35mm単焦点で「非日常感」のない水中写真を撮る

 

こんにちは、上出です。

今日は、水中撮影において一般的とは言えない「AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED」という単焦点レンズについて、使用感などを紹介できればと思います。

細かい描写性能等を無視すれば、他のメーカーの35㎜単焦点も基本的には同じです。

ただ、APS-Cで使ったら画角やらなんやら全く変わってきてしまうので、あくまでフルサイズ機で使うという前提でとらえてください。

水中ワイドとか水中マクロというくくりで35㎜を語るのはどうなのかなというのもありますが、どちらかと言えばワイドだと思うので、この記事ではひとまず「水中ワイド」用のレンズという位置づけで話を進めていきましょう。

D850  AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED  Z-330  f5.6 1/250秒 ISO64

 

水中ワイドでよく使われるレンズは?

35㎜について考える前に、おさらいとして、水中ワイド撮影でよく使われるレンズを取り上げてみます。

おそらく、使っている方が最も多いのは、フィッシュアイレンズでしょう。

僕も、水中ワイドを撮る時には、8-15mmフィッシュアイの使用頻度が最も高いです。

 

フィッシュアイレンズというのは本来かなり癖のある(歪曲の強い)レンズですが、これを水中で使うとなんだかしっくりくるからまあ不思議。

みんなが見慣れているというのもあるのでしょうが、いろんなものが丸っと収まるのはなんだか心地よかったりします。

まあ、話すと長くなるのでフィッシュアイレンズの話はこの辺にしましょう。

D850  Fisheye NIKKOR 8-15mm Z-330  f14 1/250秒 ISO400

 

フィッシュアイレンズ以外だと、僕が使っている14-24mmや、あるいは16-35㎜なんかを使っている方が多いですよね。

11-24mmや14-30mmなんていうのもありますが、とりあえずひとまとめにしておきます。

こういう超広角ズームは、陸上で風景を撮る時なんかに大活躍するレンズです。

水中では、僕の場合は水面を真っすぐ切りたいときとか、「真っすぐなものを真っすぐ写したい」という時に使います。

陸上では癖が少ないですが、水中ではフィッシュアイレンズ以上に癖を感じる方も多いかもしれません。

D850  AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED  f13 1/100秒 ISO1000

 

なぜ35㎜を買ったのか

たしか、35㎜単焦点を買ったのは、去年の秋くらいだったと思います。

なぜ購入に踏み切ったのかというと…特に理由はありません。笑

違うレンズも試してみたいなーというくらいの感覚です。

 

まあ、「あの被写体を35㎜で撮ったら面白いかもなー」というイメージはなんとなーくあったので、そんな作例を今日は紹介しようと思います。

D850  AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED  f8 1/400秒 ISO720

 

水中写真と非日常感

先ほど紹介したフィッシュアイレンズや超広角ズームレンズは、僕らの視野より圧倒的に広い範囲を切り取ることができます。

しかも、丸っと地球っぽさが出たり、四隅が伸びたり、目の前にある世界が歪んで写ります。

つまり、一般的な水中ワイド写真は、僕らが普段見ている世界とは異なった写り方をしていると言えるはずです。

 

個人的には、ここが水中写真の面白さの一つだと思っています。

「非日常感」がより強まるとでも言えばいいのでしょうか。

D850  Fisheye NIKKOR 8-15mm Z-330  f14 1/250秒 ISO640

 

ちなみに、水中マクロ写真も同じです。

ワイドとは逆に、写る範囲はとっても狭くなりますが、その分ふだん僕らの目には見えていない細部まで写ります。

目の周りのギラギラした模様がビシっと写っていると、ゾクゾクしませんか?笑

これもひとつの「非日常」だと僕はとらえています。

D850 105mm SMC-1 Z-330  f14 1/250秒 ISO80

 

■35㎜の位置づけ

さて、ようやく35㎜の話です。

正確な数字はひとまず置いておいて、35㎜という焦点距離(画角)は、フィッシュアイレンズや105㎜マクロレンズに比べると、人間の視野角に近いと言えます。

 

僕自身は、35㎜で初めてファインダーを覗いた時、とっても新鮮さを感じました。

なんでかって、めっちゃ普通だったからです。

そこには「非日常感」がまるでない。

肉眼で見たままの景色が、ファインダーの中にも広がっていました。

「ああ、このレンズは日常を切り取るためのレンズなんだ」

そんな風に感じました。

D850  AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED  Z-330  f5.6 1/250秒 ISO64

 

「肉眼で見たままのイメージで切り取れる」というのが、このレンズの特徴だという話をしました。

これはつまり、「非日常感がない」ということ、言い換えれば「日常っぽい」ということです。

 

正直水中写真って、そもそもレンズが持っている「非日常感」に助けられて画作りしている節があります。

なので、急に日常を突き付けられると、けっこう画作りが難しくなるんですよね。

なんとなく撮ったら、なんとない写真になっちゃうんです。

 

「どうやったらこの被写体、この光景の魅力を伝えられるかな…」としっかり考える必要があるように感じました。

D850  AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED  f8 1/400秒 ISO1000

 

■35㎜のメリット

このレンズを使っていて一つメリットに感じたのは、自分の見せたい所だけを切り取れるということです。

フィッシュアイレンズや超広角ズームに比べて画角が狭いことを、メリットととらえるかデメリットととらえるかという話ですかね。

下の写真は、あまりサンゴの密度が濃くないポイントだったので、画角の狭さを生かしてサンゴが元気な場所だけを切り取ってみました。

たぶん、画角の広いレンズだったらこういう構図は浮かばなかったと思います。

D850  AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED  f8 1/400秒 ISO800

 

35㎜を使っていると、構図を試行錯誤する練習になりますね。

特に、画角にあそびがない分、後からトリミングで構図を整えるということがしにくいので、四隅までよく見てフレーミングする癖がつくかもしれません。

D850  AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED  f8 1/500秒 ISO640

 

■35㎜で撮ってみたい被写体

とりあえず、35㎜で何でも撮ってみたいんです、本当は。

実際まだカメとサンゴとクジラしか撮ってないですしね。

でも、毎回このレンズで勝負するかというと…そういうレンズでもない気がしていて。

 

なんでもない目の前の光景を自分なりに切り取れるようになれば、このレンズは心強い相棒になってくれるはず…

いや、そうじゃないか。

このレンズを使い続けることで、なんでもない目の前の光景を自分なりに表現する力が身につくのか。

 

実用的というか、つまんない話をするなら、寄れないサメとかを撮るのに使えるんでしょうが、それだけだともったいないよなというのが、今の気持ちです。

きっと、スナップ写真的な撮り方が面白いんだと思います。

明るいレンズで画角も狭めなので、ボケを生かしたワイドなんかも撮れるのかもしれません。

 

そんなわけで、遊び心を持ちながら、このレンズもたまに使っていこうと思います。

もし35㎜を使っている方がいたら、どんな風に使ってるのか教えてほしいですね。

それでは、今日もここまで読んでくださりありがとうございました!

少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

D850  AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED  f5.6 1/320秒 ISO450

 

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