水中写真こそRAW現像の恩恵を最大限受けられるワケとは? ~めんどくさい人はとりあえず「RAW+JPEG」で保存しておこう!~

こんにちは、上出です。

今日は、

水中写真はRAWとJPEGどっちで撮れば(保存すれば)良いのか?

について考えていきます。

 

僕も昔はそうだったんですが、
現在RAW形式のファイルは扱っていないという方は、
こんな風に思っているのではないでしょうか?


iPhoneでもコンデジでも勝手にJPEGで記録されるし、
SNSにアップしたりプリントするのもJPEGで問題ないし、
全部JPEGで撮って保存しておけば良いんじゃないの?

RAWとかなんかややこしそうだし、
どうせカメラおたくがPCにかぶりついて、
自己満足で写真を後からこねくり回してるんでしょ。

私は昔から使い慣れてるJPEGで十分。
RAWがどうとか余計なこと言わないで!忙しいのよ!


 

ここまでは思ってないですよね。笑

多くの人が昔からJPEGに慣れているというのは事実でしょうし、
そもそもコンデジにはJPEGでしか写真を保存できない機種も多いです。

ですので、今日のお話は、

・ミラーレス一眼か一眼レフを使っている方

あるいは、

・RAW形式で保存できるコンデジを使っている方(TG-4とか)

向けの解説になります。

 

RAWもJPEGもそれぞれ
メリット・デメリットがあるのですが、
結論から言えば、

現在JPEGでしか保存していないという方は、
RAWでもデータを保存しておいた方が良いです。

 

RAWで保存できるカメラは、
保存形式として「RAW+JPEG」を選ぶことができます。

今までJPEGで撮っていたのに、
急にRAWに変えるのは何だか不安

という方も、

これまで通りJPEGでも保存しつつ、
RAWもついでに保存しておく

という形なら、
精神的な負担も現実的なリスクもないですよね?

これなら、数年後にふと、

「そういえば昔撮った写真も編集し直したいなあ」

と思ったときに、いくらでも対応できます。

 

なので、忙しくてこの後の文章まで
読む時間が無いという方はとりあえず、

「JPEG+RAW」で記録しておく

という事だけ覚えておいてください!

 

さて、それではJPEGとRAWの
メリット・デメリットに少し触れてみましょう。

とその前に、この2つの違い、
というか関係を簡単に解説します。

RAWというのは英語で「生」という意味ですが、
その名の通りRAWデータというのは写真ではなく
ただのデジタルデータです。

ただのデジタルデータはそのままでは
プリントすることもスマホで見ることもできないので、
この「デジタルデータ」を「写真」に変換してあげる必要があります。

つまり「RAW」から「JPEG」に変換してあげる必要があります。

 

そんなめんどくさい事をしたくないから、
私は最初からJPEGで撮って保存してるんだ!

と言いたいかもしれませんが、
ちょっと待ってください。笑

iPhoneだろうがコンデジだろうが一眼だろうが、
どんなカメラで撮影しても、
最初はRAWというデジタルデータが生成されます。

で、保存形式をJPEGオンリーにしていると、
カメラの中で勝手にRAWデータがJPEGに変換(上書き)され、
RAWデータは無くなってしまうんですね。

つまり、

「RAW」から「JPEG」に変換する工程を
カメラに任せるか後から自分でやるか

の違いだけです。

その点を踏まえて、
今後自分はどちらの方式で行くのか考えてみて下さい!

 


(D750 + Nikkor AF-S 105mm Micro  f13 1/100秒 ISO160)

 

①最初からJPEGで記録する=RAWデータにはタッチしない

こちらは、

「RAW」から「JPEG」への変換はカメラに任せちゃおう!

派です。

最初はみんなここからスタートします。

 

この方式のメリットは明確で、

「手間がかからず、楽チン」

ということです。

デジカメで撮った写真をそのままwi-fiでスマホに転送し、
すぐにInstagramにアップするなんて事もできます。

これは便利ですよね。

 

撮影前に、
周りの環境や自分のイメージに合った設定をしておけば、
この方式でも十分綺麗な作品に仕上げることができます。

でも、逆を言えば、
事前に設定したホワイトバランスや露出の設定が適切でないと、
ちょっと作品とは呼べないような写真ができあがります。

明るすぎて写真の一部が白く飛んじゃったり…
海が見た目よりも緑色になっちゃったり…

みたいなケースです。

正直、良くあります。

水中という特殊な環境で、
事前に適切な設定をするというのは
口で言うほど簡単ではありません。

 

JPEG撮って出し↓
(RAWから編集した写真は後で紹介します。)

 

例えばこんな風に緑寄りに色が被ってしまった時、
最初からJPEGだけでデータを保存していると、
後から編集で自分のイメージに近づけていく
ということができません。

理由は簡単で、
カメラの中でRAWからJPEGに変換された段階で、
すでに圧縮がかかってしまっているからです。

一度圧縮されたデータをそこからさらに編集しようとすると、
画質が極端に劣化してしまいます。

なので、

JPEGデータは微調整くらいの編集しかできない

と思ってもらって構いません。

ちなみに、
最初からJPEGで保存した写真を
編集なしで世に送り出すことを、

「JPEG撮って出し」

と言います。

別に覚えなくても良いですが、
好んでこのワードを使う方もいるので、
頭の隅っこの方にとどめておいてください。

 

②RAWで保存し、自分でRAW→JPEGに変換する

RAWからJPEGに変換することを、

「RAW現像」

と呼んでいます。

現像といっても、暗室でやるわけじゃないんですね。

今どきの「現像」は、PCやタブレットに
インストールされた現像ソフトで行います。

(僕はAdobeのLightroomというソフトを使っています。)

RAW現像のデメリットは、
「最初からJPEG派」のそのまんま裏返しで、
手間がかかるということです。

しかし、その手間さえ惜しまなければ、
たくさんのメリットが手に入ります。

先にお伝えした通り、
RAWは生のデータなので、
圧縮されていません。

なので、色や露出を後から調整できて、
その際の画質劣化も最小限に抑えられます。

ざっくりいえば、
ホワイトバランスはほぼ自由に変えられるし、

露出(明るさ)は、白飛びや黒潰れさえしていなければ
ほぼ思い通りのイメージにもっていくことができます。

 

RAW撮影時のデータから、編集なしでそのままJPEGに変換↓


(D750 + Nikkor AF-S 105mm Micro  f6.3 1/160秒 ISO160)

 

 

LightroomCCにて、自分のイメージに合わせてRAW現像↓

 

さて、これまでは水陸かかわらず、
一般的なRAWとJPEGのお話でした。

大事なのはここからです。

 

RAW現像のメリットは、
少し乱暴な言い方ではありますが、

後から編集でどうにでもなる

という点です。

 

これは言い換えると、

後から調整できる部分は撮影時に無視できる

という意味になります。

 

実際僕も、水中写真を撮っているときは
ホワイトバランス(WB)は気にしていません。

 

撮った写真を水中でカメラのモニターで再生した時、
極端に偏ったWBに設定しているとイメージをつかめないので、
僕の場合はどんなシチュエーションでも「晴れ」に設定しています。

露出(写真の明るさ)も、
撮影時にはそれほどシビアに追い込みません。

白飛びと黒潰れができない範囲で、
だいたいの感覚で露出を決定しています。

 

色味は適当。

明るさも適当。

「おい!そんなんで良いのか!」

と言われてしまいそうですが、
ちゃんと他のことを真剣に考えてるんです。笑

例えば、こんな感じです。

 

どこからカメラを構えれば、
この生き物が一番可愛く見えるだろうか?

 


(D750 + Nikkor AF-S 105mm Micro  f10 1/125秒 ISO160)

 

この魚のどの瞬間をとらえれば、
写真の中にストーリーが生まれるだろうか?

 


(D750 + Nikkor AF-S 105mm Micro  f5.6 1/160秒 ISO200)

 

背景が綺麗にぼけて、
なおかつ解像感のある描写を得るには、
絞り(f値)をいくつに設定すべきだろうか?


(D750 + Nikkor AF-S 105mm Micro  f9 1/250秒 ISO160)

 

以前別の記事で、

ワイド撮影ではどの瞬間に
シャッターを切るのかが最も重要で、
そのことに全神経を集中すべき

というお話をさせていただきました。

これも同じです。

 

考えなくていいことを、
わざわざ考える必要はありません。

水中で全てを完璧にこなそうなんて、無理です。

 

つまり、RAW現像の本質は、

カメラやパソコンお宅の人が写真をネチネチいじり倒す

という意味ではなく、

撮影時に考えなくてはならないことを最小化して、
構図を決める事や瞬間を切り取る事に集中できる

という意味なんですね。

 

もうお分かりだと思いますが、

時間にも環境にも制限のある水中で
自然の生き物を撮影するというのは、

このRAW現像の本質が最も際立つシチュエーション

だと言っていいと思います。

 

実際、僕の知っている限りでは、
プロの自然写真家の方の大多数が、
RAWで写真を撮っています。

例えば、すぐに写真を人に見せる場合などには
JPEGを使うという人は結構いると思いますが、
RAWを全く使わない自然写真家は少数派です。

 

僕の場合は、
SDカードが2枚入るNikonの一眼レフを使っているので、
1枚はRAW、1枚はJPEGという形で保存しています。

でも、
JPEGは保険的な意味で保存しているので、
ほとんど使うことはありません。

 

RAW現像を自分でやるためには、
現像ソフトを用意して使い方を理解する必要があるので、
それなりの手間はかかります。

でも、やってみると、意外と楽しいです。

写真がみるみる自分のイメージに
近づいていく様子を目の当たりにすると、
ちょっと病みつきになります。笑

 

根っからの機械音痴の僕でも楽しく取り組めているRAW現像、
是非これを機に始めてみてくださいね。

今日もここまで読んで下さりありがとうございました!

少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

(更新:2017.6.5)

 

 

 

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