「群れ」の撮影を攻略する ~主役を生かす露出とフレーミング~

 

こんにちは、上出です。

先日、粟国島に行ってきました。
狙いはもちろん、ギンガメアジの群れです。

粟国島には何度か撮影に行っていますが、
今回は「群れ」の撮影についてあらためて考え、
新しい撮影方法も試してきました。

早速ですが、今日は

①海の明るさをコントロールして「群れ」を引き立たせる
②「群れ」そのもののアート性を最大限活かす

という2つのテーマについて、
僕なりにチャレンジした結果をお伝えできればと思います。


(D850 + Fisheye NIKKOR 8-15mm + Z-330   f11 1/250秒 ISO400)

さて、本題に入る前に…

「粟国島のギンガメアジ」と聞いてもピンとこない方もいますよね。

粟国島ってどんなダイビングスポットなの?
行けば必ずギンガメアジが見られるの?
実際行ってみてどんな出会いがあったの?

そんな話を、オーシャナの記事で書かせていただきました。

オーシャナの記事を読んでから
このブログ記事を読んだ方が楽しめると思いますので、
よろしければ先にこちらをご覧ください↓

~今年もアツいぞ、粟国島のギンガメトルネード!!イソマグロにロウニンアジ…次々と現れる“回遊魚天国”で冒険ダイビングを~

 

①海の明るさをコントロールして「群れ」を引き立たせる

「水中ワイドって結局晴れてなんぼだし、光をどう表現するかにつきるよね」

僕は去年まで、そんなことを思っていました。

太陽をどこに配置するのか
光芒をいかに描写するのか

というのはもちろん、
水中ワイド写真の出来を左右する大事な要素です。

なので、これはこれでこだわるべきだと思います。


(D850 + Fisheye NIKKOR 8-15mm + Z-330   f11 1/250秒 ISO250)

 

でも、当たり前ですが、
毎日晴れるわけじゃありません。

沖縄県の年間晴れ日数は211日(全国35位)
※1位の香川県は249日

沖縄県の年間日照時間は1774時間(全国35位)
※1位の山梨県は2187時間

そう、僕の住んでいる沖縄は思ったよりも晴れてくれません。

そして、ギンガメアジの群れとの遭遇率が最も高まるのは5月~6月。
この時期、沖縄は梅雨のど真ん中です。

 

つまり、粟国島に撮影に行く際、

「晴れてくれないと良い写真が撮れない…」

と思っていると、高確率で期待は裏切られますし、
毎日天気予報を見ながら落ち込むことになります。

これは、精神衛生上あまり良くありません。

なので、今回から考え方を変えることにしました。

 

「晴れていないからこそ撮れる写真を撮ろう」

当たり前にそうしている方もいらっしゃるのでしょうが、
僕にとってはコペルニクス的転回です。

粟国島に向かう前日、
天気予報の雨マークを見て喜んでいる自分がいて、
別の人間のような気がしてなんだか面白かったです。

 

さて、
実際にどんな撮影方法を試みたか
について解説しましょう。

そんなに大したことはしていません。

まずは、昨年ゴリラチョップで撮った写真をご覧ください。


(D850 + Fisheye NIKKOR 8-15mm + Z-330   f11 1/250秒 ISO500)

あー小魚たちの群れきらきらと…

そんな唄を口ずさみながら撮影したのは、
2018年の10月末、雨の日の朝でした。

水中はまだ夜が明けきっていないかのように暗く、
写る海の色も黒っぽくなってしまったのですが、
逆にミジュンのキラキラした感じが際立って、
個人的には気に入ったカットが何枚か撮れました。

 

そうか、暗い海と青魚は相性がいいんだ。

その時そう気づきました。

たまたま粟国島初日が曇りだったので、
早速ギンガメアジで試した写真がこちらです。


(D850 + Fisheye NIKKOR 8-15mm + Z-330   f11 1/250秒 ISO200)

普段水中ワイドはISO400前後で撮ることが多いのですが、
海の色が群青から黒へのグラデーションとなるように、
ISO感度を200まで落としています。

ただ、ギンガメアジまで暗くなってしまったら意味がないので、
アジのギラギラ感が際立つようストロボはフル発光させました。


(D850 + Fisheye NIKKOR 8-15mm + Z-330   f11 1/250秒 ISO200)

実際にやったことはこれだけなのですが、
よく見るギンガメアジの群れの写真とは、
ちょっと雰囲気を変えられたんじゃないかなと思います。

ストロボのガイドナンバーは大きい方がいいですが、
そんなに難しい技術は必要ないので、
良かったら皆さんも試してみてください。

 

②「群れ」そのもののアート性を最大限活かす

ギンガメアジの群れに、
捕食の機会を狙ったロウニンアジがついていることが、
よくあります。

なので、

ロウニンアジも一緒に入れた方が動きやストーリー性が出る

と僕は思っていましたし、
実際そのように撮影している方もたくさんいます。

それ自体は間違っていないと思いますし、
今回もそういったカットは撮りました。


(D850 + Fisheye NIKKOR 8-15mm + Z-330   f13 1/250秒 ISO400)

そのまま食物連鎖なので、
見た人は海のダイナミズムを感じるかもしれません。

これはこれで、表現方法としてありだと思います。

 

さて、視点を変えてみましょう。

ロウニンアジが近くにいると、
僕はよくこんなことを考えます。

「ロウニンも入れなきゃ。どこに配置しよう…」

結果的に上のような写真が撮れるわけですが、
ロウニンアジに意識が持っていかれているので、
群れの形にまで細心の注意の注意を払えていません。

ある意味、
ギンガメアジの群れに関しては運任せです。

 

これでいいのだろうか…

もう一度初心に帰って、
「群れ」と向き合う必要があるんじゃないか…?

いつからか、そんなことを思うようになりました。

 

そもそも、
群れっていうのは、
何て言うかもう、
それだけで十分美しいんですよね。

完全な球になったり川になったり、
ドーナツになったりアイスクリームになったり、
常に動きながら形を変え、僕たちを魅了します。


(D850 + Fisheye NIKKOR 8-15mm + Z-330   f11 1/250秒 ISO400)

 

群れの形を丁寧に切り取れば、
ギンガメアジだけでも十分動きは出せるし、
アートとしての完成度は高められるはずだ。

今回は、そういう意識で撮影に臨みました。

 

ファインダー越しに群れの動きを追って、
群れの形がひとつの生き物のようになった瞬間や、
動きが揃った瞬間を狙ってシャッターを切る。

前からそういうことを
意識していなかったわけではないのですが、
今回はよりフレーミングに神経を集中して、
ファインダー像の四隅まで気を配りました。


(D850 + Fisheye NIKKOR 8-15mm + Z-330   f11 1/250秒 ISO400)

 

もちろん毎回思い通りの形で群れを切り取れるわけではありませんし、
シャッターを切るタイミングが早すぎたり遅すぎたりした事は何度もありました。

でも、うまくいくと気持ちいいですね。

できるだけ余計な要素を排除して、
主役の持つ魅力を最大限引き出す。
そして、その場の空気感を長方形の中に閉じ込める。

本質的にはマクロもワイドも同じでしょうし、
アートとしての写真ってそういう事なのかなと思っています。


(D850 + Fisheye NIKKOR 8-15mm + Z-330   f11 1/250秒 ISO400)

今日は、

・太陽の出ていない日はあえて海を暗く落として、魚のギラギラ感を強調した画作りをする
・丁寧に群れを観察しフレーミングすることで、魚の群れが潜在的にもっている美しさを切り取る

というお話をさせていただきました。

少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

今日もここまで読んでくださりありがとうございました!

(更新:2019.5.1)

 

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