美しい背景はストロボで作る ~キリふわ水中マクロのすすめ~

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こんにちは、上出です。

 

今日は、

 

背景はふんわりしているのに

メリハリのある水中マクロ

 

の撮り方について解説していきます。

 

 

先日のフォトセミナー中、

参加者のYさんからこんなお話がありました。

 

ブログに、フォトセミナーの

before/afterは載せないんですか?

 

世の中に水中写真のセミナーはいくつかあるけど、

ちゃんと出来高まで発信してるものはないと思います。

 

どんな風に変わったかを載せれば、

ブログを読んだ人もイメージが湧きやすいし、

上出さんの宣伝にもなるのかなと思って…

 

 

こういうあたたかいご提案は嬉しいですね。

 

もちろん二つ返事で、

 

「Yさん、お写真を掲載させてください。」

 

と、

早速プライベートフォトセミナー

宣伝をする事に決めました。笑

 

 

というわけで、

今日はセミナーの経過を振り返りながら、

綺麗な背景の作り方を解説していきます。

 

Yさん、お写真を送っていただき、

本当にありがとうございました!

 

(D850 + Nikkor AF-S 105mm Micro + Z-240   f5.6 1/100秒 ISO100)

 

 

フォトセミナーの際は

事前にお写真を5枚前後送っていただいて、

それを元に個性や課題を探していきます。

 

今日はbefore/afterですので、

Yさんから事前に送っていただいたお写真を、

ここで2枚掲載しておきますね。

 

【カメラ・レンズ】Nikon D750、TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO

【ライティング】Z-240(2灯)、Fisheye FIX NEO1500

 

 

 

今回、Yさんが抱えていた悩みは、

 

・思ったように色が出ない

 

・ふんわり明るい雰囲気にしようと思うと、

明るいだけののっぺりした写真になってしまう

 

というものでした。

 

 

本当は、

 

被写体ははっきり描写して、

背景だけをふんわりぼかした作品

 

を撮りたいのだそうです。

 

 

 

ちょっと脱線しますが、最近、

こういうお悩みをお持ちの方が多いような気がします。

 

ふんわり撮りたいけど、

ただのフワフワは嫌なんですよ…

 

という声を、

割とよく聞きます。

 

 

ちなみに、ある方は僕の水中マクロを、

「キリふわ」と形容してくださいました。

 

全体はふんわり明るい雰囲気だけど、

主役にビシッとピントが合っていて、

その一部でキリっと全体を引き締めている

 

というような意味だそうです。

 

 

自分でキャッチコピーをつけるのは苦手なので、

周りの人から命名してもらえるのは嬉しいですね。

 

最近自分でも、

この言葉をちゃっかり使っています。笑

 

(D850 + Nikkor AF-S 105mm Micro + Z-240   f4.5 1/250秒 ISO64)

 

 

さて、話を戻しましょう。

 

 

実際にフォトセミナーでダイビングをする前、

Yさんとライティングのお話を色々していたのですが、

 

「ライトはどんな感じで使っていますか?」

 

と伺ったところ、

 

「ちょっと照らしてる感じで…」

 

という、

なんとも素直な答えが返ってきました。笑

 

 

僕はライトをあんまり使いませんが、

ライトは使うべきじゃないとも思っていないですし、

何か意図があれば積極的に使ってOKです。

 

ただ、どうしてもストロボとライトを両方使うと、

ライティングの考え方が複雑になってしまいます。

 

 

できるだけ撮影機材をシンプルにした方が

頭も整理しやすいですし、

被写体と向き合うことにも集中できますので、

 

今回はライトはいったん外して

ストロボを使いこなせるようになりましょう

 

ということになりました。

 

というわけで、

この記事の中で掲載している作品は、

全てストロボのみでライティングしています。

(もちろん僕が撮影した写真も。)

 

(D850 + Nikkor AF-S 105mm Micro + Z-240   f4.5 1/200秒 ISO100)

 

 

 

フォトセミナーの中では色々撮っていただきましたが、

ここでは2つの被写体にフォーカスして振り返ります。

 

 

以前こちらの記事で↓

 

美しい背景の水中写真を撮るために ~色を探す旅に出よう~

 

背景の抜き方について解説しました。

 

 

簡単に振り返ると、

 

A:

ザ・フォトジェニックな背景を探し、

その近くに何かいたら撮影する

 

B:

可愛い生き物がいたらとりあえず撮り始めてみて、

徐々に背景の色や明るさを追い込んでいく

 

という2つのパターンがあって、

どちらも実践できるようになると

いつでもどこでも作品が撮れるよ、

 

という話だった…はずです。笑

 

 

これから紹介する3つのケースでは、

 

①がAパターン

②がBパターン

 

という点を頭に入れておくと、

理解が深まるかなと思います。

 

 

 

①タテジマヘビギンポ

 

 

ウミシダはまさに、

ザ・フォトジェニックな背景です。

 

その近くに、僕の大好きな

タテジマヘビギンポがいました。

 

タテジマヘビギンポはかなり寄れるし、

逃げても元の場所に戻ってくるので、

水中マクロの練習にはもってこいの被写体です。

 

 

とりあえず、撮ってもらいました。

 

背景に黄色いウミシダが入りました。

 

でも、何だかごちゃごちゃしていて、

全体のメリハリももうひとつです。

 

 

Yさんも納得のいっていない表情だったので、

スレートを渡してみると、

 

「背景を全部イエローにしたい」

 

と書いてくださいました。

 

 

陸上で文章にするとなんでもないことなのですが、

僕が伝えたアドバイスは以下のような内容です。

 

「もっと寄ってください。

とりあえず最短撮影距離まで寄ってみてください。」

 

自分では被写体に寄れているつもりだけど、

実際にはまだまだ寄れるというケースは良くあります。

 

 

やはり、

しっかり寄れていないと背景はボケませんし、

作品としてのメリハリが出ません。

 

毎回最短撮影距離で撮らなきゃいけないわけではないですが、

一度最短まで寄ってから引く事を考える、くらいの方が、

結局は遠回りせず思い通りの画作りができると思います。

 

 

さて、ストロボの話もしないといけませんね。

 

 

しっかり寄ることで、

背景は全部イエローになりました。

 

でも、なんだかくすんだ黄色です。

 

 

今回のセミナーでは、

SS1/200秒、ISO100に固定し、

できるだけ自然光が入りにくい設定で撮影しました。

 

これは、ストロボをしっかり当てて、

ストロボだけの光で被写体の色を出してあげよう、

 

という意図です。

 

太陽光が入ってしまうと

緑被りしやすいですからね。

 

 

なので、黄色がくすんでいる理由は明確です。

 

ストロボが弱く、

ウミシダが完全に発色していないんです。

 

 

ストロボを強めに調整してあげたら、

被写体も背景も綺麗に色が出ました。

 

 

 

最終的には、

ウミシダのディテールも少し出したいということで、

ちょっと引いてちょっと絞って撮影しました。

 

さりげなく海の色も入っていい感じですね。

 

 

 

1本目はS-TTLでストロボを使いましたが、

 

結局マニュアルの方がわかりやすいかも

 

ということで、

2本目以降は全てマニュアル発光です。

 

 

 

②オキナワベニハゼ

 

 

こいつは簡単そうで難しいです。

 

いつもつぶらな瞳でじっとこちらを見つめていて、

寄ってもそうそう逃げません。

 

でも、たいがい岩陰の撮りにくい場所にいるので、

思い通りに撮れずモヤモヤしている方も多いはずです。

 

 

でも大丈夫。

 

僕のセミナーに参加すれば、

ちゃんと撮れるようになります。

 

 

 

宣伝が不自然ですね。笑

 

 

 

冗談はいいとして、

僕のフォトセミナーは

 

とりあえず来てくれれば誰でも作品が撮れますよ!

 

というものではありません。

 

 

Yさんがこれだけ結果が出ているのも、

 

水中写真をちゃんと勉強したい

上手くなって○○したい(なりたい)

 

という気持ちがご本人にあるからです。

 

 

そして、

実際に沖縄にお越しになる前に、

メールでの色々なやり取りを通して

課題を明確にしておくことも大切です。

 

対面してから「さて、どうしましょうか」では、

2日、3日という限られた時間の中で

最大限の成果を上げることができません。

 

 

逆を言えば、ご本人に気持ちがあって、

事前に課題もあぶり出せているなら、

必ずフォトセミナーで成長できます。

 

僕は目の前の人を伸ばすことに全力を尽くしますし、

そういう意味で自分のセミナーは唯一無二だと思っています。

 

 

 

話を戻しましょう。

 

 

この子ももれなく、岩陰にいました。

 

とりあえず撮ってもらいましたが、

 

全体的に暗く、

ハゼの顔には影ができていて、

ライティングに工夫の余地ありです。

 

 

でもこれ、

Yさんに限った話ではありません。

 

正直、ストロボを使いこなせている方って、

実際はかなり少ないような気がします。

 

僕も昔は同じように、

ストロボの取り回しに苦戦しました。

 

 

自分では、

 

ストロボが当たっているか

ストロボの光量は適正か

 

が中々わからないものです。

 

でも、隣で客観的に見ているとわかります。

 

 

Yさんの場合は、

 

1灯はちょっと外し気味にかすっている

1灯は完全に岩に当たって被写体に届いていない

 

という状況でした。

 

 

なので、まずはストロボの位置と向きを

調整する必要があります。

 

これをスレートで書くのは時間がかかるので、

僕が実際にストロボを動かしてみました。

 

ストロボはここにあるのが普通、

という常識にとらわれず、

ダイナミックに動かすのがコツです。

 

最終的な微調整はYさんにしてもらいました。

 

 

これで、

被写体にも背景にも光が回りました。

 

めでたしめでたしー!

 

では終わりません。笑

 

 

これで80点の写真は撮れます。

 

でも、

人と違う作品を撮れるかどうかって、

ここからどれだけこだわれるかです。

 

 

僕はひとつの被写体に

1dive注ぐことが良くあります。

 

それでいいと思っているし、

それがドラマを生むと思っているからです。

 

 

例えば、待っていたら

カエルアンコウが口を大きく開けるとか

そういうケースももちろんありますが、

 

今日は背景の話です。

 

 

一見ただの岩のように見える背景でも、

アングルを微調整すれば、

綺麗に抜けることがあります。

 

本当に、ミリ単位の調整です。

 

 

Yさんは背景に暗い部分が入らないように、

少しずつカメラの角度と位置を変えながら、

少しずつストロボの強さを調整しながら、

何枚も何枚も撮影されていました。

 

 

はたから見れば、

 

何でそんな同じようなカットをたくさん撮るの?

 

と思うかもしれません。

 

でも、1枚1枚ちょっとずつ背景が違うし、

ピントの合っているところもずれてきます。

 

 

最終的には何枚か満足のいく作品が撮れましたが、

そのうちの1枚を選ぶならこちらでしょうか。

 

 

 

・ピントが「完璧に」目に合っている

・どこにも白飛びがなく背景に暗い色は入れない

 

というのが、

一歩先を行くためのポイントですかね。

 

 

 

番外編① ケラマハナダイ

 

 

僕が撮ったこの写真を見たYさんから、

キンメモドキ玉ボケリクエストもいただきました。

 

(D850 + Nikkor AF-S 105mm Micro + Z-240   f5.6 1/125秒 ISO160)

 

 

これは正直、

僕も明確なノウハウは持っていません。

 

カメラと被写体とキンメモドキの距離がいい塩梅になって…

ストロボの光がキンメモドキまで届いて…

f値は絞るよりは開放付近で…

 

って、

こんなざっくりした説明じゃ撮れないですよね。

 

でも、Yさんは撮ってくださいました。笑

 

 

そうそう、キンメモドキが横向きじゃなくて、

顔をこっちに向けている方が綺麗に玉ボケしますね。

 

あとは、しっかり寄って、

ストロボを確実に当てて、

ひたすらシャッターを切って、

 

100枚撮って1枚成功したらラッキーだと思いましょう。

 

 

 

番外編② ナカモトイロワケハゼ

 

 

これは背景の作り方というより、

キリふわの上級編という感じでしょうか。

 

 

水色のビンの中にいる子を撮影しているのですが、

ビンの口ギリギリのところまでレンズを持ってきて、

手前の部分をうまく前ボケとして使っています。

 

そして絞りはf8以上絞っているので、

最短撮影距離付近撮影しながらも、

ピントの合っている部分(目)はキリっとした描写です。

 

 

仕上げにストロボをかなり強めに発光させ、

白飛びしないギリギリのところで

明るくふわっとした雰囲気に仕上げています。

 

お腹の卵もさりげなく描写していて、

色んなストーリーを想像させてくれる1枚ですね。

 

 

 

 

今日はここまで、

 

被写体ははっきり描写して

背景だけをふんわりぼかした作品

 

をどのようにして撮るのか

について解説してきました。

 

 

ポイントをまとめると、

 

・被写体にしっかり寄る(最短撮影距離付近まで)

・ストロボの位置と角度、強さを調整して

被写体と背景どちらにもしっかり光を回す

 

というのが基本で、

 

その上で

 

・アングルを微調整して背景の色にこだわる

・ピントを目に「完璧」に合わせる

 

ことが重要、

というお話でしたね。

 

 

最終的には、ある程度撮れたと思ってから、

どれだけ丁寧に追い込んでいけるかだと思います。

 

それでは、今日もここまで

読んでくださりありがとうございました!

 

少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

 

 

 

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宣伝しておいて申し訳ないのですが、

9月までのご予約がほぼ埋まってしまいました。

(調整できる日もなくはないです…)

10月以降なら、まだ余裕をもって日程調整できそうです。

 

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    • おすぎ
    • 2018年 6月20日

    いつも楽しくかつ羨ましく読ませていただいています。
    本記事の機材について教えていただきたくコメントさせていただきました。
    本記事のゲスト様が使用しているハウジングやポートを教えていたくことは可能でしょうか?
    陸上ではありますが、私もD750とタムロンの90mmマクロレンズを使用しています。
    同じセットを水中へ持ち込みたいのですが、レンズは使えないとおもっていました。
    よろしくお願いいたします。

    • 上出 俊作
    • 2018年 6月24日

    こんにちは。
    コメントありがとうございます。

    本記事のセミナー参加者の方が使用されていたハウジング・ポートは以下の通りです。

    ハウジング:TAIL
    ポート:アンティス マクロポート105(品名:MP105-4 品番:15310)

    参考にしていただけますと幸いです!
    もし他に気になることがありましたら、お問い合わせフォームから直接ご連絡ください(^^)

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管理人 : 上出 俊作 (水中写真家)

沖縄本島を拠点に活動している水中写真家です。

これまで、写真集の出版や写真展の開催などを通して、海の魅力を伝えるべく水中写真家として活動してきました。

撮影スタイルという程でもないですが「日常を切り取る」という事が僕にとっての大事なテーマです。

珍しい生き物を追いかけ回したりせず、水中の生き物たちとかくれんぼやにらめっこをして遊びながら、のんびりと撮影しています。

「水中写真を通して共に成長し合える仲間と出会い、一緒に豊かな人生を歩んで行きたい。」

そんな思いから生まれたのが、このブログです。

自分と真剣に向き合う事の大切さを教えてくれた水中写真に、日々感謝しています。
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資格・所属

PADI Instructor (OWSI #827547)
PADI Digital Underwater Photographer Instructor
PADI Enriched Air Specialty Instructor
潜水士
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