイロワケハゼのハッチアウト

島影でのんびりしている親子クジラ

浅瀬に押し寄せるミジュンの群れ

 

これらは、とりあえず行けば見られるというものではありません。

運よく見られたとしても、満足に撮影するには何度もチャレンジする必要があります。

 

もちろん、ガイドさんの力を借りるというのも、現実的には有効で効率的な手段です。

それぞれの海に精通しているガイドさんを通して、その海をより深く知ることができますし、

撮影チャンスに巡りあえる可能性も高まるでしょう。

 

D850 + 105mm micro + UCL-90 + Z-330   f9 1/250秒 ISO100

 

 

先程はクジラとかハッチアウトとか、

わかりやすいかなと思ってちょっと派手な例をあげましたが、

本当は、珍しい光景を追い求める必要もないんです。

 

自分が好きになった海を繰り返し潜っていると、

日常の中に溢れる奇跡のような瞬間に気づけるようになります。

 

それは、みんなが見過ごしてしまうような、ほんの小さな奇跡です。

 

ある意味、そういう瞬間と出会えることが、

写真を通して海と向き合うことの醍醐味なのかもしれません。

 

D850 + 105mm micro + Z-330   f8 1/250秒 ISO64

 

 

そういうわけで、僕は腰を据えて沖縄を撮ろうと思います。

 

「沖縄の水中写真」はこれまでさんざん撮影されてきましたし、

皆さんも色々なメディアで目にしているでしょう。

 

でも残念ながら、あくまで僕の目に映る現状ですが、

沖縄の海の魅力が最大限伝わっているとは思えません。

 

 

別に、使命だとか言う気はないのですが、

 

自分なりの視点や切り取り方で沖縄の水中写真を撮り続ける

 

というのが、今自分がやるべきことのように感じています。

そしてできあがった作品が、誰かに何か良い影響を与えられたらなと思っています。

 

 

もちろん、自分一人の力で撮影できる写真なんて、ほとんどありません。

どうか、沖縄の各地で日々潜り研究し続けているガイドさん、力を貸してください。

 

そして、作品を自分のブログやSNSに載せているだけでは、限られた方にしか届きません。

それはある意味、ちょっと無責任なのかなと、最近感じています。

 

これからは他のメディアや写真展などを通して、届ける努力をもっとしていきます。

そういう意味でも、沖縄の記事を書かせてもらっているオーシャナさんには、心から感謝です。

ちょうど昨日、にヘッドライン新しい記事がUPされましたので、ぜひ覗いてみてください。

 

その存在感に圧倒され、心を込めて撮影をする…沖縄本島・古宇利島の巨大沈船ポイント「USSエモンズ」に初ダイブ!

D850 + AF-S NIKKOR 14-24mm f11 SS1/100秒 ISO1600

 

 

今日は、

自分が好きになった海と向き合い続ける中でしか撮れない写真がある

という話をしてきました。

 

でももちろん、一発勝負だったり、限られた日数の中で撮る事もあります。

 

というか、最初は誰でもそういう状況ですし、

必ずしも海に通わないと作品が撮れないという話ではありません。

その時々で、自分なりの作品は撮れるはずです。

 

例えば、昨年初めて潜った西表島で、マングローブを撮った時のことです。

同じ沖縄とはいえ初めての環境で、しかも時間も限られていたので、かなり焦って撮影しました。

 

後から「あーこうすればよかった!」という課題は色々出てきましたが、

初めて見たマングローブのイメージはある程度写真に乗せられた気がします。

 

D750 + AF-S NIKKOR 14-24mm f13 SS1/400秒 ISO1250

 

正直、この初マングローブの写真は気に入っています。

 

一方、これから西表島に通い汽水域をもっと潜れば、

あるいは西表島に移住しその自然ともっと向き合えば、

また違ったマングローブの写真が撮れるんじゃないかとも思います。

 

初めて出会ったときの写真と、とことん向き合った結果の写真。

きっとどっちも好きで、どちらも自分にとって大きな財産になるはずです。

 

D750 + AF-S NIKKOR 14-24mm f13 SS1/100秒 ISO900

 

 

今日は、すぐに撮影に生かせる話はなかったと思いますが、

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

色んな立場や環境の方がいますし、それぞれの潜り方、撮影の仕方でいいと思います。

何のために撮影するかも、人それぞれですしね。

 

「そういう考え方の人もいるんだ」くらいに思ってもらえればありがたいです。

そして、今日の話が何かの参考になれば嬉しいです。

 

 

p.s.

 

結局のところ、時間は限られているので、

「何をやりたいか」を突き詰めるのはもちろん大事ですが、

「何をやらないか」を決めることも大切なんですよね。

 

そういう意味で(優先順位をつけるという意味で)、

今は海外に行くのはひとまずやめて沖縄を潜りこむことにした、

というのが今日の話です。

 

今年は今のところ、沖縄以外だと御蔵島と和歌山で潜る予定があります。

 

御蔵島は、僕自身イルカと泳ぐのが大好きですし、

毎年ツアーを開催しているので楽しみにしてくれている方もいますし、

できる限りこれからも続けていきたい活動のひとつです。

なので、御蔵島はまあいいでしょう。

 

それから、来年も奄美大島に1ヶ月ほど滞在してクジラを撮影しますが、

僕がどれくらい奄美大島とザトウクジラが好きかはなんとなく伝わっている気がするので、

これもまあいいでしょう。笑

 

ここでしたかったのは、和歌山の話です。

 

実は、フォトセミナーに来てくれる方から、こんな相談をよく受けます。

「沖縄ではそこそこ撮れるんですけど、和歌山に帰ると背景が茶色っぽくなって綺麗に仕上げられないんですよね…」

このような相談は和歌山に限らず、伊豆や神奈川、東北や九州などの海をホームにしている方々からいただくことも多いです。

 

僕自身、元々は伊豆で潜っていたのでなんとなくはわかるのですが、

当時は一眼レフでバンバン水中撮影をしていたわけでもありませんし、

もう5年以上本州で潜っていないので、

実際のところを自分で体感しないとな…

と最近は思っていました。

 

そもそもフォトセミナーのゴールは、セミナー中に最高の作品を撮ってもらうというよりは、

セミナーで学んだことを生かして自分のホームで思い通りの作品を撮ってもらうことなので、

沖縄と本州の海でどんなギャップがあるのか知っておかないとまずいんですよね。

 

別にフォトセミナーの話をしたかったわけではなくて、

後でSNS等で僕が和歌山の写真をアップした時に、

「おい!腰据えて沖縄撮るんやないんか!」

と突っ込まれそうだったので、今のうちに言い訳しておきました。笑

 

来月、和歌山の海で見かけたら声をかけてくださいねー

 

(更新:2019.6.24)

 

 

◆2019年もリクエストベースで、

プライベートフォトセミナーを開催しています。

10月以降はまだご予約を承れますので、

ご興味のある方は、こちらのページからお問い合わせください。

 

◆Instagramはこちら↓

hidamari_studio

 

 

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

陽だまりスタジオ 代表 上出俊作 (水中写真家)

沖縄本島を拠点に活動している水中写真家です。

これまで、写真集の出版や写真展の開催などを通して、海の魅力を伝えるべく水中写真家として活動してきました。

撮影スタイルという程でもないですが「日常を切り取る」という事が僕にとっての大事なテーマです。

珍しい生き物を追いかけ回したりせず、水中の生き物たちとかくれんぼやにらめっこをして遊びながら、のんびりと撮影しています。

「水中写真を通して共に成長し合える仲間と出会い、一緒に豊かな人生を歩んで行きたい。」

そんな思いから生まれたのが、このブログです。

自分と真剣に向き合う事の大切さを教えてくれた水中写真に、日々感謝しています。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

資格・所属

PADI Instructor (OWSI #827547)
PADI Digital Underwater Photographer Instructor
PADI Enriched Air Specialty Instructor
潜水士
海をつくる会(所属)

ブログランキング

いつも応援ありがとうございます!
ブログランキングに参加しています。

記事が参考になった、面白かったと思って頂けたようでしたら、応援クリックをいただけると嬉しいです。

よろしくお願いいたします!

にほんブログ村 写真ブログ 水中写真へ

免責事項

本サイトの情報は、水中写真撮影の参考としてダイビングや水中写真に関する情報提供を目的としています。

本サイトの情報について正確性や完全性を保証するものではありません。

本サイトの利用によって生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いません。