水中写真が上達する人の特徴 ~フォトセミナーを振り返って~

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こんにちは、上出です。

2019年も陽だまりかくれんぼを読んでくださり、どうもありがとうございました。

いつも楽しみにしてくれている皆さん、あまり更新できずに申し訳ございませんでした…

今年はもうちょっと頑張ってアップしようと思いますので、2020年もよろしくお願いいたします(毎年同じことを言ってる気がしますが…)。

 

お陰様で、昨年も1年を通してプライベートフォトセミナーを開催させていただきました。

数えてみたら、2019年は47名の方にお越しいただいたようです。

あらためて考えてみると、すごいことだなと思います。

わざわざ時間とお金を使って遠くまで来てださった皆さん、どうもありがとうございました。

 

2019年だけの話ではないのですが、せっかくなのでフォトセミナーを振り返りつつ、

水中写真が明らかにうまくなった人たちに共通する特徴

について、今日は僕なりの考えをお伝えきればと思います。

 

(D850 + 105mm micro + Z-330   f6.3 1/250秒 ISO100)

 

水中写真だろうがサッカーだろうがギターだろうが、うまくなる方法はひとつじゃありませんし、それぞれ自分に合った習得方法があるはずです。

なので、この記事でスパッと何かを言い切ることはできません。

でも、さすがに3年以上本気でフォトセミナーを開催していると、何となく見えてくるものはあります。

 

そこで今回は、そんなぼんやり見えてきたものをできるだけわかりやすくお伝えするために、

 

前編:フォトセミナーを受ける前とフォトセミナー中

後編:フォトセミナーを受けた後

 

という2つのパートに分けて書いてみようと思います。

前編も後編も、3つの項目ごとに考えていきますね。

 

フォトセミナーの話がしたいというよりは、結局何をすればいいのかという話がしたいので、後編に力を入れようかと思います。

 

(D850 + 105mm micro + Z-330   f8 1/250秒 ISO64)

 

 

■前編:フォトセミナー受講前/フォトセミナー中

 

①準備

 

準備ができているかどうかで、フォトセミナー中にどれだけ伸びるかは大きく変わります。

これはまあ、フォトセミナーに限った話じゃないですよね。

 

フォトセミナーに関して言えば、このブログをある程度読んできてくれているとか、いくつかあるとは思いますが、まあいいでしょう。笑

短い期間で成果を上げるとか、本番で結果を出すとか、そういうためには準備が必要だという当たり前の話です。

 

(D850 + 105mm micro + SMC-1 + Z-330   f13 1/250秒 ISO100)

 

②心構え

 

これも水中写真に限った話ではありませんが、「習った事をとりあえずそのままやってみる」という姿勢はとっても大事ですよね。

僕自身、人から何かアドバイスしてもらったときに「でも…」とつい(心の中で)言い訳しちゃうことがあるのですが、これだと残念ながら何も得ることができません。

 

聞いたこと、見たことをまずは自分のできる範囲でやってみて、なんだかうまくいかないようなら考えるなり、また聞くなりすればいいと思います。

年齢や立場、元々の知識の量にかかわらず、そういう素直さのある人は、びっくりするようなスピードで成長していきます。

個人的には、そういう過程を見ているのが楽しいですし、そういう方と長いお付き合いをしていけたら幸せです。

 

もちろん、水中写真に正解はありませんので、習ったり真似したりして土台を作った後は、自分なりの表現を探していけば良いのではないでしょうか。

 

(D850 + 105mm micro + SMC-1 + Z-330   f8 1/250秒 ISO100)

 

③丁寧さ

 

これは自分の撮影時にも意識しているのですが、ひとつひとつのことにどれだけ丁寧に向き合えるかで、作品の完成度が変わってくると思っています。

水中撮影って、もちろん水中に入る前の準備から始まってるわけですが、それは置いておいて、水中でやることだけでもたくさんあります。

 

・被写体を探す、選ぶ

・被写体を観察する

・カメラ、ストロボの設定を決める

・ストロボの位置、向きを調整する

・被写体に寄る

・アングルを決める

・ピントを合わせてシャッターを切る

 

などなど、他にも色々あるのでしょうが…

実際には、これをひとつの流れとして行うわけです。

でも、ただ流してしまうと、必ずどこかが雑になっちゃうんですよね。

 

なので、頭の中ではひとつひとつ分けて考えて、丁寧に完了してから次に進むことを意識できるといいと思います。

最初は煩わしく感じるかもしれませんが、続けているうちに自然にできるようになりますよ。

 

実際には、水中で全てを完璧にこなすことは難しいですし、僕も焦っていくつか抜けちゃうことがあります。

時間がない時など、場合によっては優先順位をつけてあえてとばすこともあります。

 

でも、「ひとつひとつ丁寧にやろう」という意識を持っているだけで、作品がより洗練されたものになるはずです。

 

(D850 + 105mm micro + SMC-1 + Z-330   f13 1/250秒 ISO200)

 

昨年の12月にフォトツアーに来てくださったUさんは、

①準備 ②心構え ③丁寧さ

の3つをしっかり体現してくれているように感じたので、フォトセミナーで感じたことや意識したことを聞いてみました。

前編のまとめとして、コメントを掲載させていただきますね。

Uさん、ご丁寧なコメントありがとうございました!

 

水中写真で意識するようになったことは、主に2点です。

一つ目は、生命との距離感です。

それをダイレクトに感じるのが被写体の目にピントがあった時、相手と通じ合う感じがします!正面で水平で最短距離であればあるほどに!

もう一つは、被写体を尊重すること(傷つけない・大事にする)を意識するようになりました。

そうすると、被写体が、遊んでいるような感覚や生命としてリアルに生きている感覚等、被写体側の立場を感じるようになり、被写体に何かが通じると、いい感じのシーンに出会うように思います。

上出さんから伝わってくるのも、実は上記の両方でもあるのですが、特に後者の部分が強く感じられました。

感性+理論という部分も大いにフォトセミナーから感じられましたが、これは、上出さんが体験と経験で積み上げてきたものであるため、フォトセミナーを受けた当事者ではないと、なかなかその感覚は表現できるものではないように感じます。

あとは、わからないではなく、出来るところまで、まずは自分でやってみる、考えてみることが重要だと感じました。なぜなら、その上で、アドバイスをうけると、しっかり受け取ることができて、ものすごいギフトに感じられたからです。

 

セミナーを受けた当事者でないとその感覚は表現できない…なんて素敵な宣伝文句でしょうか。笑

 

 

■後編:フォトセミナー以降

 

①環境

 

さて、ここからが本番です。

はっきり言って、僕が一番大事だと思っていて、そして悩んでいる方が多いように感じるのは、「環境づくり」についてです。

 

フォトセミナーに真剣に取り組んで、せっかく沢山学んでも、その後コンスタントに潜って水中写真を撮り続けていないと中々成長できません。

 

もちろん、仕事や家庭、経済状況など色々な事情があるので、海に行ける頻度は人それぞれです。

ただ、僕の感覚では、2週間に1度くらいの頻度で海に行っている人は成長が速いように感じています。

 

1ヶ月に1回はなんとか海に行っているという方も多いかもしれません。

もちろんそれ自体は素晴らしい事ですし、成長はできると思いますが、それくらいの頻度だとどうしても色々思い出すことに時間や労力を要してしまいがちです。

 

フォトセミナーを受けた受けてないに関係なく、できるだけ潜る頻度を上げるというのは、とても大事なことだと思います。

年に2回、夏のBBQ前と冬の忘年会前にしか練習しない社会人野球クラブが、週1回練習しているクラブに勝てないことは、用意に想像できますよね。

 

実践の練習が年に2回しかできないとしても、素振りするとか筋トレするとか、自分一人でできる練習をやっていればだいぶ違うかもしれません。

水中写真に置き換えると、陸上で写真を撮るとか、他の芸術に触れて感性を高めるとかでしょうか。

 

(D850 + 105mm micro + SMC-1 + Z-330   f16 1/250秒 ISO100)

 

それから、ゆっくり撮影できる環境を作ることも、潜る頻度を上げる事と同じかそれ以上に大事です。

結局、何回潜っても、周遊型のダイビングだとほとんど写真なんて撮れません。

 

ダイビングショップ選び、ガイドさんとのコミュニケーション、自分のダイビングスキルの向上など、撮影環境を整えるにあたっては色々な要素が絡んでくると思います。

今はSNS等で情報も得やすいので、ストレスのない撮影環境を自分で積極的に作る努力も必要なのかもしれませんね。

 

この「環境づくり」がうまくいっていないと、他の全ての努力が無駄になりかねないので、ここはしっかり向き合いましょう。

 

(D850 + 105mm micro + Z-330   f8 1/250秒 ISO100)

 

②知識

 

目的に合った撮影機材が揃っているという条件で書きますが、自分が思い描くような写真が撮れるかどうかって、結局は知識の量でほとんど決まります。

 

絵を描くには手先を器用に動かす必要がありますし、オペラを歌うには独特の呼吸法で声を出す必要がありますが、写真を撮ること自体に特別な動作は必要ありません。

指が動きさえすれば、とりあえずシャッターは切れますし、絞りを変えたり写真を再生したりできます。

 

純粋に水中写真を撮るという行為に目を向ければ、生まれながらの器用さも特別なトレーニングも必要ないんです。

どれだけ知識を持っているか、そして、その場に応じていかに適切な引き出しを開けられるかで勝負が決まります。

 

もちろん水中撮影に必要な知識は多岐にわたるので、ここで細かくは書きませんが、今はいくらでも知識を得る方法がありますよね。

こうやって無料のブログを読んだり、ハウトゥー本を買ったり、セミナーに行ったり、やり方はなんでもいいと思います。

 

大事なのは、自分から知識を取りに行くこと。

そして、継続的にアンテナを張り続けることです。

 

(D850 + 105mm micro + SMC-1 + Z-330   f13 1/250秒 ISO160)

 

ちなみに、知識以外で磨き続けると良さそうなものに、「ダイビング技術」と「体力」があります。

表面には出てきづらいのですが、これらが備わっていないと、いつの間にか機会損失しているんですよね。

 

作品を人に見てもらった時に「この写真は体力がもう少しあればもっと良くなるんじゃない?」と言われることはあまりないと思います。

でも、泳ぎ切る体力があればもっといいポジションで撮影できたかもしれません。

完璧な中性浮力が備わっていれば、写り込む浮遊物を減らせたかもしれませんし、ガイドさんが秘密のサンゴポイントに連れて行ってくれるかもしれません。

 

そういう意味では、知識を活かすための体力もダイビング技術も大事ですね。

 

(D850 + Fisheye NIKKOR 8-15mm + Z-330   f16 1/250秒 ISO800)

 

③センス

 

月に1度でも2度でもじっくり撮影できる環境を作ること。

自分でアンテナを張って、知識を吸収し続けること。

 

この2つができていれば水中写真は勝手に上達していきますし、頭で思い描くような作品も生み出せるはずです。

 

普段から色んな所で言っていますが、僕自身、人の心を動かすような水中写真を撮るのに生まれながらのセンスはいらないと思っています。

なので、なんだかよくわからない「センス」なんかにこだわるより、まずはちゃんとロジックを理解して、水中で使えるようにして、確実にレベルアップしましょうと言ってきました。

 

「え、でも写真もアートだし、絶対センスは関係ありますよ。」

 

そう思った方もいるかもしれません。

僕もそう思います。

 

勝手なイメージですが、水中写真の出来って、ここまで書いてきた環境や知識、準備や心構えで90%は決まると思っています。

なので、センスが影響するのは最後の10%くらいです。

 

生まれつき感受性が豊かな方は、確かにいると思います。

僕自身は全くアートの素養がありませんでしたし、感性も平凡でしたが、空を見ただけで「綺麗…」と言って涙を流すような方も稀にいらっしゃいますよね。

最終的に、そういう方には歯が立たないのかもしれません。

 

 

でも、あなたの周りを見渡した時、生まれ持った感性を武器に突っ走っている人ってどれくらいいるでしょうか?

 

誰かの水中写真を見て「この人の写真センスいいな」と思うことはあると思います。

じゃあそれが生まれもったセンスなのか、後から鍛えたセンスなのか、と言うと、すぐにはわかりません。

 

僕自身は、水中写真で人に感動を与えているほとんどの人が、少しずつセンスを養っていったんじゃないかと思っています。

少なくとも僕は「自分にはセンスがない」という意識が強かったので、なんとかセンスを磨こうと思ってここまでやってきました。

 

センスの磨き方は十人十色でしょうから、ここで「これをやりましょう」とは言いません。

デザインや構図の勉強をするとか、絵や映画など他のアートに触れるとか、色々あると思います。

 

前者のようなロジカルなアプローチの方が結果に早くつながる気はしますが、後者のように心の養分を蓄えるアプローチも後で効いてくると思います。

 

まどろっこしい説明になってしまいましたが、伝えたかったのはこういう事です。

 

・センスが水中写真に与える影響はたぶん10%くらいなので、まずはその他の基本を押さえよう。

・そうは言っても、センスもスパイス的に効いてくるので、あったほうがいいよね。

・生まれながら感性が豊かな人もいるけど、ほとんどの人がそうではないので、少しずつ鍛えよう。

 

僕は学生時代、ずっと図工も美術も音楽も成績は「2」でした。

たぶん実力的には最低点の「1」でしたが、授業に出ない不良の同級生たちが「1」を全部もらってくれました。

 

もしあなたが僕と同じように「センスがない」ところからスタートするとしても、全く問題ありません。一緒にセンスを磨いて、周りをアッと言わせてやりましょう。

 

(D850 + 105mm micro + SMC-1 + Z-330   f13 1/250秒 ISO160)

 

今日は、前編で「準備」「心構え」「丁寧さ」の重要性を、後編で「環境づくり」「知識」「センス」の必要性をお伝えしてきました。

長々と偉そうなことを書いてきましたが、結局、水中写真って楽しくないと伸びません。

 

この記事に書いてあることがよくわからなくても、別に落ち込む必要も怒る意味もないので、今まで通り水中写真を楽しんでください。

まずは自分が楽しければOKだと思いますし、あなたが撮った写真を見た人が、誰か一人でも何か感じてくれれば万々歳です。

 

今日もここまで読んでくださりありがとうございました。

最後に、昨年フォトセミナーにご参加いただいたKさんのコメント紹介して終わります。

Kさん、わざわざコメントを送ってくださりありがとうございました。

少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです!

 

2日間お世話になりました。

ほぼ一眼初心者の私に、ストロボの置き方や、設定の仕方から丁寧に教えてくださり、ありがとうございました。

テーマをきめて、1ダイブずつ、ひとつの被写体と向き合ってじっくり撮影するのは、非常に貴重な経験になりました。

特に、(今までも、自分なりに被写体には寄っていたつもりでしたが)きちんと最短距離まで近づくことで、夢のキリふわ写真に近づけることができること、

少し目線を変えただけで、切り取る景色がガラリと違ってくること、

そうした、基本的な考え方を、撮影を通して実感させていただきました。

特に、ナカモトイロワケハゼが卵を守っている写真では、少し角度を変えただけで、卵がまるでジュエリーみたいにキラキラ輝き出した時にはめちゃめちゃ感動しました!

被写体と丁寧に向き合うことを意識して、これからも写真を楽しみたいと思います。

 

 

2020年もプライベートフォトセミナーを開催させていただきます。

3月以降はまだ空きがありますが、連休や週末から徐々にご予約が埋まってきています。

ご興味のある方は下記のページよりお早めにお問い合わせください。

 

プライベートフォトセミナー詳細/予約フォーム

 

(D850 + 105mm micro + Z-330   f5.6 1/250秒 ISO64)

 

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陽だまりスタジオ 代表 上出俊作 (水中写真家)

沖縄本島を拠点に活動している水中写真家です。

これまで、写真集の出版や写真展の開催などを通して、海の魅力を伝えるべく水中写真家として活動してきました。

撮影スタイルという程でもないですが「日常を切り取る」という事が僕にとっての大事なテーマです。

珍しい生き物を追いかけ回したりせず、水中の生き物たちとかくれんぼやにらめっこをして遊びながら、のんびりと撮影しています。

「水中写真を通して共に成長し合える仲間と出会い、一緒に豊かな人生を歩んで行きたい。」

そんな思いから生まれたのが、このブログです。

自分と真剣に向き合う事の大切さを教えてくれた水中写真に、日々感謝しています。
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資格・所属

PADI Instructor (OWSI #827547)
PADI Digital Underwater Photographer Instructor
PADI Enriched Air Specialty Instructor
潜水士
海をつくる会(所属)

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