2020奄美大島ホエールスイムツアーレポート前編~クジラの水中撮影に適したシャッタースピードとは~

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こんにちは、上出です。

今年も奄美大島南部の瀬戸内町で、ホエールスイムツアーを開催させていただきました。

今日はツアーの内容を振り返りながら、クジラの水中撮影に適したカメラの設定について考えていきたいと思います。

 

※書いていたら長くなってしまってので、前編と後編に分けることにしました!

今日は前編として、第一弾&第二弾のツアーレポートと、クジラの水中撮影に適したシャッタースピードについて解説します。

後編では、第三弾&第四弾のレポートに加えて、絞り(f値)の設定について考察する予定です。

 

D850 8-15mmFisheye  f6.3 SS1/500秒 ISO4000(Auto)

 

今年も、昨年までと同様アクアダイブコホロさんのボートをチャーターしてツアーを開催しました。

アクアダイブコホロについてはこれまでにも何度か触れているので詳細は書きませんが、船長の太田さんとスタッフの方の経験無くしては、僕の奄美大島ホエールスイムツアーは成り立ちません。

サポートしてくれたダイブジャーニー含め、今年も皆さんに全力で協力していただいたおかげで、無事どなたも怪我することなく、参加者全員が水中でクジラを観察することができました。

 

ただ、回によってはシャッターチャンスに恵まれないこともありましたし、毎回100点だったわけではありません。

その辺りのリアルな状況をお届けしつつ、クジラの水中撮影のテクニックにも触れていければと思います。

今回の記事では、ツアー第一弾&第二弾(2/1-6)で撮影した写真のみを掲載しますね。

 

D750 70-300mm  f8 SS1/4000秒 ISO1800

 

 

■第1弾(2020/2/1-3)

 

ツアーは全て、3泊4日で開催しています。

初日は空港から宿に移動し、夕飯を食べて飲むだけなので、ホエールスイムは2日目、3日目、帰る日の3日間です。

 

第1弾は、初日から親子&エスコートと出会い、皆さんクジラの水中写真を撮ることができました。

遠いけどなんとかシャッターは切れた、という感じではなく、かなり近くで観察&撮影ができたので、出来過ぎのスタートでしたね。

 

D850 8-15mmFisheye  f6.3 SS1/500秒 ISO2200(Auto)

 

クジラの撮影はイルカと違い、基本的には水面で行います。

素潜りして撮影することもありますが、クジラはストロボやライトを使わず自然光で撮影するので、できるだけ水面に近い方が太陽光が入って有利です。

 

クジラを水中で撮影する時、空は晴れたり曇ったり、レンズは横を向いたり下を向いたりと、入ってくる光の量が目まぐるしく変わります。

そのため、都度マニュアルで露出を合わせることが難しいので、絞りとシャッタスピードは自分で決めて、ISOオートというのが僕の基本です。

 

人によっては、ISOも固定して、完全にマニュアルで撮影している方もいましたね。

多少露出アンダーになっても構わないから、ISO感度は上げたくないという考え方のようでした。

それぞれ、優先順位をつけて設定を決めればOKです。

 

D850 8-15mmFisheye  f6.3 SS1/500秒 ISO1600(Auto)

 

2日目は、水深15m前後で止まっているペアのクジラと出会いました。

リラックスしている様子のクジラを、みんなで水面に浮いて観察し、気づけば20分が経過していました。

 

冬の優しい陽射しと相まって、それはそれは神々しくて。

船上で涙を流していた方の姿を、今もはっきりと思い出します。

 

僕はいまいち感情が表に出にくいようで、嬉しくても泣いたり叫んだりはしませんが、ちゃんと幸せをかみしめて感動していたんですよ。

今年は特に、クジラそのものだけでなく、ゲストの方の表情に心を動かされることが多かったです。

 

D850 14-24mm  f8 SS1/320秒 ISO1250(Auto)

 

最終日もクジラと出会うことはできましたが、水中はなかなかそっけなくて、一瞬見れたか見れなかったかくらいの遭遇となりました。

水面では色々アクションをしてくれたので、最後はみんなで船上からのんびりウォッチングを楽しみました。

とくにまとめる必要もないくらい、最高の3日間でしたね。

 

 

 

■第2弾(2020/2/4-6)

 

初日、いきなり3群7頭のクジラと出会えました。

しかも、3群とも泳げるという、超ラッキーな滑り出し。

 

もちろんめちゃめちゃ嬉しいのですが、第2弾は初ホエールスイムの方も多かったので、「これは普通じゃないですからね」と説明するのが大変でした。

そうそう、僕のツアーは一眼でご参加される方ももちろん多いのですが、この回はGoproやコンデジの方も多かったです。

 

この日はシャッターチャンスも多く、エントリーしたら真下にクジラがいるなんてこともありました。

しつこいようですが、これは当たり前じゃないですからね。笑

 

D850 8-15mmFisheye  f5.6 SS1/400秒 ISO4500(Auto)

 

最後に出会った3頭は、メスのクジラを2頭のオスが奪い合うヒートランでした。

水中で泡を出して威嚇している様子も観察できて、僕自身も興奮気味に撮影したことを思い出します。

 

D850 8-15mmFisheye  f5.6 SS1/500秒 ISO3600(Auto)

 

2日目もヒートランに遭遇しました。

最初は1頭のクジラを観察していたのですが、いつの間にか3頭の群れになり、気づいたら4頭に…

 

しばらく4頭がひとつのかたまりになって泳いでいたのですが、1時間くらい観察した頃でしょうか。

突然1頭が180°向きを変え、来た道を引き返していきました。

どうやら、メスを巡る戦いに敗れたようです。

 

心なしか、その背中には哀愁が漂っているように見えました。

水中でいったい何が起こっているのか気になりますよね。

 

この日は波が高くスイムはできなかったので、のんびりホエールウォッチングをして帰ってきました。

 

 

そして3日目。これがまた良かったんですよね…ビギナーズラックというやつでしょうか。

この日はなんと、2/1にスイムした親子&エスコートと再会したのです。

 

5日前に観察した時には、エスコートは親子から少し離れて泳いでいたのですが、この日は出会ったときからお母さんに寄り添って泳いでいました。

きっと、恋が実ったんでしょうね…ああうらやましい。笑

 

D850 8-15mmFisheye  f6.3 SS1/500秒 ISO4000(Auto)

 

同じクジラと何度も会うと、感情移入してしまいますよね。

なんだか、ほっこりした気持ちになりました。

帰る直前、雲間から一瞬光が射して、色んなものが包み込まれたようでした。

 

D850 8-15mmFisheye  f6.3 SS1/640秒 ISO900(Auto)

 

 

■クジラの水中撮影に適したシャッタースピード

 

さて、第三弾と第四弾のレポートは後編にゆずるとして、最後にクジラ撮影のシャッタースピードについて考えましょう。

今年は、去年までとは露出の決め方を少し変えました。

 

※僕はD850と8-15mmフィッシュアイをメインで使っています。

他のカメラ・レンズを使う場合には、感覚は少し変わってくるかもしれません。

 

今年のクジラシーズンに入る前、「去年通りの設定でいいんだろうか?」と考えていました。

そんな中、尊敬する写真家の方とお話しする機会もあったりして、2つ見直そうと思ったことがあります。

 

①シャッタースピード(SS)

②絞り(f値)

 

D850 8-15mmFisheye  f6.3 SS1/500秒 ISO4000(Auto)

 

ここでは、①のシャッタースピードについて見ていきます。

 

クジラやイルカを水中で撮影する時、「1/250秒以上」というのを一つの基準にしている方も多いのではないでしょうか?

僕もそう思っていましたし、たぶんどこかに自分でそう書いているはずです。

 

でも最近「場合によっては1/250秒だとブレるなあ」と思っていました。

生き物の動きが速い時、特に被写体に寄って撮影できる場面では、1/250秒だとけっこうブレます。

 

D850という高画素機を使っているため、ブレが目立ちやすいというのもあるかもしれません。

明らかにブレているわけではなくても、等倍に拡大して見ると微妙に解像感がない「隠れブレ写真」が、よく見るとたくさんありました。

 

そんなわけで、今年は「できるだけ1/500秒で切ろう」と決めて撮影に臨みました。

被写体があまり動いていなくて自分の体も安定している時、あるいは雨や夕暮れ時で光量がわずかな時には、1/320秒や1/400秒で切ったりもしています。

(ISOオートなので、暗い状況でSSを上げすぎると、ISO感度がどんどん上がってしまう。それはできれば避けたい。)

 

D850 8-15mmFisheye  f6.3 SS1/500秒 ISO2500(Auto)

 

結果的には、1/500秒で切れば連写した中の何枚かは確実に止まっていたので、判断は間違ってなかったのかなと思っています。

逆を言えば、1/500秒でもわずかにブレているカット(隠れブレ写真)もあったので、本来はもっと速いシャッタスピードで切れるといいのかもしれません。

 

そうは言っても、SSを上げれば上げるだけISO感度も上がってしまいます。

なので本当は「ブレの発生しない一番遅いシャッタースピードで切る」のが理想です。

 

もちろん、そんなのは撮ってみなけりゃわからないし、もっと言えば家に帰ってモニターで確認しなきゃわからないわけで…

だからみんな悩むんですよね。

 

答えはないし、状況次第で結果は大きく変わってきますが、とりあえず1/500秒で連写しておけば、全部ブレてるということはないかなという印象です。

下の写真を撮影した時のように、お天気が良くてクジラも水面付近にいる時なら、光が十分にあるので1/500秒より速いSSでもISO感度はそこまで上がりませんね。

 

D850 8-15mmFisheye  f6.3 SS1/640秒 ISO1000(Auto)

 

ここでは話が長くなるので、被写体ブレと手ブレを明確に分けずに解説してきました。

この2つは、クジラの水中写真を見ても明確に区別しづらいというのもありますし、ひとまずそこは置いておくことにしましょう。

まあ、気になる方は、会った時にでも直接聞いてください。笑

 

最後にひとつ具体的なアドバイスを。

例えシャッタースピードを1/500秒以上にしても、ガンガン泳ぎながら撮影したらかなりの確率でブレます。

ホエールスイムではどうしても体が不安定な状態での撮影になりがちですが、シャッターを切る瞬間だけでもせめてフィンキックはやめて、できるだけ静止して撮影しましょう。

これだけで、ブレのリスクは大幅に減らせますし、落ち着いてフレーミングできるようになりますよ。

ある意味、ライティングや背景の抜き方で個性を出せないクジラ撮影では、フレーミングの丁寧さ(構図作り)で作品の出来が決まりますからね。

 

それでは、今日もここまで読んでくださりありがとうございました!

少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

 

 

p.s.

 

日本アクアラングさんの2020年度版カタログ&カレンダーの撮影を、一部担当させていただきました。

カレンダーは手に入りにくいかもしれませんが、カタログはダイビング器材屋さん等でゲットできると思いますので、思い出したら見てみてください。

アクアラングさんのHPからも、カタログはダウンロード可能です。

ちなみにモデルの男性は…僕のホエールスイムツアーに参加したことのある方とか、わかる方にはわかるはず。笑

 

 

 

2020年もプライベートフォトセミナーを開催させていただきます(基本はマクロ)。

4月・5月・6月は予約が埋まってきてはいますが、まだちょこちょこ空いています。

7月以降はまだまだ空いていますので、割とご希望の日程に合わせやすいです。

リクエストベースで開催しているので、日程は参加者の方の希望に合わせて決定します。

ご興味のある方は下記のページよりお早めにお問い合わせください。

プライベートフォトセミナー詳細/予約フォーム

 

 

 

 

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陽だまりスタジオ 代表 上出俊作 (水中写真家)

沖縄本島を拠点に活動している水中写真家です。

これまで、写真集の出版や写真展の開催などを通して、海の魅力を伝えるべく水中写真家として活動してきました。

撮影スタイルという程でもないですが「日常を切り取る」という事が僕にとっての大事なテーマです。

珍しい生き物を追いかけ回したりせず、水中の生き物たちとかくれんぼやにらめっこをして遊びながら、のんびりと撮影しています。

「水中写真を通して共に成長し合える仲間と出会い、一緒に豊かな人生を歩んで行きたい。」

そんな思いから生まれたのが、このブログです。

自分と真剣に向き合う事の大切さを教えてくれた水中写真に、日々感謝しています。
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資格・所属

PADI Instructor (OWSI #827547)
PADI Digital Underwater Photographer Instructor
PADI Enriched Air Specialty Instructor
潜水士
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