葛飾北斎から学ぶ構図の壊し方 ~浮世絵と水中写真の共通点とは~

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こんにちは、上出です。

 

先日、浦添市美術館で開催されていた、

葛飾北斎展に行ってきました。

 

僕が説明するまでもないですが、

葛飾北斎とは江戸時代を代表する浮世絵師で、

さすがに彼の描いた富士山の絵を

見たことがない人はいないと思います。

 

 

僕自身、浮世絵を

じっくり見たのは初めてでしたが、

 

個々の絵からも、

展示されている作品全体からも、

本当に沢山の刺激を受けました。

 

 

やっぱり世界で認められるには、

認められる理由がちゃんとあるんだよな…

 

 

なんて、一人で知ったかぶりをしていました。

 

おこがましいにもほどがありますね。

 

 

さて、今日は僕がそこで得た学びの中から、

水中撮影に直接生かせそうな「構図」の話を、

皆さんにシェアしたいと思います。

 

 

実は、北斎展を観に行ったのは7月の後半で、

1ヶ月半ほど前の話です。

 

色々あって?記事にするまでに

時間が空いてしまいましたが、

 

逆にその分、北斎展で得た学びを

生かすチャンスがありましたので、

 

この記事には北斎展観覧後に

撮影した写真のみを掲載しようと思います。

 

(D850 + Nikkor AF-S 105mm Micro + Z-330   f6.3 1/250秒 ISO64)

 

 

今回の葛飾北斎展では、富嶽百景は全点、

富嶽三十六景は一部が展示されていました。

 

なので、本当は富嶽百景を例に出したいのですが、

富嶽百景はネット上にフリー素材が見つからなかったので、

 

富嶽三十六景の中から僕が実際に

会場で見たものを例にとって紹介します。

 

 

今回の北斎展から得た学びの中で

 

水中写真にも直接生かせそうだな

 

と感じたのは、

構図に関係する以下の3点です。

 

 

①三分割構図の破壊

②完璧な日の丸構図

③流れるような視線誘導

 

それでは早速、①から解説していきます。

 

(D850 + Nikkor AF-S 105mm Micro + Z-330   f11 1/250秒 ISO100)

 

 

 

 

①三分割構図の破壊

 

 

構図に関しては、

以前にも何度かこのブログで触れています。

 

水中写真に必要な基本構図は2つだけ ~奥深い日の丸構図と簡単な三分割構図の話~

 

特に上記の記事では、

水中写真における三分割構図の使いやすさを解説していますし、

僕も実際に三分割構図を使うことが多いです。

 

この三分割構図、

とってもおさまりが良く万人受けするのですが、

安定感がある分、あまり緊張感がありません。

 

日本語の使い方が合っているかわかりませんが、

ちょっと予定調和な印象を受けることもあります。

 

(D850 + Nikkor AF-S 105mm Micro + Z-330   f6.3 1/250秒 ISO64)

 

 

北斎の浮世絵は、

様々な構図で描かれています。

 

ここでは、

 

この作品には〇〇構図だけでなく

〇〇構図の要素も含まれている

 

的な検証をしたいわけではなくて、

 

水中写真に生かせそうな要素

 

をかいつまんで紹介出来ればと思います。

 

早速ですが、

僕にとって最も刺激的だった作品はこちらです↓

 

富嶽三十六景 山下白雨

 

 

一見三分割構図のようにも見えますが、

富士山の頂上が画面を三分割した線よりも

だいぶ上にあります。

 

こうして三分割構図を突き抜けると、

作品の中に緊張感が生まれますよね。

 

 

特に山下白雨の場合は、

頂上をより上の方に持ってくることにより、

富士山の面積が大きくなっているので、

 

主役の存在感が「これでもか」

というくらいに強調されています。

 

 

僕はついついなんでも三分割構図に

当てはめてしまう癖があるのですが、

 

それでしっくりき過ぎてしまう時、

マンネリを感じてしまう時には、

 

一度三分割構図を壊して三分割線の外に

被写体をもってくるのも有効なのかもしれません。

 

 

そんな思いが頭の片隅にあったからだと思いますが、

この1ヶ月ちょっとの間で撮影した写真を見返してみると、

三分割構図を壊した作品がいくつか見つかりました。

 

(D750 + AF-S NIKKOR 14-24mm f16 SS1/250秒 ISO1400)

 

 

いつもだったら綺麗に三分割構図にはめるところですが、

サンゴのボリューム感を表現したいなという思いもあって、

サンゴの面積を大きくして海の青を少なめにしました。

 

とは言っても、三分割構図で撮ったカットもあります。

 

サンゴは動かないので、

色々撮って後からじっくり選べばいいですからね。

 

(D750 + AF-S NIKKOR 14-24mm f13 SS1/400秒 ISO1250)

 

 

どちらが良いと感じるかはその人次第だと思いますし、

 

どういう文脈の中でその写真を世に出すのか、

どんな時にどんな環境でその写真を見るのか、

 

によっても変わって来ると思います。

 

 

(D850 + Nikkor AF-S 105mm Micro + Z-330   f6.3 1/200秒 ISO64)

 

マクロでも、いつもと雰囲気を変えたいな

と思って三分割構図を壊してみました。

 

良く撮っている被写体だけに、

いつもと違う構図で撮れて新鮮でした。

 

やっぱり、遊び心って大切ですよね。

 

 

 

②完璧な日の丸構図

 

 

僕は日の丸構図もけっこう使います。

 

そして、

日の丸構図を使う時には、

細心の注意を払います。

 

 

日の丸構図は何となく使ってしまうと、

野暮ったい仕上がりになりがちです。

 

その理由も先ほど紹介した

こちらの記事に書いてありますので、

興味があれば読んでみてください。

 

水中写真に必要な基本構図は2つだけ ~奥深い日の丸構図と簡単な三分割構図の話~

 

 

今回僕が感銘をうけた作品はこちらです。

 

富嶽三十六景 尾州不二見原

 

 

まさに、完璧な日の丸構図です。

 

丸い大きな桶が魚の体で、

桶職人が魚の目に見えます。

 

 

どういうことかと言うと…

 

 

日の丸構図というのは

主役を画面の真ん中に配置するわけですが、

 

この真ん中がちゃんと「真ん中」でないと、

とっても収まりの悪い写真になってしまいます。

 

言葉にすると簡単そうですが、

これが意外と難しいんです。

 

 

そして、ただ「真ん中」と言っても、

 

「体」を真ん中にもってくるのか、

「目」を真ん中に持ってくるのか、

 

によってもバランスが微妙に変わってきます。

 

(D850 + Nikkor AF-S 105mm Micro + Z-330   f6.3 1/160秒 ISO100)

 

 

先ほどの北斎の尾州不二見原では、

パッと見ると丸い桶が真ん中にあるようですが、

 

よく見ると、桶は少し右に寄っていて、

人がど真ん中に配置されています。

 

 

上のハマクマノミの写真も同じです。

 

体は少し左側に寄っていますが、

顔がど真ん中に来るようにトリミングしています。

 

 

ここで言いたいことは、

 

こうすることが正解とか、

目や顔を真ん中に配置すべきとか、

 

そういうことではありません。

 

 

日の丸構図こそ神経を研ぎ澄ませて、

 

真ん中はどこなのか

何をド真ん中に持ってくるのか

 

を丁寧に考える必要があるという事です。

 

日の丸構図を使って洗練された作品に仕上げるには、

これは避けては通れないプロセスだと思います。

 

(D850 + Nikkor AF-S 105mm Micro + Z-330   f5.6 1/200秒 ISO100)

 

 

 

③流れるような視線誘導

 

 

北斎の絵を眺めていくと、

視線が流れるように誘導されていきます。

 

本当は富嶽百景の「海上の不二」が、

痺れるくらい気持ちよく視線が

富士山まで誘導されていくのですが、

 

フリー素材が見つからなかったので、

富嶽三十六景の神奈川沖浪裏を掲載します。

 

神奈川沖浪裏

 

 

この作品だけでなく、

北斎の作品は最終的に視線が富士山に

誘導されていくことが多いように感じました。

 

主役が富士山なんだから

当たり前と言えば当たり前ですが、

 

主役が小さく描かれていてもしっかり見せる、

というのが、視線誘導のひとつの目的です。

 

 

主役をしっかり見せるだけでなく、

画面の中を隅々まで見てもらう

という効果もありますが、

 

自分自身が撮る水中写真においては、

 

何かを見せるために視線を誘導していくというよりは、

写真を見た人それぞれが何かを想像できるように余白に流してあげる

 

という方がしっくりくる気がします。

 

(D750 + AF-S NIKKOR 14-24mm f13 SS1/400秒 ISO800)

 

 

テクニック的には、

 

視線は

 

・大きいものから小さいものへ

・線に沿って

・手前から奥へ

 

誘導されていくので、

これらの要素を意図的に入れていくのが効果的です。

 

とは言っても、自然相手の撮影では、

そこまで完璧には作りこめませんよね。

 

正直僕も、そこまで考えて

撮影することはほとんどないです。

 

 

上のマングローブの写真は、

手前のヒルギの根に思い切り寄って、

意図的に奥行きを演出しました。

 

これは水中マクロでも同じですが、

あまり細かい事を考えなくても、

 

できるだけ低い位置から寄れるだけ寄ってみる

 

という事を意識すると、

 

前景(前ボケ)・中景(主役?)・遠景(背景ボケ)

 

が自然に写真の中に取り入れられて、

奥行きのある作品に仕上がります。

 

視線誘導がどうこうというよりは、

水中写真にメリハリを出すコツですかね。

 

(D850 + Nikkor AF-S 105mm Micro + UCL-90 + Z-330   f14 1/250秒 ISO100)

 

 

 

今日は葛飾北斎の浮世絵を参考に、

一歩踏み込んだ構図の話をさせていただきました。

 

①三分割構図の破壊

②完璧な日の丸構図

③流れるような視線誘導

 

三分割構図・日の丸構図の基本を押さえた上で、

今日紹介した上の3つの考え方を取り入れれば、

洗練された、センスの良い作品を生み出せるはずです。

 

 

構図の種類で言ったら、北斎の絵の中には

対角線構図や三角構図なんかも多用されていて、

たぶんまだまだ水中写真に生かせる要素はあるんですが、

 

そういう諸々のテクニック全部をひっくるめて、

空間の使い方がうまいという事なんだと思います。

 

画面をダイナミックに使いながら、

それでいて余白はあって、その余白に無駄がなくて…

 

空間をどう整理するのか、

僕ももっと勉強しないとですね。

 

それでは、今日もここまで

読んでくださりありがとうございました!

 

少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

 

 

 

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管理人 : 上出 俊作 (水中写真家)

沖縄本島を拠点に活動している水中写真家です。

これまで、写真集の出版や写真展の開催などを通して、海の魅力を伝えるべく水中写真家として活動してきました。

撮影スタイルという程でもないですが「日常を切り取る」という事が僕にとっての大事なテーマです。

珍しい生き物を追いかけ回したりせず、水中の生き物たちとかくれんぼやにらめっこをして遊びながら、のんびりと撮影しています。

「水中写真を通して共に成長し合える仲間と出会い、一緒に豊かな人生を歩んで行きたい。」

そんな思いから生まれたのが、このブログです。

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PADI Instructor (OWSI #827547)
PADI Digital Underwater Photographer Instructor
PADI Enriched Air Specialty Instructor
潜水士
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