SEA&SEAの水中ストロボ「YS-D130R」レビュー

R5markⅡ RF100mmMacro MFO-1  YS-D130R  f8 1/10sec ISO100

 

こんにちは、上出です。

とっても久しぶりにブログらしいブログを書こうと思います。

R5markⅡのことも書きたいし、MFO-1のことも書きたいのですが、せっかくなので、まずは今話題のストロボYS-D130Rについて僕なりの使用感を書いてみようと思います。

 

撮影機材のレビュー的なものは、YouTubeを見ればちゃんとしたものも適当なものも有象無象あるのですが、水中用の撮影機材についてはそもそもレビュー自体ほとんど出ていないので、テキストベースのこんなオールドメディアでも見てくれる方が少しはいるのかな、なんて。

 

どういう立場でこの記事を書くのかだけ、先にはっきりしておきます。

僕はYS-D130Rの発売元であるSEA&SEAからお金ももらっていないし、記事を書いて欲しいとも頼まれていません。

だから100%フラットな目線かと言うとそうではなく、僕はSEA&SEAやフィッシュアイの皆さんと懇意にさせてもらっていますし、YS-D130Rも一般ユーザーとして購入したわけではないので、それなりのバイアスはかかっています。

 

そんな立場ですので、こういうオープンな場でネガティブな要素をバンバン言う(書く)ということはしません。友達なくします。

「使ってみたけどイマイチだった」という場合には、こんな記事は書かずに、しれっと元々使っていたストロボに戻すだけです。

つまり、こうして記事を書いているということは、ポジティブな要素が多いということです。

(単純に手一杯で全部の撮影機材レビューはできないので、書いてないから良くなかったということでもないです。R5markⅡもMFO-1もSMC-3も気に入っています。)

R5markⅡ RF100mmMacro SMC-3  YS-D130R  f8 1/200sec ISO100

 

本題に入ります。

僕はこれまで、YS-D2やYS-D3は、メインの撮影機材としては使ってこなかったけど、使ったことはありました。

今回新発売されたYS-D130Rは、姿形はD2やD3と似ています。

でも、使ってみた感想は、YS-D130RはこれまでSEA&SEAから発売されてきたストロボとは全くの別物です。

同じ系譜の中にあるとは思わない方がいいような気がします。

 

僕はこの数年間、INONのZ-330を使ってきました。

今も6個持っていますし、大好きなストロボです。

なので、Z-330を否定したくはないし、する気もないのですが、YS-D130Rの話をしようと思うとZ-330と比較することになるので、その点はご留意ください。

 

2025年の12月初旬に、僕はYS-D130Rを受け取りました。

それ以降、たまたまですが、マクロ撮影しかしていません。

ですので、ワイド撮影で使うとどんな感じなのかは、他の写真家さんのコメントをご参照ください。

宮城女川&石垣北部のマクロ撮影で5日間13本使った感想を、ここから書いていこうと思います。

参考:SEA&SEA YS-D130R製品ページ

 

◾️円形発光管

 

YS-D130Rの大きな特徴の一つが、円形発光管を採用している点です。

少なくとも僕の水中写真歴の15年くらいの中では、円形発光管が登場したのは初めてのことではないでしょうか(昔はあったと聞いたことがあるけど)。

 

キャッチライトがはっきりわかるような撮影をまだしていないので、その点は評価できません。

ただ、円形のキャッチライトについては好みもあるでしょうから、全員が歓迎するのかどうかは不明です。

個人的には円形キャッチライトは好きなので、そのうちコケギンポとかで試してみたいなと思っています。

 

円形の発光管にすることで、「被写体をまんべんなく照らし、シャドウは柔らかく自然で美しいライティングができます」と、SEA&SEAのHPに書いてありました。

なんだか、YS-D130Rさえ購入すれば、誰でも素敵なライティングができるような書き方です。

 

そんなことを言うと嫌味みたいですね。

でも、使ってみて、本当にそうだなあと思いました。

なんでそうなるのかよくわからないし、なにがどうなっているのかもわからないのですが、確かに「柔らかさ」を感じます。

柔らかければいいというものでもないのでしょうが、少なくとも僕のマクロ撮影においては、光は柔らかい方がありがたいです。

「柔らかいってどういうことですか?」と聞かれたら、やっぱりよくわかりません。

僕はそもそもカメラとかレンズとかストロボとか、撮影機材オタクではないし、機械好きではないです。

だから、カメラの話とか、あんまり面白いとは思わないし、どちらかと言えば写真の話がしたい…みたいなことは、昔書きましたね。

 

YS-D130Rを使ってみて、最初に抱いた素直な感想は、

・これまでのSEA&SEAのストロボとは全然違う

・いい意味でZ-330と同じ感覚で使える

・今まで経験したことのない柔らかさを感じる

という感じでした。

 

参考までに、RAWデータからそのままJPEGに書き出した写真と、自分で現像した写真を貼っておきます。

このRAWデータの柔らかさは、ちょっとドキッとしませんか?

↑RAW

R5markⅡ RF100mmMacro SMC-3  YS-D130R  f5.6 1/200sec ISO100

 

◾️光量

 

これまでのストロボのようにガイドナンバーでの光量表記がないので、MAXでどれくらいの光量が出るのかはわかりません。

GN30くらいと聞いていますが、合ってますかね…どなたか教えてください。

 

僕のマクロ撮影では、最大光量付近を使うことがないので、正直30でも33でもどっちでもいいです。

それよりも重要なのは、「どこまで光量を落とせるか」です。

この点が、これまで使っていたストロボの課題でした。

 

最小光量が大きすぎると、絞り開放付近で撮影する際に白飛びしてしまいます。

特にCanonに変えてからは、基準感度がISO100なので、その問題がより顕在化していました(D850はISO64だった)。

 

ストロボを最大限弱くしても白飛びしてしまう場合は、ストロボをより下げる(離す)か、F値を絞るしかありません。

ストロボはいつでも引けるわけではないし、絞ったらボケないし、表現の幅が狭まります。

その点、YS-D130Rは「こんなに落とせるのか」というくらい、発光量を小さくできます。

絞り開放付近を積極的に使いたい人にとっては、はっきり言って、最高のストロボだと思います。

R5markⅡ RF100mmMacro SMC-3  YS-D130R  f4.5 1/200sec ISO100

 

◾️連写

 

僕は連写しても2~3カットだし、マクロ撮影だと大光量で連写することがないので、本気の連写性能はわかりません。

ただ、2~3カット連写したときに、光量が全く落ちないのには驚きました。

これがリチウムイオンバッテリーの凄さなんでしょうか(それだけじゃないのでしょうが、回路とかよくわからない)。

最大発光した際のリサイクルタイムもこれまでのストロボの半分くらいと爆速ですし、連写耐性はかなり高いのだと思います。

 

個人的には、ワイド撮影時の方がリサイクルタイムの早さ、連写耐性は重要になってくるので、おそらくワイドで使ったらその凄さをより感じるんだと思います。

スペック表を見ても、YS-D130Rの連写性能は他のストロボと比べて頭3つくらい抜けてるように見えます。

ちなみに、エネループ以外のバッテリーを持ち運ぶのは面倒かなと思っていましたが、案外リチウムイオン電池だけを持ち運ぶ方がスッキリしていいような気もしています。

 

◾️ハイスピードシンクロ(HSS)

 

YS-D130Rの新機能として最も注目されているのがHSSではないでしょうか。

HSSについて、原理的な詳しいことは、ご自身で調べてください。

僕も説明できるほどちゃんとわかっていません(めちゃくちゃ短い時間の中で何度も連続発光するというくらいはわかっている…)。

 

これまで水中ストロボ使用時のシャッタースピード(SS)の上限は、ほとんどのカメラで1/160~1/250秒でした。

これ以上SSを速くすると、画面の中に黒い線が出てしまったりします。

HSSは、その制限がなくなって、SSを1/500秒とか1/1000秒とか、もっと速くできるという機能です。

 

説明の8割くらいをすっ飛ばして、正確さよりも設定のイメージしやすさ優先で書くと、ストロボではなくて強いライトを使って撮影しているようなイメージでしょうか(と言ってもライトみたいにずっと光ってるわけではない)。

 

僕にとっては、HSSはとってもありがたい機能です。

僕のマクロのシリーズ、2022年に発表した「陽だまり」シリーズは、青のない世界です。

実際に海の青が写っていないだけでなく、青被りも排除して、水中で暮らす小さな生き物たちの世界を表現しています。

 

青被りというのは、自然光が入ることで生まれます。

なので僕の写真は、自然光をカットすることがスタートです。

しかしながら、Canonのカメラの基準感度はISO100なので、R5markⅡに変えてから、D850時代よりも自然光を拾いやすくなってしまいました。

これが、特に沖縄の浅い砂地のような明るい環境では、けっこうやっかいだったのです。

例えば、f4、1/250sec、ISO100で自然光が入ってしまうような場合は、f4→f5.6というふうに、絞るしかなかったので。

 

それがなんと、HSSが使えるようになったことで、SSを速くできるようになりました。

自然光さようならです。ずっと夜です。いつでもどこでも色を出せます。絞りも開けられます。最高です。

 

ただ、HSSを使うためには、マニュアル発光専用の基盤ではなく、TTLコンバーターを使う必要があります。

僕はTTL発光は使わないのでこれまでマニュアル発光専用の基盤でしたが、HSSを使うためにTTLコンバーターに変えてもらいました(でもTTLは使わないよ)。

マニュアル発光専用基盤だとスローシャッター(1/10秒より遅いSS)の連写時に発光が安定しない問題もあったので、YS-D130Rを使うならTTLコンバーターと一緒に使った方がいいのかなあ、と思っています。

その辺はカメラによって異なると思うので、ご自身のカメラがどんな感じで対応しているかは、SEA&SEAのHPを見てみてください。

 

HSSは色々な使い方ができるのでしょうが、少なくとも僕の水中マクロの世界感においては、画期的な機能です。

早くタイドプールなんかでも使いたいな。

(撮影日は曇っていたので、この絞りで通常のマニュアル発光でも青被りなく撮れた気もしますが、せっかくなのでHSSで撮ってみました↓)

R5markⅡ RF100mmMacro SMC-3  YS-D130R  f4.5 1/1250sec ISO100

 

◾️パネル

 

背面パネルがとにかく見やすい。

今までそんなもの自体なかったので比較のしようもないけど、一度これを使ったら、他のストロボには戻れないくらい便利。

光量と電池残量をタイムリーに見られるのが、特にいいです。

しかもカラーなので、パッと見の視認性もいい。

 

このパネルでストロボ詳細設定を追い込めるのも、またいい。

最初は「機能が多そうで面倒臭いな」と思いましたが、説明書を読んでいじってみたら、全然難しくなかったです。

 

こんなこと言うのも失礼ですが、「よくこんなストロボ作ったなあ。本気なんだなあ」と思いました。

ちなみに、パネルは最高ですが、個人的には、2つあるダイヤルは色でも変えてくれたら親切だったなあとも思いました。

光量を落とそうとして、うっかり電源を切ってしまったことが何度かありました。

まあ、慣れでしょうね。一応区別はできるようになっているので。

 

◾️ターゲットライト

 

SEA&SEAのHPには「円形発光管を採用したことで、ターゲットライトを照射面の中央に配置することが可能になり、被写体に対して正確でずれのないライティングを実現します」と書いてあります。

その通り!なのですが、果たしてどれだけの人が、そもそもターゲットライトを正確に被写体に(あるいは背景等に)当てられているんだろうか…とも思います。

なので、ターゲットライトが真ん中にあろうが端っこにあろうが、ほとんどの人にとっては違いを感じられないだろうな、と。

(スヌートをやってる方は別として。)

 

ついてる場所がどこかよりも、このターゲットライトの良さは、光量を5~100%の間で変えられるところです。

これまで「ターゲットライトもう少し弱くしたいな」と思うことがたまにありました。

というか、生物への影響を考えても、ピント合わせのことを考えても、そんなに強いターゲットライトはほとんどのケースで必要ないと思います。

 

なので、あんまり強くしたいケースはないので、弱くできるというのがメリットですかね。

あるいは、ターゲットライトを強くして、カメラ側のストロボをオフにして、ライトだけで撮影もできる…とか?

あ、あとはワイド撮影の時にターゲットライトを使うなら、自然光に負けない強さ(明るい海の中で視認できる光量)が必要なこともあるのかもしれません。

 

◾️形状

 

いいことばかり書いていると「結局メーカーの犬か!」と言われそうなので、少しは「ここはちょっと…」という話も。

YS-D2もD3も、今回発売されたYS-D130Rも、形状が似ています。

個人的には、どうもこの長細い形が取り回しづらい。

と、1日目2日目は思っていたのですが、だんだん慣れてきました。

なので、慣れの問題な気もします。

 

とはいえやはり、マクロ撮影用のストロボとしてはもう少し小さい方がありがたいですね。

まあでも、仕方ないんでしょう。

最大発光量はがもう少し小さくていいから、サイズも一回り小さいストロボが出たら嬉しいかな。

無理やり捻りだしたデメリット…という感じです。

ちなみに、水中重量は軽いので、その点はグッドです。

 

◾️照射角

 

YS-D130Rの照射角は、ディフューザーをつけた状態で102°×102°です。

マクロ撮影においては十分ですし、ディフューザーをつけていない状態の80°×82°でも全然問題ないと思います。

というか、多くのマクロ撮影において、照射角は狭くていいはずです。

 

102°×102°という照射角が、ワイド撮影において十分なのかどうかは、使ってみないとわかりません。

こういうのはスペックを見ただけで語ってもあまり意味がないです。

円形発光管というのも初めてですし、数字では現れない特徴があるんだと思います。

 

詳細はまたの機会にしますが、僕は最近、ワイド撮影においては、1灯で画面の左右までカバーしたいことが多いんですよね。

なので、照射角についてはシビアです。

とはいえ再度YS-D130Rについてレビューすることもないでしょうから、SEA&SEAのHPに載っている作例や、他の写真家さんのレビューを見てみてください。

作例も素敵ですし、感触も良さそうです。

 

僕のワイド撮影は「1灯でどこまで左右をカバーできるか」が重要なので、スペックを見ると若干の不安はありますが、スペック表の数字以上の良さが円形発光管にはあるんだろうなあという感じですかね。

2灯を左右に出してワイド撮影する方にとっては、そもそも何の問題もないと思います。

参考:SEA&SEAホームページ内作例

 

◾️耐久性

 

僕にとっては仕事道具なので、「数年使っても壊れない」というのはとっても大事な要素です。

こればかりは、使い続けないとわからないのですが。

 

趣味だったとしても、ストロボってちょこちょこ買い替えるものではないですし、修理に出したらその間撮影にも行けないので、やっぱり壊れない道具がいいですよね。

個人的には、どんなに優れた撮影機材でも壊れやすければ仕事道具にはならないので、地味ではありますが、とっても重要視している要素です。

壊れないでくれ~と祈りながら使い続けます。

 

◾️結論

 

YS-D130R、買いです!

以上!

 

で終わってもいいけど、まあ、もうちょっと。

この1年かもうちょっとか、これから水中撮影を本格的に始めるという方から、「どのストロボを買ったらいいか?」と聞かれることが多々ありました。

 

そのたびに、僕は回答を迷っていました。

だって、Z-330はもう売ってないし、それ以外のストロボで心から勧めたいものもないし…という感じで。

INONのS-220は、マクロメインの方にはありだと思いますが、ターゲットライトがないので、個人的には一眼初心者の方なんかにはちょっと勧めづらい(普段からターゲットライトを使ってストロボの向きを合わせましょうと伝えているので)。

 

なので、2025年末現在の僕のお勧めストロボは、YS-D130Rです。

はっきり言って、デメリットがあまり見つかっていません。想像以上にいいです。

ストロボとして一番大切な「光」が柔らかくて僕好みだし、マニュアル発光で光量を落とせるし、HSSも使える。視認性もいい。

半年使ったらみんな壊れちゃった、とかいうことがあれば別ですが、そういうことがない限りは、誰にでも勧められるストロボだと思います。

 

というわけで、皆さんもしYS-D130Rを購入する時は、「上出さんのブログを見て…」とボソボソ呟いてみてください。

何も起こりませんが。

 

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。

この記事が、少しでも参考になれば嬉しいです。

ちなみに、YS-D130Rを使ったら何でもかんでも柔らかい表現になるわけではないので、全然違う雰囲気の写真を貼って終わります。

R5markⅡ RF100mmMacro MFO-1  YS-D130R  f8 1/10sec ISO100

 

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